お笑いナタリー Power Push - 「ハイスクールマンザイ2016」開幕

NON STYLEが語る目指すべきコンビ像とは?

同級生だから“言っても意味ないこと”がわかってる(石田)

──今振り返ってみて、同級生コンビでよかったことはなんですか?

井上 NSCで組んだコンビと違って、どんな人間かわかっているっていうのは大きいです。まったくの初対面の人と組むよりは、やっぱり友達のほうがいいんじゃないですか?

石田明

石田 人間、“言っても意味ないこと”ってあるじゃないですか。注意してもこいつのここは絶対直らん、みたいな。それがわかってるから揉め事は少ないですね。

──反対に、友達同士だからこそ難しいと感じることもあるんじゃないでしょうか。

石田 ちょっとした遊び心が出てしまうっていうことくらいかな? 例えば僕だったら、漫才で女の子を登場させるときに、全部井上の元カノの名前を使うっていうのを昔よくやっていました。井上は別にツッコんでこないしお客さんもわからないんですけど、僕の中だけで楽しむっていう。

──ネタのことでケンカすることは今までありましたか?

井上 ネタに関して僕が口を出すことはほとんどないですから。書いてもらっているから言う権利もないし。「ネタ書いてこーい!」は言うてましたけどね。

──石田さんは、ネタを一切書かない井上さんに対して不満はなかったんですか?

石田 そりゃあもうありましたよ! さっきも話しましたけど、言っても意味ないから別に何も言わないだけで。でもノートにはぎっしり文句を書き殴ってました。

井上 通称デスノートな(笑)。

石田 ネタ帳よりもデスノートのほうが多いんちゃうかっていうくらい。筆圧も強いですよ(笑)。

──お2人のように、同級生とコンビを組んで「ハイスクールマンザイ」に挑戦する高校生が多いと思います。相方を見つけるうえでのアドバイスをいただけますか?

井上 相性がいい悪いもありますが、お互いにお笑いが好きなことが一番じゃないですか? あと言えることは、何においても極端なほうがいいかもしれないですね。高学歴でも低学歴でも、お金持ちでも貧乏でも。キャラクターの強いほうの話を聞いているだけで漫才は成立しますから。

──そのお話を踏まえて、高校時代に戻って同級生とコンビを組み直すとしたらどんな相方がいいですか?

左から石田明、井上裕介。

井上 いいか悪いかは別として、村本(ウーマンラッシュアワー)みたいに1人でずっとしゃべってくれる相方だったら楽やろうなーと思いますね。それで同じお給料もらえたらいいなあ(笑)。

石田 まあ楽やね。でも村本みたいな人は嫌! 僕は純粋なボケの人とやってみたいです。

──ダブルボケですか?

石田 いや、僕がツッコミです。もう自分に嘘つくの疲れました(笑)。

──どんなボケの人が理想ですか?

石田 面白いことを言いたくて仕方なくて、鼻息むんむん出して、めっちゃスベっていくような人がいいです。そんな人にボケ方を教えるっていう漫才がしてみたいかな。

目の前のお客さんを笑わせた奴が勝ち(井上)

──お2人が芸を磨いた路上漫才は、修行の方法として高校生にオススメできますか?

石田 人前でしゃべるのが苦手な人、緊張しいな人は、まず人前で何かしてみないと始まらないから、道端でやっても損はないかなと思います。これで成長するということではなくて、慣れるために。自分も路上漫才をやってなかったらたぶんずっとしゃべれないままだっただろうし、大きい声も出なかったと思います。

井上 僕はネタ以外の部分で、根本的に人とのコミュニケーション能力を上げるのが一番いいんじゃないかなと思います。それだったら路上じゃなくても、バイトでもクラスでも、どこでも練習の場になりますから。

──「ハイスクールマンザイ」のオフィシャルサイトでは石田さん監修の漫才台本が公開されています。練習するうえでポイントはどこでしょう。

石田 これを一言一句間違えずにやろうとしたらダメってことですかね。なんとなく覚えてなんとなくやって、自分が言いたいことをどんどん足していってもらえれば。

井上裕介

井上 僕はネタを書かないからネタのことは言えないんですけど、「面白い」「面白くない」って、すごく短絡的な言い方だと思うんです。思いついたボケが面白いのか面白くないのかのジャッジの前に、最大限面白く伝えられているのかを考えるべきですね。

