「心中天網島」をルヴォーが演出、深津絵里×中村七之助が時を超えて通じ合う

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深津絵里中村七之助が初共演する舞台「ETERNAL CHIKAMATSU 近松門左衛門『心中天網島』」が、2月29日に大阪・シアタードラマシティで開幕。この製作発表が、去る1月27日に行われた。

(左から)デヴィッド・ルヴォー、中嶋しゅう、深津絵里、中村七之助、伊藤歩、音尾琢真。

(左から)デヴィッド・ルヴォー、中嶋しゅう、深津絵里、中村七之助、伊藤歩、音尾琢真。

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本作は近松門左衛門の代表作「心中天網島」をもとに、イギリス人演出家デヴィッド・ルヴォーが演出を手掛けるオリジナル作品。故・18代目中村勘三郎と歌舞伎に魅せられたルヴォーが、共に歌舞伎に取り組む約束を数年前に交わしており、それが企画の発端になっている。物語の軸となるのは、やむにやまれぬ事情から売春婦になった深津絵里演じる現代女性・ハルと、七之助演じる江戸時代の遊女・小春。妻子ある男性との命懸けの恋に苦悩する2人は、時代を超えて通じ合い……。製作発表には、ルヴォーをはじめ、キャストの深津絵里、中村七之助、伊藤歩中嶋しゅう音尾琢真が登壇した。

カメラマンの「腕を組んでください」というリクエストに、はにかみながら応じる3人。(左から)デヴィッド・ルヴォー、深津絵里、中村七之助。

カメラマンの「腕を組んでください」というリクエストに、はにかみながら応じる3人。(左から)デヴィッド・ルヴォー、深津絵里、中村七之助。[拡大]

まず本企画のイメージについて聞かれたルヴォーは、「本作のベースには、現代と過去の日本をつなぐというイメージがあります。近松がくれた“地図”をもとに、世界を見直す作品になるのでは」とコメント。さらに「ハルと小春は、互いの中に自分を見つけて愛を探っていきますが、この作品ではそんな、社会の中で生きる女性ということについても問いたいと思います」と自身の考えを述べた。キャストについては「ちょっとロックンロールな感じと言いますか、情熱とか勇気、スピリットを持っていないと演じるのが難しい作品になると思いますが、それらを持った俳優さんたちに集まっていただけたと感じています。絵里さんとは以前からお仕事をしたくて、今回ようやく叶いました。また、勘三郎さんの息子さんである七之助さんに出演していただけるのは、何か運命のようなものを感じますし、とても意義深いですね」と、カンパニーへの信頼感を満面の笑みで語る。

続けてキャストが、それぞれの役の印象や意気込みをコメント。深津が「この企画を伺ったときに、これまでさまざまなプロダクションで上演されている近松の物語を、デヴィッドさんがどう演出されるのか、非常に興味を持ちました。またなかなか共演する機会がない七之助さんとご一緒できると聞いて、ワクワクしたのも覚えています」と述べると、七之助が恐縮した笑顔でうつむきながら首を横に振り、会場は一気に和やかな雰囲気に。さらに深津は「デヴィッドさんのアイデアがたくさんちりばめられていて、とてもユニークな作品になるのでは。まだまだ稽古が始まったばかりですが、共演者の皆さんとたくさん知恵を出し、愛情をかけて、よりよい作品にしたいなと思います」と噛みしめるように語った。

七之助は、「近松作品をルヴォーさん演出で、歌舞伎俳優たちと上演するのが父の夢でした。が、今回はそのアイデアをはるかに上回るプロジェクトになり、そんな作品に出会えたこと、また私がその父の遺志をひとつ継げたことは、非常にありがたく思っております」と凛とした声で発言。「父がよく言っていたことですが、『型がある人が新しいことをやるから型破りになるのであって、型がない人間がやってもだめだ』と。その言葉を踏まえ、私も型の勉強はずっとしておりますが、今回は守りに入らないように、ほかの俳優さんたちとセッションしながらがんばりたいなと思います」と意気込みを語った。

デヴィッド・ルヴォーの一言に和やかに応じる深津と七之助。

デヴィッド・ルヴォーの一言に和やかに応じる深津と七之助。[拡大]

遊女小春に入れあげる夫・紙屋治兵衛の妻・おさん役の伊藤歩は、「おさんは、治兵衛さんがちゃんと死なずに戻って来てくれさえすれば、私はいつでも支えますという懐の深い女性。でも私はまだそこまでの境涯には至っていなくて。稽古でおさんの愛の形を、治兵衛さんや小春さんとのやり取りの中から表現できたらいいなと思っております」と役へのアプローチを模索中であることを明かす。

また、現代のシーンではババア、過去のシーンではジジイと2役を演じるのは中嶋しゅう。「私は自分が演じる2役が実は1役だと思っていて。もっと言うと、近松自身じゃないかと思うんです。近松が現代にふらっと遊びに来た……そんなイメージで今、稽古しています」と、ベテランならではの鋭い考察を語った。

現代ではハル、過去では小春に思われる男性を2役で演じる音尾琢真は「役者にとってご褒美とは、いい俳優さんと向き合ってお芝居できることだと思うんです。今回は深津絵里さん、七之助さんと面と向かってお芝居できるシーンがあり、かなりのご褒美をいただきました!」と明るい声で語り、会場の笑いを誘った。さらに「まだ模索中ではありますが、素晴らしい俳優のお2人に、ぜひいろいろ引き出していただきたいなと思っております」と音尾が述べると、深津と七之助がそれに笑顔で応じる場面も。そんなやり取りの様子からも、カンパニーの仲の良さがうかがえた。

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「ETERNAL CHIKAMATSU 近松門左衛門『心中天網島』」

2016年2月29日(月)~3月6日(日)
大阪府 シアタードラマシティ

2016年3月10日(木)~27日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン

作:谷賢一
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:深津絵里中村七之助 / 伊藤歩 / 中嶋しゅう / 音尾琢真 ほか

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Wakaba Saeki @WakabaSaeki

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