ステージナタリー

「霊験亀山鉾」、片岡仁左衛門「これが最後になるかもわからないという気持ちで」

214

10月歌舞伎公演「通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)」記者会見より。片岡仁左衛門。

10月歌舞伎公演「通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)」記者会見より。片岡仁左衛門。

東京・国立劇場の10月歌舞伎公演「通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)」の記者会見が、昨日8月29日に行われた。

「霊験亀山鉾」は、四世鶴屋南北が書き下ろした返り討ちを描く物語。今回は「亀山の仇討」の出立から成就までをテンポアップさせた演出で上演する。記者会見には藤田水右衛門、古手屋八郎兵衛実は隠亡の八郎兵衛の2役を勤める片岡仁左衛門が登壇した。

仁左衛門は本作の再演について、「15年ぶりに、東京で上演させていただくことになりました。8年前には大阪松竹座でも上演しましたが、この大好きな作品を、初演の国立劇場でまたできるのは、本当に嬉しいです」と感慨深げに語る。続けて「このお芝居は、そう度々出せる狂言ではございませんし、水右衛門と八郎兵衛は、ある程度体力を保っていないとできないお役ですから、もしかしたら私も『今回が最後かな……』と。でも最後と言ってしまうと、もう一生できないから『かな……』です(笑)。自分を追い込むわけではありませんが、今は大きなお役をやらせていただくと、『これが最後になるかもわからない』という気持ちで挑むことが増えてきました。俳優は、皆さんに見ていただいて満足を得ることができます。ぜひ、できるだけ多くの方に自分のお芝居を観ていただきたい、そして今のうちに観ておいていただきたいなと思っています」と観客に呼びかけた。

続いて本作について仁左衛門は、「悪人が活躍するお芝居ですが、色気もありますし、そして冷酷さも混じっていて、華やかさと暗さ、陰と陽がうまく入り混じって構成されています。本当に残酷なお話しではありますが、お客様には残酷と感じさせずに、『ああ、綺麗だな、楽しいな』と思っていただけるような雰囲気が出せるように、そして退廃的な美といいますか、そういう昔の錦絵を見ているような色彩感覚、そして芝居の色、そうしたところを楽しんでいただければと思っています」と述べる。

自身の役どころについては、「水右衛門と八郎兵衛の演じ分けについて特別なことは考えていませんが、自然と身体が動いていくんです。八郎兵衛は、最初はちょっと間の抜けた小悪党、それがお芝居が進むにつれ、本性を表していきます。昔の絵に八郎兵衛の芝居を描いたものがあって、15年前の初演では、それをヒントに芝居を創っていきました。水右衛門は浪人で職を探していたわけですから、地位はそれほどではありませんが、悪としては、かなりの悪。そう思って演じていると、勝手に身体も動いていきますし、セリフまわしも自然なリズムで、なにか気持ちが乗っていく……今回もそういうふうにできたらと思います」とコメントした。

さらに演出について仁左衛門は、「15年前の初演では、稽古中に急遽、殺しの場で雨を降らすことにしたんです。いろいろあって間に合うか心配しましたが、1つの見せ場として、やはりあそこで雨を降らせてよかったなと思います。もちろん今回も本雨を降らせますが、雨は照明の加減で客席から全然見えないこともあったり、客席に雨を見せるのは結構むずかしいんですよ」とエピソードを明かす。最後に「このお芝居は、あまり深く考えずに、その場その場を楽しんでいただきながら、それでいて、後々みなさんの印象に残るような娯楽性に富んだお芝居です。初めてご覧になるかたにも気楽に楽しんでいただけると思っています」と締めくくった。

公演は、10月3日から27日まで国立劇場 大劇場にて。チケットは電話・インターネットでの予約が9月6日、窓口販売が9月7日から開始される。

10月歌舞伎公演「通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)」

2017年10月3日(火)~27日(金)
東京都 国立劇場 大劇場

作:四世鶴屋南北
監修:奈河彰輔
補綴:国立劇場文芸研究会

出演:片岡仁左衛門中村歌六、中村又五郎、中村錦之助片岡孝太郎中村歌昇中村橋之助、中村梅花、片岡松之助、上村吉弥坂東彌十郎中村雀右衛門片岡秀太郎 ほか

ステージナタリーをフォロー