石田 面白い人ほど見せ方をがんばれなかったりするんです。素材の使い方を研究しきれていないというか。スポーツ選手でも、肉体に恵まれた人ってあまり伸びなかったりするじゃないですか。

井上 面白くない言葉を、いかに面白い雰囲気をまとわせてしゃべれるかっていうことのほうが大事だと思います。斎藤(トレンディエンジェル)の「ペッ!」だって文字にしたら全然面白くないでしょ?(笑) でも斎藤が言うから面白い。その人にあった面白い表現方法が絶対にあるので、それを見つけるのが手っ取り早いし、見つかったら逆にネタも考えやすくなるんだろうなと思います。賞レースはネタどうこうより、目の前のお客さんを笑わせた奴が勝ちですからね。ウケたところがあればアドリブで引っ張りまくってもいいし、顔面イジってるだけで大爆笑が続くんやったらネタなんかやらなくてもいいし。

──なるほど。

井上 「ハイスクールマンザイ」に出るのは高校生だからアドリブは難しいでしょうけど、ミスしようが何しようが、それを笑いにすればいいと思います。

──漫才コンビ、トリオを継続させるための秘訣はありますか?

左から石田明、井上裕介。

井上 リーダーがどっちなのかはっきりさせることですかね。ネタのリーダーはこっち、ファッションのリーダーはこっち、グルメロケのリーダーはこっち、とか。能力値の高さを冷静に見分ける判断力が重要やと思います。コンビとはいえ、相方に負けたくないって思うこともあるかもしれないけど、そこは素直に負けたと思えないと。

──舵取りする人を決めて、自分たちをプロデュースしていくことが大事ということですね。

石田 自分がどう見られているか認識して、ネタにどう乗っけられるか。ちゃんとみんなにどう思われているかを探るべきだと思いますね。あとありがちなんですけど、まだどこでもやってないのに「これスベるってー」って言いあってる時間が一番もったいないんです。やってみてスベったら「ほら、スベるって言うたやん」ってそのボケを変えればいい。百発百中でウケるネタなんかないから、やるかやらないかで揉めるくらいならやってみたほうがいいと思います。

──最後に出場する高校生へメッセージをお願いします。

石田 NGKに立てるのはテンション上がりますよね。NGKの舞台を一度経験したら、今後就職して会社でプレゼンするっていうときも楽やと思います。

井上 お笑いの道に進まないにせよ、NGKに立つのはいい経験になるから、参加者にはその経験を生かせるような人間になってほしいです。

「ハイスクールマンザイ2016 ~H-1甲子園~」
「ハイスクールマンザイ2016 ~H-1甲子園~」とは?

日本全国から漫才という試合を勝ち抜いてきた高校生たちが自らの可能性を信じ、自らの夢を実現させるため、「高校生マンザイNo.1」の名を賭けて熱く戦うイベント。動画審査ののち、北海道・東北、関東、東海、関西、中国、九州・沖縄の全6エリアで準決勝が実施される。決勝は8月28日(日)、大阪・なんばグランド花月で開催。

活躍したコンビにはこんな特典が!
優勝者
  • お笑い奨学金50万円
  • NSC特待生(入学金、年間授業料免除)
  • よしもとのタレントとTVや舞台で共演
決勝進出者
  • NSC特待生(入学金免除)
  • 決勝大会開催地(大阪・なんばグランド花月)までの交通費支給
  • よしもと直営劇場観覧年間フリーパスチケット

2016年7月31日(日)までエントリー受付中!
詳しくはこちら

NON STYLE(ノンスタイル)

NON STYLE

左 / 石田明(イシダアキラ)

1980年2月20日生まれ、大阪府出身。

右 / 井上裕介(イノウエユウスケ)

1980年3月1日生まれ、大阪府出身。

2000年5月にコンビ結成。「第41回上方漫才大賞」優秀新人賞、「第4回MBS新世代漫才アワード」優勝、「第21回NHK新人演芸大賞」演芸部門大賞、「第35回上方お笑い大賞」最優秀新人賞、「M-1グランプリ2008」優勝など、受賞歴多数。