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「人間風車」が河原雅彦演出で14年ぶりに復活、想像が恐怖を呼ぶ童話ホラー

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PARCO & CUBE 20th. Present「人間風車」ゲネプロより。左からミムラ演じるアキラ、成河演じる平川。

PARCO & CUBE 20th. Present「人間風車」ゲネプロより。左からミムラ演じるアキラ、成河演じる平川。

PARCO & CUBE 20th. Present「人間風車」が、本日9月28日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスで開幕。これに先がけて同日にゲネプロと会見が行われた。

「人間風車」は、1997年に後藤ひろひとが遊気舎に書き下ろした“童話ホラー演劇”。2000、03年と上演され、14年ぶりの上演となる今回は2003年版に出演した河原雅彦が演出を担当する。

売れない童話作家の平川(成河)は公園に集まる子供たちに自作の童話を披露し人気を博しているが、現実は小杉(矢崎広)や国尾(良知真次)ら友人に借金をして過ごす日々。そんな中、ひょんなことからテレビタレントのアキラ(ミムラ)に出会い、平川の作風が変化。とある童話賞の候補に挙がるが……。

舞台中央には回転するセットが配され、公園、童話の世界、そして平川の住む廃工場と、現実と空想を行き来するようにシーンが展開していく。成河演じる平川はアキラの隣を1つ空けて座る奥手ぶりを見せながら、ひとたび童話の話になるとギアが入り講談師のように熱い語りを繰り広げる。初めてアキラが家に来たその日、「何か話するんで帰らないでください」と平川が選んだ会話の内容を皮切りに、物語は急転直下、悪夢の展開を迎える。

成河は昨今の出演作での印象とは一変し、肩の力が抜けた頼りない平川を自然体で演じる。一方で、童話を物語るときに発する熱量は、ときに耳を塞ぎたくなるほど。観客の想像力を激しく掻き立てる。ミムラは表情をくるくると変えながら、愛くるしいキャラクターを好演。加藤諒は前作で河原が演じた、平川の童話を楽しみに公園に現れる31歳の男・サムを演じる。加藤の年齢不詳な佇まいが、サムの人物像を際立たせ、物語に不気味さをもたらす。上演時間は約2時間25分。

会見には成河、ミムラ、加藤、矢崎広、松田凌、良知真次が参加。成河は「14年ぶりというブランクを、現代劇としてどう埋めるか。後藤ひろひとさん含め皆で改訂して、粘り強く稽古してきました。今生きてる僕達にとって、すべてがリアルに見えるように。今の僕達にとって嘘がないことが、今生きてるお客さんにとって嘘がないこと。そうすればこの作品の持つ、普遍的な本質に近付いていけるんじゃないか」と意気込む。

本作内で3役を演じるミムラは、「舞台で複数の役をやるのは初めて。いつかやってみたかったので、すごく楽しかった」と満面の笑み。さらに「普段テレビを主戦場にしてるのですが、舞台は同じことを何回もできる楽しさがあります。あと体を使っていろいろ出来るのが非常にうれしかった! 私、体脂肪が5パーセント落ちて、5キロ体重が増えました(笑)」と楽しそうに稽古を振り返った。

加藤は「今まで演じてきた役は“受け”が多かったんですけど、今回はどちらかと言うと『攻めて攻めて攻めていくぞ』という感じなので、加藤の“攻め”が挑戦ですね(笑)」とアピール。これを聞いた矢崎が、「諒くんの稽古着が、上はタイガー柄で下はこんな(太ももを指して)短パンを履いてたので、そこから攻めてきてたんだね」とコメント。加藤が「そこ!?」とツッコミを入れると、成河は「攻め間違えたんだね……」と加藤をたしなめ、会見場は笑いに包まれた。

松田も「加藤くんが場当たりで足を踏み外したときは、河原さんが『お前みたいな生物の代わりはいないんだ』とおっしゃってて。確かにこの人は唯一無二だなと納得しました」とエピソードを披露すると、「悪口?」(成河)、「あー」(加藤)とざわつく共演者達。松田は「『好きだぞ』という愛ある話でした(笑)」と笑って訂正した。

続けて松田は真剣な表情で、「河原さんと皆さんが役柄や重要なシーンについて話しているとき、すごく羨ましくもあり、悔しくもありというか……。いつか僕も、こんな話を河原さんとできるようになりたいって思いに駆り立てられる、刺激的な現場でした」と真摯に語る。良知は「戯曲的にも役柄的にも初挑戦の部分が多くて、河原さんにはこのメンツの中で一番お世話になって……」と苦笑い。さらに「河原さんや先輩に囲まれて、若手にとってこんなに幸せな現場はないなという毎日でした」と振り返り、松田と良知も同意した。

最後に成河が「(着ている服を指して)普段着みたいでしょ? どんなストイックな会話劇をやるんだろうと思われるかと思いますが、違います(笑)。作品をご存知の方は重々おわかりだと思いますが、リアルな世界から突然“飛び出す絵本”のような童話の世界に入ると、その後はメチャクチャ。いろんな国のいろんな服装で出てくるわ、かぶり物するわです。笑い転げて楽しめるシーンもたくさんありますし、何より演劇的な仕掛けが豊か。演劇の醍醐味が詰まってる作品ですので、ぜひ劇場でこそ味わってほしいです」と観客に呼びかけた。

東京公演は10月9日まで。その後高知、福岡、大阪、新潟、長野、宮城を巡演する。東京公演の当日券は開演の60分前より劇場の当日券受付カウンターにて販売される。

PARCO & CUBE 20th. Present「人間風車」

2017年9月28日(木)~10月9日(月・祝)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2017年10月13日(金)
高知県 高知県民文化ホール オレンジホール

2017年10月18日(水)
福岡県 福岡市民会館 大ホール

2017年10月20日(金)~22日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

2017年10月25日(水)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

2017年10月28日(土)
長野県 ホクト文化ホール 中ホール

2017年11月2日(木)
宮城県 電力ホール

作:後藤ひろひと
演出:河原雅彦
出演:成河ミムラ加藤諒矢崎広松田凌今野浩喜菊池明明川村紗也山本圭祐小松利昌佐藤真弓堀部圭亮良知真次

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