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小劇場を愛する俳優と観客が集結!スイッチ総研「あなたの知らない本多劇場」

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「あなたの知らない本多劇場」より。トイレの扉から松村武が。(撮影:三上ナツコ)

「あなたの知らない本多劇場」より。トイレの扉から松村武が。(撮影:三上ナツコ)

2月15日に東京・本多劇場で、「スイッチ総研 バックステージツアー型スイッチ『あなたの知らない本多劇場』」が上演された。

「スイッチ」とは、観客が会場に設置された指示書きに従ってアクションを起こすと、3~30秒の上演が始まる参加型の演劇体験。これまでも六本木アートナイトや恵比寿文化祭、おおさかカンヴァスなど、日本各地のイベントで、その場所ならではの趣向をこらしたスイッチが上演されてきた。

「あなたの知らない本多劇場」は下北沢演劇祭の演目のひとつで、本多劇場の表から裏までをくまなく見せる企画。同劇場にゆかりのある俳優たちも多数出演し、盛りだくさんの内容となった。

観客は3~4人ずつのグループに分けられ、まずはスイッチ総研・光瀬指絵がテキパキと采配を振るう、劇場ロビーへ。順番に楽屋口の前に誘導されて、普段は入ることのないバックステージへと案内される。と、いきなりひとつ目のスイッチを発見。赤い印のついたボタンを押すと、背後の扉からカツラを手で押さつつ慌てて「大丈夫だから!」と楽屋を飛び出してくる女優(森谷ふみ)と、「先生!」と叫びながら彼女を追いかけていくスタッフ(佐藤真弓)の2人が現れた。あまりに一瞬の出来事に飲まれて、初対面にもかかわらず観客同士、顔を見合わせて笑ってしまう。そのまま案内に従い、劇場の奥へ。

楽屋でエロ本に群がる男性俳優たちを目撃したり、ステージの中央に立つとパッとライトが点いて客席から拍手で出迎えられたり。普段客席では感じることはできないが、俳優やスタッフたちにはお馴染みかもしれない光景を、観客が一緒に体感できるのも楽しいポイントだ。

また楽屋のれんの向こうから平田敦子がぬっと登場したかと思えば、劇場2階の小さな扉を開けると黒子姿の小松和重が出迎えてくれる場面も。そして廊下の壁や階段の片隅など普段気づきもしなかった小さな扉からは、松村武峯村リエがひゅっと顔を覗かせて、至近距離で話しかけてくる。そんな貴重な体験に驚きながら、あっという間にツアーは終盤へ。

最後はロビー奥にある劇場スタッフの部屋へ通される。一番奥の応接室には、スーツ姿の千葉雅子がソファに腰掛け、本多グループの専務だと名乗る。そして「あなたたちのリアクションをずっと見ていました」と言いながら数行のセリフが書かれた紙を取り出し、劇場を出るときにそのセリフを言ってほしいという。千葉と、その脇に控えるスイッチ総研・大石将弘の迫力に気圧されて、観客は「スイッチ総研最高ですね」「本多劇場っていい劇場ですね」と、少し恥じらいながらも口にして劇場を後に。劇場と観客、俳優と観客、観客と観客、それぞれの距離を縮めてくれたような公演は、大盛況のままに幕を閉じた。

勝手に! 祝 !! 下北沢演劇祭26周年記念 バックステージツアー型スイッチ「あなたの知らない本多劇場」

2016年2月15日(月)
作:スイッチ総研+下北沢演劇祭スイッチ研究員
総合演出:光瀬指絵
研究開発・出演:大石将弘、光瀬指絵、山本雅幸、上田遥、大重わたる、亀島一徳、川上友里、菊池明明、後藤剛範、小松和重、榊原毅、佐藤銀平、佐藤真弓、佐山和泉、澤田慎司、三軒茶屋ミワ、島田桃依、多賀麻美、千葉雅子平田敦子松村武峯村リエ、宮部純子、村上航、森下亮、森谷ふみ、和田瑠子 / 荻野祐輔、日坂春奈、濱野ゆき子、細谷貴宏、矢野昌幸 / 綾門優季、内山奈々、江間みずき、遠藤昌宏、亀田梨紗、Q本かよ、久保広宣、久保田武人、熊川ふみ、須佐光昭、鈴鹿通儀、相馬陽一郎、田島冴香、長南洸生、仲澤剛志、永瀬安美、南波圭、新部聖子、野村麻衣、長谷川皓大、平吹敦史、前田綾香 / 猫背椿

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