「転生したらスライムだった件 第2期」特集 トム・ブラウン インタビュー|転生モノ&ラノベ嫌いにこそ観てほしい!

テレビアニメ「転生したらスライムだった件 第2期」の放送が2021年1月にスタートするのに先がけて、ナタリーではジャンルを横断した特集を展開中。お笑いナタリーにはトム・ブラウンを迎え、もともと「転スラ」ファンだったみちお、自分とは縁のない作品だと思い込んでいた布川、それぞれの視点で見どころを語ってもらった。「あの合体漫才の発想は主人公のスライム・リムルの“捕食者スキル”とほぼ一緒」「リムルと最初に出会う暴風竜・ヴェルドラがトム・ブラウンのコントよりも面白い設定」といった分析も飛び出すインタビューを、撮り下ろし写真と併せて楽しんでほしい。

取材・文 / ナカニシキュウ 撮影 / 小林恵里

「転スラ」は“巻き戻しいらずアニメ”

──みちおさんが以前からの「転スラ」ファンだそうですが、どんな出会いだったんでしょうか。

トム・ブラウン

みちお 4、5年前にレンタルコミックで借りたコミカライズ版が最初です。映画が好きなのでTSUTAYAさんをよく利用するんですけど、当時はお金がなくて、ポケットに100円くらいしか入ってないような時期で。DVDを借りるには消費税込みでギリギリ足りないみたいな感じだったんですけど、マンガだったら80円で借りられるので、オススメの棚にあった1巻を借りて読んだんです。そしたらすごく面白くて、またお金を貯めて続きを借りに行って……。

布川ひろき 貯めるっていうほどの額でもないけどな(笑)。

みちお 敵キャラの能力を取り込んで強くなっていくっていう、今までありそうでなかった設定に魅了されてのめり込んでいきました。その後、いわゆる“転生モノ”と呼ばれる作品をいろいろ観るようになったのもこれがきっかけでしたね。

──布川さんは?

布川 僕はアニメ自体をそんなに観ないので、「転スラ」もまったく観ていませんでした。マンガで言うと「魁!! 男塾」とか「ミナミの帝王」、「グラゼニ」などの劇画系が好きで、ファンタジー系にはあまり触れてこなかったんです。ただ、「転スラ」に関してはみちおがよく面白い面白いと言っていたので、存在は知っていました。

みちお TSUTAYAで見つけた当時も「めちゃくちゃ面白いマンガあるぞ」って勧めたんですけど、「ふーん」くらいの感じで(笑)。

布川ひろき

布川 「ドラゴンクエスト」は好きなんで、スライムというモンスターになじみはあったし観てみようかなとも思ったんですけど。ただ、相方に言われたから観るっていうのもなんか嫌だなと(笑)。

みちお でもさ、「ドラクエ」で言ったら一番弱いモンスターが一番強くなるためにがんばるみたいな話だよ。

布川 そうね。

みちお 「仮面ライダー」で言ったらショッカーが強くなっていくみたいなことだからね。あと「北斗の拳」で言ったら……。

布川 例えはもういいよ(笑)。みちお以外の人から聞いてたら素直に観ていたかもなー。相方に影響されるってちょっと恥ずかしいじゃないですか。

──今回、そんな布川さんにも「転スラ」をご覧いただきました。いかがでした?

布川 めちゃくちゃ面白くて、第1期の2クールぶんを2、3日で一気に観ちゃいました。僕は意味がわからないとすぐ巻き戻しちゃうタイプで、「半沢直樹」はだいたい7回くらい巻き戻すんですけど(笑)、これは一切巻き戻さずに観られました。「転スラ」は“巻き戻しいらずアニメ”です。

みちお

みちお だいたいのアニメがそうだろ(笑)。

布川 ただ、もともとファンタジー系には苦手意識があって、絵柄もかわいい感じだし、最初は「大丈夫かな?」みたいな気持ちもあったんですよ。

みちお 食わず嫌いしてただけだよな。倒した敵と仲間になるとか、近隣諸国との政治的なやり取りの面白さとか、ちゃんと大人が観て楽しめるようにできているから、絵柄や雰囲気に惑わされて観ないなんてバカですよ。

布川 ……バカ!? でも、そんなに否定はできないですね。萌えアニメみたいな系統の絵柄に見えていたんで。

みちお 要するに、自分とはほど遠いジャンルだと。

布川 そう。でも、観ていくと「男塾」みたいに戦った相手とどんどん仲間になっていくんですよ。だから、これはほぼほぼ「男塾」だなと思って。

──なるほど、「転スラ」は“令和の男塾”であると。

主人公のスライム・リムルのぬいぐるみを持つトム・ブラウン。

布川 そうです。“令和の男塾”、これ僕が言ったことにしといてください。

みちお ダメだろ(笑)。

布川 くしくも僕ら、合体する漫才をしてるじゃないですか。「みちおの脳裏には『転スラ』があった可能性もあるなあ」っていうのも思いました。

みちお 合体漫才に直接影響したのは「ドラクエ」でスライムが合体してキングスライムになるくだりなんですけど、「松任谷由実さんが木村拓哉さんのスキルを取り込むとどうなるか?」みたいな発想は、確かにリムルの「捕食者」スキルとほぼ一緒なんですよね。

