架空OL日記|脚本・バカリズム×監督・住田崇 リアルにこだわった架空の世界

升野さんにしか書けない

──バカリズムさんは今年、「黒い十人の女」「住住」そしてこの「架空OL日記」と連続で脚本を手がけてきたわけですが、これまでの作品を書くときと違う感覚はありましたか?

左から住田崇、バカリズム。

バカリズム 楽でしたね。日記なので淡々と書けばいいから。逆に、変に盛り上げようとしないように神経を使いました。面白くても普通だったら言わなさそうなセリフは全部排除して。「こんなのドラマにしてどうするの?」っていう地味な会話ばっかり入れていくのは新鮮でした。

──住田さんから見てバカリズムさん脚本の特徴はどんなところにあると思いますか?

住田 リアルさですね。演者さんも言っていましたが、読むだけで画が見える。仰々しいところが一切なくて、特にこの「架空OL日記」は日常を淡々と描いています。だから登場人物はたわいもない話を延々しているだけなんですけど、升野さんらしいクスッと笑っちゃうようなところが随所にあって。升野さんにしか書けないなと思います。

──「副支店長が紅茶を薄めて飲んでる!」っていうのが大事件のように語られる、本当にたわいもない世界ですもんね。

バカリズム でも実際そうなんですよ、OLさんは。そういう小さい話が身内にとってはものすごいニュースだったりするから、この作品ではいかに内輪の世界に注目するかっていうのがポイントで。

住田 かわいい世界ですよね。

バカリズム 女優さんたちもここで働きたいって言ってました(笑)。

──全10話の中で印象に残っているシーンはありますか?

「架空OL日記」第3話のワンシーン。©︎2017「架空OL日記」製作委員会

住田 初日に撮った、ハンバーグの回(第3話)。あれを見たときに「行ける!」って思いました。

バカリズム これも「ご飯を食べる前にグロス塗っちゃった」っていうだけのなんでもない話なんですけどね(笑)。

住田 まだみんな探り探りで、どうなるんだろうって思っていたのが、あのシーンで「あ、面白い!」って普通に笑っちゃって。そこから「この感じでいいんだ」ってすっと楽になりました。

──ブログから約10年の時を経て映像化を果たし、さらにギャラクシー賞(2017年6月度月間賞)を受賞した本作。ご自身としてはどんな作品に仕上がったと思いますか?

バカリズム 頭の中を開いて見せているような作品です。一番自分っぽいというか。

住田 かなり丁寧に作られてると思うので、DVDで何回も見返してほしいですよね。

バカリズム いや、こんな丁寧なことないですよ。これまでの自分の仕事の中でも相当な丁寧さ。

住田 大味ではないですね。

バカリズム ギャラクシー賞も獲っていますので、そのへんは間違いないと思います(笑)。

キャラクター紹介

升野英知:バカリズム

升野英知:バカリズム
入行5年目、24歳。彼氏なしの実家住まい。恋愛はやや遠ざかり気味、週末はややインドア派で、何かとややズボラ気味。

藤川真紀:夏帆

藤川真紀:夏帆
入行5年目、24歳。升野の同期で親友。彼氏ありの実家住まい。筋トレにハマり、腹筋が6つに割れんばかりの勢いでジムに通っている。

小峰智子:臼田あさ美

小峰智子:臼田あさ美
入行7年目、27歳。通称「小峰様」。彼氏ありの実家住まい。姉御肌で、上司にも物怖じせずハッキリ意見を述べる。後輩の面倒見もいい、頼れる先輩。

五十嵐紗英:佐藤玲

五十嵐紗英:佐藤玲
入行2年目、22歳。彼氏なしの実家住まい。天然な妹キャラ。いつも升野にたくさんのマンガを貸してくれる。

酒木法子:山田真歩

酒木法子:山田真歩
入行10年目、29歳。彼氏募集中の実家住まい。規律に細かく、家庭的でしっかりもの。特技はボウリング。
「架空OL日記 DVD-BOX」
2017年10月18日発売 / ポニーキャニオン
「架空OL日記 DVD-BOX」

[DVD]
12312円 / PCBG-61470

Amazon.co.jp

あらすじ

目覚ましのスヌーズにイラッとしながら身支度をして、満員電車に揺られて出勤するOL「私」。擬人化した月曜に悪口を言って週初めの憂鬱さを晴らす。アフターファイブは仲良しの同僚とお茶したり、化粧品売り場をチェックしたり。ダイエットを決意してジムに行くけれど、誘惑に勝てずお腹はぽっこりのまま……。そんなOL升野と仲間たちの日常を描く。

  • 原作:「架空OL日記1」「架空OL日記2」(バカリズム著 / 小学館文庫)
  • 脚本:バカリズム
  • 監督:住田崇
  • キャスト:バカリズム / 夏帆 / 臼田あさ美 / 佐藤玲 / 山田真歩
バカリズム
バカリズム
1975年11月28日生まれ、福岡県田川市出身。マセキ芸能社所属。多くのテレビ番組にレギュラー出演するかたわら、毎年単独ライブを開催。11月22日には最新ライブ「ぎ」を収めたDVDが発売される。また「素敵な選TAXI」(関西テレビ)、「黒い十人の女」(読売テレビ・日本テレビ系)、「住住」(日本テレビ)など脚本を手がけるドラマ作品も多数。
住田崇(スミダタカシ)
住田崇
2017年1月から3月に放送されたバカリズム脚本・主演のドラマ「住住」(日本テレビ)でも監督を務める。ほか監督作にはオムニバス映画「バカリズム THE MOVIE」、「潜入捜査アイドル・刑事ダンス」(テレビ東京)、「戦国鍋TV ~なんとなく歴史が学べる映像~」(tvkほか)、「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」(MBSほか)など。