「上下関係がゆるい」という評判

──まずは、みなさんがスクールJCAに入学することになったきっかけや理由を、1人ずつお聞かせください。

巨匠・本田　アンタッチャブルさんやおぎやはぎさんが「リチャードホール」（フジテレビ系で2004年から2005年まで放送されていたバラエティ番組）に出ていらして、「人力舎いいな！」と。「上下関係がゆるい」みたいな噂も聞いたので（笑）、JCAを選びました。

巨匠・岡野　やらしい話、JCAって一番入学金が高いんですよ。僕は福井県の出身で、お笑いの仕組みをよく知らなかったんですけど、「一番高いところに行けば間違いないだろう」という考えがあって（笑）、JCAに入学しました。もちろん「丁寧にちゃんと教えてくれる」という評判もあるんですよ。

リンゴスター小川　高校を卒業してからお笑いやろうと思って入りました。同じ学校にすごくヤンチャでヒーロー的な子がいて、その子が吉本に行くって言ってたんです。「それなら別のところに行かないと」と探したら、人力舎が一番先輩後輩の関係がゆるい、と聞いて（笑）。人力舎はそこがやっぱり強みですよね。

リンゴスター平田　そもそも芸人を目指すきっかけがラジオで、おぎやはぎさんとアンタッチャブルさんの番組をよく聴いていました。雰囲気がなごやか、でも面白い、というのに憧れて人力舎に入りました。

リンゴスター高野　ほかにも事務所は考えましたけど、僕は「ちょっとちょっと！」と前に出られるような人間じゃなくて。じゃあ人力舎だと。消去法かも知れないです（笑）。山手線圏内に事務所がないのも、ちょっと尖っててかっこいい。入ってみれば最高の事務所です！

平田　最後にそれ言えばいいと思ってる？（笑）

授業で精神が鍛えられる

──スクールJCAのどんな授業が現在役に立っていると感じますか？

岡野　粋な授業が多いんですよ。「お前らで理由を学べ」と。1時間ゴリラのモノマネをする授業もあって、その当時はいやがらせだとしか思えなかったんですけど（笑）、今思えばプライドを折る授業なんでしょうね。絶対ウケないんですよ。それでも耐える。精神が鍛えられます。スクールに入ったときって何でもできると思ってるんですが、「できないこともあるんだ」と気付かされる。

平田　「自分で学ばなきゃいけない。自分から変えていけ」ということを教わります。自分でがんばったぶんだけ、対価が得られる。自立心が芽生えます。

岡野　生徒の人数が少ないぶん、講師の方にはネタをよく見てもらえました。やる気のある人はいいと思います。放任主義なので、やらなくても怒られはしない。

高野　授業が週3ペース、朝と昼で2時間ずつというのもちょうどいいです。毎日あるわけでもない。

本田　俺、皆勤賞だったんですよ。

小川　僕も皆勤賞でした。

岡野　「JCAの皆勤賞ヤバい説」というのがあるんですよ。皆勤賞にろくな人がいない（笑）。

小川　でも、アンタッチャブル山崎さんも皆勤賞だったみたいですよ？ 山崎さんはJCAですべて学んだ。だから皆勤すれば、山崎さんみたいになれる。僕も皆勤賞になって、山崎さんに近付けた感じですね。

平田　残念ですが、近付けてはいないです（笑）。

コンビもトリオも養成所で結成

──ほかにはどんな授業がありましたか？

小川　ハンカチ落としを1時間する授業がありました。

平田　その中で芸人同士のやりとりや駆け引きを学べる。

岡野　あと、売れてる先輩が授業に来ます。

平田　僕らのときはアンタッチャブル柴田さんが授業に来てました。そういう人と接すると、「こうなりたい」って強く思うようになります。

──コンビやトリオも養成所の中で決まったのでしょうか？

岡野　僕らは養成所で組みました。最初に親睦会みたいなものがあって、たまたま（本田と）席が隣で。ネタ見せがあるというので1回組んでみようというところから、ほかの誰とも組まずに今に至りました。またやらしい話ですけど、“そっち”のほうでも「1人しか経験してないと、ほかの人はどうなんだろう？」って考えるじゃないですか。

本田　遊ぼうとしてる？ 浮気危ないよ（笑）。

──1人しか経験していない状態で、現在の巨匠さんのコンビネーションはいかがでしょう？

岡野　個人個人がんばろうと思ってます。特にネタがコントなので、ボケとツッコミみたいな関係性があまりなく、適切な距離を保ちつつ……でも、これは「仲いいです」って言ったほうがいいですよね？（笑） いやー、仲いいです！（笑）

──リンゴスターさんはどうですか？

平田　僕らも養成所で組んでます。歳が2個ずつ違うんですけど、ほかのコンビで組んでたのが同じ時期に解散してから、トリオで始めました。

小川　僕らは逆にそれまで遊びすぎちゃったんで（笑）、今は落ち着いてるんですよ。

高野　「いい家庭を作ろう」と。

──スクールの行事として、ほかの事務所さんとの対抗戦もあるそうですね。

岡野　僕らのときは2クラスあって、4、50人の中から6組だけ選ばれるんです。僕らも選ばれて、“選ばれし者”みたいな気持ちで行くので、これが意外とうれしいんですよ。ま、結果はめっちゃ負けましたけど（笑）。それまでは人力舎のライブしか知らなかったので、初めてほかの事務所の人とやる対抗戦を経験して、すごくやる気になりました。