折り紙付きのコントが目白押し

6回目を迎える今回の「はまぐちコントサークル」には総勢23組31名が出演。キャプテンのよゐこ濱口が進行を務め、姿を見せない“影の声”とコントの内容や芸人たちの立ち振る舞いについて軽妙なトークを繰り広げながら、ときに自らもコントに出演する。芸人たちが書いた新作コントは、多くの作品から濱口やスタッフが厳選したものばかり。「コントをサークル感覚で楽しむ」という名目ではあるものの、その品質はいずれも折り紙付きだ。

前後半にわけて披露された今回のコントは全13作で、トップバッターを務めたのは、うしろシティ阿諏訪作の「サッカー部」。なすなかにし中西が熱血教師役を演じる中、サッカー部を「辞めたい」と志願する生徒たちが登場する。自身も生徒役として出演した濱口はこのコントの終了後「オジンオズボーン篠宮のセリフが『オイ！』しかないです（笑）」と客席の誰もが感じていたことを笑顔で代弁した。

一人っ子カモシダ作のコント「パシリの浮気」は、2人の不良とその間で気持ちが揺れる1人の“パシリ”によるちょっと歪んだ物語で、濱口も「熱演でございます！」と喝采。続く「今年のサンタ」はそんな濱口の作品で、ピーマンズスタンダードの2人がヒカリゴケの片山を徹底的に翻弄する。片山は時節柄サンタクロースの役を演じ、甲高い声でノリツッコミを連発。濱口は「アドリブ満載でやってもらった。クリスマスネタをやったらウケるかな？ と思った。いつもアンケートで9位や10位なので、上位を狙いたい」と自身の作品に解説を加えている。

さんびーち山田作の「夜の海辺」は、モノマネ番組を思わせる“ご本人”がなぜか続々と出現するユニークな展開。同じくさんびーちのひょうご作の「優しい人」は、うしろシティ阿諏訪がタバコのライターを欲するなにげない一言が「優しさ」の奇妙な連鎖を生み出してしまうネタだ。コンビ揃って秀作が続き、濱口からも「怒涛のコントです。さんびーちはいいネタ書くんですよ！」と評価の声が上がった。

前半のトリを飾ったのは、収納王子コジマジックことオーケイ小島による「収納王子コジマジック」というコント。このネタではその名の通り、小島が次々と収納術を披露していき、小島以外の芸人たちも説明的な口調でセリフを淡々と繰り出した。内容的には実用性のありそうな収納術ばかりだったが、自身も出演した濱口は「もらった台本を読んで、飛び上がりました。収納情報だけが書いてある。暮らしの知恵をお届けしました！」と複雑な表情で振り返った。

だいなお・なお作の「番号」で爆笑の連続

後半の1作目はうしろシティ金子による「代打」。なお前半のトップもうしろシティ阿諏訪によるもので、濱口は「うしろシティの本には安心感がある。私には頼れる後輩が必要です」とコメントしている。なお、このコント「代打」にも出演しているムートン伊藤はこの日、ステージの随所で目立っており、金子は「伊藤さんを目立たせるのがテーマだった」と台本の意図を話しているが、濱口は「リハくらい力が抜けていると面白かった」と、伊藤の本番での過剰な気合の入れ方を指摘していた。

爆笑の連続だったのは、だいなお・なお作の「番号」。なすなかにし那須の号令のもと、なおと、なすなかにし中西、そして濱口という3人が、ひたすら自由奔放にボケ倒していく。激しくキレがあり、それでいて挙動不審な3人の動きや、あげく小声で弱音を吐いてしまう濱口の疲弊具合、那須が次々と繰り出すツッコミなどが次々と笑いをさらった。「なんでアンタが一番楽しそうなの!?」と那須に指弾された濱口はコント終了後「ただただ楽しくて、いきいきのびのびやれました」と話している。

そのほか後半戦には、タイムスリップしてきた人々が世代間ギャップトークを展開するピーマンズスタンダード南川作の「今何年？」、架空のテレビ番組を舞台にした少しブラックながらもユーモアに溢れた、なすなかにし中西作の「棺桶の中身」、有名ゲームキャラクターの実写版といえるコーヒールンバ平岡作の「ボンビー」など、優れた作品が登場。パワフルコンビーフ・コウタ作の「ラーメン屋」は、ラトビア出身の異色の女性芸人・エリザベータの活躍もあり客席をうならせた。

トリを飾ったのは梅小鉢・小森作の「おはしゃぎ村」。この作品について濱口はコントを前に「オジンオズボーン篠宮が（決勝大会で敗れた）『THE MANZAI 2012』の恨みをここで晴らす、と息巻いていた」と打ち明けている。実際、この舞台で篠宮はうしろシティ阿諏訪とともに「はしゃぐなよと言われても結局はしゃいでしまう」というテイで、独自の荒唐無稽なパフォーマンスを披露。最後のトークコーナーで篠宮は「どうも、私、はしゃがせていただきました。“はしゃぎ久仁子”です」などと軽妙に話して会場の視線を独占した。

ライブに足を運べなかった人は、ぜひ当日の模様をNOTTV笑STAGEでチェックしてほしい。

よゐこ濱口コメント

毎回コントのレベルが上がってきています。6回目にして書記の鈴木おさむが「今回が一番面白かったよ」って言ってくれました。80本近く台本がある中からスタッフ全員で投票して、いったん30本に絞って舞台でやってみて、そこから泣く泣く削った結果、あの13本になったんです。うしろシティや、なすなかにしは、何本もコント書いてくれてるんですけど、全部は使えないのでもったいないなぁと。でも、一度やってみようとなったコントは、全部「コント登録」という形でストックしてあって、一応ボツじゃないよ、と。今は100本以上になっています。

このサークルの魅力は「打ち上げ」ですかね（笑）。「本番は2時間くらいで終わるけど、打ち上げは朝までやってるやん！ そっちで声、枯れてるやん！」ということもあったり（笑）。2部のカラオケ企画もこの打ち上げから生まれました。今後は劇団みたいにデカいお芝居を作ってみたいです。NOTTVをご覧の方も、スマートフォンの画面でまずは楽しんでもらって、生でもぜひ観てほしい。違う世代の子らと一緒にやるのはなかなかないこと。このサークルは僕にとっても、本当に勉強になります（笑）。