YCCがきっかけを与えてくれた

──斉川さんと箱崎さんは、スクールに入ってよかったですか？

箱崎　今作家として仕事ができてることが一番よくて。お給料をもらって、毎日笑って、という生活が送れている。目標というか、思い描いていたふわっとした夢がちょっとずつ現実味を帯びながら過ごせている。そのきっかけを与えてくれたのがYCCなので、入ってよかったなあ、と思います。

斉川　僕にとっても、作家になる一番の近道でした。1年の中でいろんな授業があって、その中で自分が向いてるところが探せる。選択肢がありつつ、結果的に今自分がやりたい作家ができています。

──「作家になる方法がわからない」と言う人も多いと思います。

太田　「ラジオでハガキ職人になって面白さを認められる」というのもいまだにあるって聞きますけどね。YCCが一番近道かなと。想像以上に劇場で働いている人がYCC出身者なんですよ。卒業してすぐ実践の場に付けそう。

斉藤　「仕事できるな」って思った人がYCC出身者だったことがよくあります。1年間の授業が濃密で、いろんなことを教えてもらえるでしょうし、卒業してからすぐに仕事しやすいんでしょうね。

太田　よしもとはこれだけ劇場がありますし、毎日興行をやっていますので、YCCに通ってすぐその仕事に付けるチャンスが多い。よしもととの関係で働くんだったら、YCC経由で入るってやり方もあるのかなと。チャンスがあって、将来に直結してる学校だと思います。

NSCがなければジャングルポケットはなかった

──続いてジャングルポケットさんにも、NSC時代の話をお伺いできればと思います。

太田　僕らはNSC東京12期生なんですけど、NSCと言えばうちの斉藤が、誰もが認める“主席”の卒業生でした。ダンスの授業も全部一番成績がいい優等生。ミスターNSCです。

斉藤　文学座に在籍してから営業マンになって、そこからお笑いに転向しました。もともと俳優になりたかったんですけど、営業マンのときの上司に「あんた仕事楽しくないでしょ。俳優なりたいんでしょ。よしもと行きなさいよ。お笑い芸人で俳優やってる人いるでしょ」と言われて、次の日に退職願とNSCの願書を出しました。

太田　「クソダサい真面目な面白い奴がいる」って噂になってました。彼の場合、創作ダンスが面白いんですよ。

斉藤　演劇を習っていた短大では、パントマイムや日本舞踊、ジャズダンスが授業の一環であったので、基礎は勉強してました。NSCでも、とにかく真面目にやれば面白くなると思っていたので、真摯に授業に取り組んでました。

太田　僕らはNSCで知り合って組んでいるので、NSCがなければジャングルポケットはなかった。

──相方を探そうと思って入学したということですか？

斉藤　ピンで来る人が半分くらいいましたね。僕もNSCの中で3組くらい組んでは解散してたんですけど。養成所がなかったら、こういう形で仕事できてない。

──3人で組もうと最初にアプローチしたのは誰ですか？

太田　僕とおたけが最初はコンビでやろうとしていたんですけど、僕は斉藤のこともいいなと思っていて。そしたら斉藤がコンビで組むいうのを聞きつけまして。でも、すげー迷ったんです。斉藤を入れると、斉藤のトリオになるじゃないですか？ 「コンビの二番手でいい」と思ってる精神で芸人になる奴はいない。「じゃないほう芸人」にはマジでなりたくなかったので、どうしようかと。でも結果的に、今もお笑いの荒波の中で沈没せずにいられるのは、斉藤の機動力があるからなのかな、と。

おたけ　その通りですね。僕は斉藤さんとはタイプというか性格がちょっと違ったので、斉藤さんの力が欲しい、というのはなかったんですけど。僕はもともと地元の奴が相方で、NSCでは仲のいい奴ばかりで遊んでた。太田は仲がよかったので、普段一緒にいるから組む、みたいな流れがありました。でも、まさか斉藤さんと組むとは思ってなかったです。斉藤さんは真面目なんですが、僕は全然学校に行ってなかったですし。

太田　おたけと斉藤は両極端なんです。2人とも異質な感じで、僕がちょうど中間。

おたけ　僕も、もっと真面目にやっておけばよかった（笑）。