いじめから救ってくれたのがお笑いだった

──お笑いを好きになったきっかけを教えてください。

兄　僕は小学校1年から3～4年まで記憶がないくらい、ものすごくいじめられていたんですよ。それを救ってくれたのがお笑いだった、と。進学校だったんで、いじめのほうも頭のいい感じのいじめで……。帰りはランドセルが所定の場所にないのが当たり前なんですよ。あと、学校で友達の中だけで使えるお金っていうのがあって（笑）。まずそれを本物のお金で買うんですよ。お金で買ったお金を使って牛乳とかを買わされたりして。やっぱ頭いいですよね、1つの社会が作られてましたから。

──どうやってそこから抜け出したんですか？

兄　きっかけは単純に、先生のモノマネです。それで「あいつ面白えじゃねぇか」みたいになって、徐々にみんなが話してくれるようになったっていう。そのとき「あっ、お笑いって素晴らしいな」って思って。テレビだと、昔から「吉本新喜劇」とか見たり、とにかくドリフターズが好きでした。

──弟さんも一緒にご覧になってました？

弟　そうですね。テレビは、ほとんど兄の影響で見てました。

──弟さんの方はいじめられたりとかそういう経験は？

弟　僕は兄とは真逆で、人気者のグループでした。みんなでワイワイやってたタイプですね。上のいじめっ子グループの意見も聞き、兄貴みたいないじめられたグループの話も聞いてやってるんで、両方のいいとこ取りですよ。ヤンキーみたいな知り合いもすごく多くて、逆にクラスのちょっとどうしようみたいな子たちもどんどん来てくれて、楽しい学校生活でした。

いじめの引き金になった一言

──もともとお金持ちだったんですよね。

兄　そうですね、あり得ないくらい。いじめられたきっかけにもつながるんですけど、僕、友達の家の誕生日会に行きまして、「ここ、サウナ室ってどこにあるの？」って聞いたんですよ。そっからいじめられたんですけど。その頃、サウナ室っていうのはどこの家にでもあると思ってたんですよ。

弟　標準装備だと。

──ほかにもお金持ちエピソードを聞かせてください。

兄　僕が家に帰ったら、ちびっ子の行列ができてたんですよ。「なんだろうな？」って思ったら、発売前の「スーパーマリオ」がどっかしらのルートで入手されていて。

──金持ちパワーすごいですね。

兄　あらゆる力を使って仕入れたと思うんですけど。それをちびっ子がどこかから聞きつけて、列をなして遊んでたっていう。小2くらいの頃ですね。プールもちゃんとありましたね、家に。近くの幼稚園に貸してたくらいで。クリスマスとかは、家に生きた七面鳥が来るんですよ。シェフが家に来て、チャッチャッ、チャッチャッてやってくれるんですけど。

弟　残酷な画なんですよね、初めは。七面鳥が5～6羽ヒモで吊るされるんですよ。

兄　そういうのが普通だと思ってたんで、いじめられますよね……。浮世離れしてますもんね。

──その後、中学生くらいになると、いじめもなくなってお金持ちを楽しむ時期もあったのでは？

兄　と思いきや、バブルっていうのが弾けまして。悲惨でしたね。家が半分になったり、血統書が付いた犬も持っていかれたり。

弟　家が半分になったのが一番衝撃でしたね。急にビニールシートが張られて、「なんだろう」って思ってたら、そっち側が全部取られたって。

兄　プールも全部持ってかれて。

弟　半分取られたんで、勝手口が勝手口の体をなさなくなっちゃったんですよ。