現在のテレビバラエティは刺激の足りない番組が多いのではないだろうか。そう考えたビートたけしが今まで見たことのないテレビ番組を作ろう！と立ち上げたのがこの番組だ。伝説の「お笑いウルトラクイズ!!」チームとタッグを組み、さまざまなバラエティ番組企画を提案。2008年に日本テレビの開局55周年記念番組として放送され、17.2％という高視聴率をマークした。DVD化にあたっては、テレビでは放送できなかった場面も、特典映像としてたっぷり40分収録。より過激で刺激的なビートたけしの世界を覗き見ることができる。番組を見た人も、まだ見ていない人もこれを機にDVDをチェックしよう。

取材・文／加治屋真美

今まで見たことない！ものまねグランプリ

司会はガダルカナル・タカ。審査員にはビートたけし扮するものまね評論家のやなぎうまれひろし。原口あきまさ、ホリ、はなわなど、ものまね番組の常連を集めたうえで、いきなり持ちネタ封印のルールを発表。芸人たちはその場に用意されたカツラや小道具などをヒントに、今までやったことのないものまねを要求される。制限時間はビートたけしが飽きるまで。そんな過酷なルールの中、次々とネタを思いつき披露する超新塾、まさかのキャラクターになりきる若井おさむ、モノマネでもやはり体を張るダチョウ倶楽部。切羽詰まった芸人たちが、ハンドソープからたけしの奥さんまでさまざまなものまねを生み出していく。瞬時にたけしの鋭い評価を受けながら、本当のものまね力を試される芸人たちの奮闘ぶりは必見。しかし優勝者を決める時間になると、意外な人物が決定権を握ることになり……。

出演：ビートたけし / ガダルカナル・タカ / ダチョウ倶楽部 / 三又又三 / 原口あきまさ / イジリー岡田 / はなわ / ホリ / ゆうたろう / 超新塾 / アンガールズ / 長州小力 / 若井おさむ / ザ・たっち

感動ご対面番組「逢いたいかい？」

逢いたい人にただ逢わせて涙を誘う演出はもう古い！ 再会する瞬間をもっと感動的に演出できないか、と、ご対面番組に物申したいたけしが企画した感動ご対面番組。今回の依頼者は児嶋一哉（アンジャッシュ）。30年前に生き別れたお父さんに逢いたい、家族3人で暮らしたいとスタジオにやってきた。しかしビートたけし扮する逢わせたがり屋の徳光夫（とくみつお）にうながされ感動の扉を開くと、その向こうには熱湯風呂とダチョウ倶楽部が。児嶋が熱湯風呂に入り、おしりでスイッチを押していた時間だけお父さんに逢える、という演出だ。「お父さんに逢いたいだけ入りなさい」と言われ、渋々チャレンジすることになるが……。ダチョウ倶楽部の熟練の熱湯風呂芸に注目。さらにクイズに正解したらお父さんに逢える「クイズ タケオネア」バージョンも収録。

出演：ビートたけし / ダチョウ倶楽部 / アンジャッシュ / ほたるゲンジ / 馬場典子

テレビ北野体操

テレビ体操をもっと画期的なものに変えよう！ と、今まで以上に専門的で健康になれる体操を考案。ビートたけし扮する北野体操指導員・唐田曲造（からだまげぞう） のかけ声のもと、上級者のふたりとチャレンジャーのにしおかすみこが体操を開始する。「全身を伸び伸びと動かして！」「そう簡単です！」という唐田曲造の言葉とは裏腹に、前転宙返りや180度のエビゾリなど高度な技を繰り広げる上級者たち。その難易度はもはや雑技団レベル。涼しい顔で技を披露する上級者を前に、なんとかついていこうとするにしおか。しかし当然ながら体の柔らかさは雲泥の差、片足でバランスをとろうとすれば、よろけて画面から消えていく始末。スタジオで観ていた宮崎哲弥に「視聴者にひざまずく番組が多い中、視聴者に挑戦している画期的な番組」と絶賛された好企画。

出演：ビートたけし / にしおかすみこ

めざましネタテレビ

ピンポイントで「めざましテレビ」に物申す企画。めざましと言うのなら、ちゃんと起こしてあげなければ。さらにお笑いネタ番組の要素も加えたコラボ番組を提案。ということで、司会のガダルカナル・タカが早朝、若手芸人たちが寝ている部屋に潜入。耳元で本人の持ちネタのキッカケのセリフをささやき、寝ている芸人が起きてネタを始めるまでの秒数を競う。まずは山本高広の部屋に潜入。目薬も用意し「キターーーッ！」のきっかけとなる言葉をささやくが……。ザブングル加藤を起こす際には、相方の松尾も協力。寝起きでも「カッチカチやぞ！」とテンション高く言えるのか。小島よしおは、起きるまでの秒数よりも早朝から素っ裸でネタ披露という姿でインパクトを残す。そして最終的にはビートたけし自ら、世界のナベアツの寝込みを襲おうと計画するが……。

出演：ビートたけし / ガダルカナル・タカ / 世界のナベアツ / 山本高広 / 小島よしお / ザブングル / クールポコ

死体役スター誕生！

主役だけをオーディションするのはもう古い。映画で大事なのは脇なんだ、と力説するビートたけし。あの大杉蓮も最初は死体役だった。ということで、明日の死体役スターを探すオーディション番組が誕生。進行役に今田耕司、解説にはビートたけし演じる大黒澤大明（おおくろさわだいあきら） 。審査員には、デビュー作で焼き殺される花嫁を演じた山村紅葉。審査のポイントは、死体の迫力・無念さの表現・動かずにいられるかの3点だ。オーディション参加者は広大な土地のどこかで、思い思いの死体となって待機し、審査を待つ。いきなり「犬神家の一族」のあの名シーンを再現したのは猫ひろし。体半分が水中という命がけの演技を見せた。有吉弘行と酒井敏也による鞍馬天狗の死体は、5時間にも及ぶ特殊メイクによる本格派。ダチョウ倶楽部はお得意の熱湯風呂にかけた死体を披露する。

出演：ビートたけし / 今田耕司 / 山村紅葉 / ダチョウ倶楽部 / 日村勇紀（バナナマン） / 有吉弘行 / カンニング竹山 / 酒井敏也 / にしおかすみこ / 猫ひろし