──でも、リムルの「捕食者」スキルは基本的に失敗しないですよね。お二人の漫才は失敗することが前提ですけども。

みちお あははは、そうですね。僕らはギャンブル性の高いリムルです(笑)。

ヴェルドラの設定は俺たちのコントの面白い版

──お気に入りのキャラクターはいますか?

見た目とは裏腹に戦闘力の高いゴブタ。リムルと友達になるヴェルドラ。

みちお もちろん一番感情移入するのはリムルなんですけど、好きなのはゴブタ。

布川 見た目も似てるしな。

みちお (笑)。一番ひ弱そうなのに、陰の努力を怠らずに剣術を磨いて、意外と戦闘では強くて。でも天然なところもあって癒されます。たぶん今後もどんどん強くなっていくんだろうな。もちろんみんなも強くなっていくんでしょうけど、ベニマルとかは強くて当たり前な感じがしちゃうじゃないですか。ゴブタの場合は、善戦してると「がんばれー!」って気持ちになる(笑)。

布川 僕はヴェルドラが好きです。というのも、リムルとヴェルドラの出会うシーンがこのアニメで最初に「面白いな」と思ったポイントだったんですよ。普通に重厚なキャラだとばかり思っていたら、まさかのボケキャラで(笑)。アニメ界ではこういう設定がベタなのかどうかは知らないんですけど、少なくとも僕は見たことない感じだったんで「何これ? 俺が知ってるものと違うな」って。

みちお しかも、そこからの展開も新しくない? 取り込んで自分の中に住まわすっていう。

布川 それも確かにそうなんだけど、そこを面白がるっていうのはネクストステージに行ってる人の意見だな。

みちお ネクストステージって(笑)。

布川 初心者の僕は単純に、ああいう怖い感じの見た目でボケるっていうのが新鮮で。僕らもよく「みちおがビジュアル系バンドのオーディションに来る」みたいなコントをやるんですよ。単に「配役、逆だろ」ってだけのボケ(笑)。ヴェルドラは、それのすごく面白いバージョンですね。

みちお 俺たちが劣化版で(笑)。

布川 「そうか、そうやればウケるのか!」って思いました。

──第1期を通じて、とくに印象に残っているシーンを教えてください。

布川 僕は魔王ゲルド戦ですね。

みちお 実はこの前、「有吉の壁」(日本テレビ)でそのシーンをオマージュしたネタをやったんですよ。編集の壁を越えられたかはわからないですけど(笑)。有吉(弘行)さんも最近「転スラ」にハマっているらしいです。

魔王ゲルドとリムルの戦い。

布川 僕はそのとき、まだ元ネタのシーンを観てなくて。アニメでそのシーンにたどり着いたときは「うわ、これか!」と思いましたね。前後のストーリーをちゃんと把握した上であのネタをやっていたらもっと面白くできた気がします。

──かなり迫力のあるシーンでもあるので、それこそ「男塾」のような作品が好きな人にも刺さりやすいかもしれないですね。

布川 そうですね。ゲルドは大豪院邪鬼クラスのデカさだったんで。

みちお でさ、倒し方が結局「捕食して取り込む」なのが面白くない?

布川 それはネクストの見方かな。

ハチミツで魔王ミリムを手懐けるリムル。

みちお 浸透してない“ネクストステージ”を早くも略すなよ(笑)。僕が面白かったシーンで言うと、魔王ミリムが来たときにハチミツで手懐けるくだりが最高でしたね。

布川 僕もそこは最高だと思いました。今まで観てきたアニメにはほぼほぼ女の子は出てこなかったんで、最初はああいう美少女キャラ自体に抵抗があったんですけど、ミリムはめちゃくちゃかわいい。

みちお ははは(笑)。あと、特定のシーンではないんですけど、たとえば「捕食者」と「飢餓者(ウエルモノ)」が統合されて「暴食者(グラトニー)」になりました、みたいな、能力がツリー状に進化していくところが一番面白いポイントだと僕は思っていて。「このキャラを取り込んだらどういう能力が手に入って、今持っている能力と組み合わせて何ができるようになるんだろう?」っていうふうに考えながら観るのはすごく楽しいですね。

布川 それはダブルネクストだな。

みちお なんだよダブルネクストって(笑)。