杉本博司の“集大成”が10月オープン、江之浦測候所での上演も示唆

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10月に神奈川県小田原市にオープンする「小田原文化財団 江之浦測候所」の記者発表会が、昨日5月26日に東京・国立天文台 三鷹キャンパスにて行われ、同財団のファウンダーである現代美術作家の杉本博司が登壇した。

左から国立天文台職員の山岡均、杉本博司、小田原市長の加藤憲一。

左から国立天文台職員の山岡均、杉本博司、小田原市長の加藤憲一。

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杉本博司

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杉本が設計した江之浦測候所は、ギャラリー棟や石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門などで構成された文化施設。100mにおよぶギャラリー棟には開館記念展として杉本のアート作品が展示されるほか、屋外に設置された光学硝子舞台と石舞台では、公演プログラムを開催予定だという。

ガラス性の床のみで構成された光学硝子舞台は、現状では手すりがない状態となっているが、今後設置する可能性もあると杉本は示唆。「危ないかもしれませんが、命懸けで踊りたいという演者の方に優先的に使っていただければ」と笑顔を見せつつ、能舞台の寸法をもとに設計した石舞台では、能の演目「石橋」を上演したいと構想を明かす。また「昔は雨が降ったら次の日に順延するという選択肢もあったが、現代では難しいところもある。古代的なメンタリティで『今日上演できなかったので明日来てください』というゆるいテイストの演劇が今あってもいいんじゃないか」と今後の活用についてもコメントした。

「杉本文楽 女殺油地獄」チラシ

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さらに会見では、8月に東京・世田谷パブリックシアターで上演される「杉本文楽 女殺油地獄」の話題も。与兵衛が油まみれになりながらお吉を殺害する場面に特化した構成となることや、鶴澤清治が新作曲を手がけること、愛知県の野外博物館・明治村が特別協力として携わることなどが、プロデューサーの足立寛氏より発表された。

最後に杉本は「江之浦測候所は自身の人生における集大成」と説明。「アートで得たお金はアートに還元したいと思い、建築物を作ろうと決心しました。自分のためでなく、公益法人として世の中に残るような文化施設になれば」と思いを語り、会見を締めくくった。同施設は10月9日にオープン。入館については完全予約・入替制となっており、予約受付は7月20日に財団公式サイトにて開始予定。また「杉本文楽 女殺油地獄」の公演は、8月11日から13日まで世田谷パブリックシアターで行われ、チケットの一般販売は6月10日に開始する。

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「杉本文楽 女殺油地獄」

2017年8月11日(金・祝)~13日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター

構成・演出・美術:杉本博司
作曲・演出:鶴澤清治
振付:山村友五郎

出演

太夫:竹本千歳太夫、豊竹呂勢太夫、豊竹靖太夫
三味線:鶴澤清治、鶴澤藤蔵、鶴澤清志郎、鶴澤清馗
人形:吉田幸助、吉田玉佳、吉田一輔 / 桐竹紋臣、吉田玉勢、吉田玉翔、吉田玉誉 / 吉田玉彦、吉田玉路、吉田玉延、吉田簑悠
囃子:望月太明蔵社中

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小田原文化財団 @odawara_af

先週金曜日の記者発表会を受け、「ステージナタリー」にて、「小田原文化財団 江之浦測候所」オープンに関する記事が掲載されました。8月の「杉本文楽 女殺油地獄」の解説も。公演チケットは、ぴあ、イープラスにて先行予約受付中です!https://t.co/20VdDG3Xr7

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