スーパー・ササダンゴ・マシン「ドキュメンタル」シーズン2特集|松本人志フリークが考察する「ドキュメンタル」

「ドキュメンタル」で芸人を余計に好きになる

──芸人さんたちの戦いぶりでプロレスと通ずる部分はありましたか?

そう言われると、相手の攻撃を変に逃げたり防御したりしないっていう点ではとてもプロレス的でもありますね。必ず受け入れて肯定するっていう。「イエス、アンド」っていうエチュードのマナーが備わっているから、僕らもその芸をちゃんと最後まで楽しめる。攻撃を受けるってことは笑ってしまう危険性が高まりますけど、そういう姿勢の人を見ると好きになっちゃいますよね。宮川さんもFUJIWARA藤本さんも、「ドキュメンタル」で余計に好きになりました。

「ドキュメンタル」シーズン2への招待状を渡されるFUJIWARA藤本。

──相手の攻撃を受けて、そこから展開していく戦い方でしたね。

「ドキュメンタル」ってレビュー数が格段に多い作品なんですよ。僕が見たときは1300件くらい付いていて。スーパー・ササダンゴ・マシンのプレゼンDVDなんて9件ですよ? しかも賛否分かれているところがミソで、満足度が高かったら逆にレビューなんてわざわざ書き込まないわけです。ルールやキャスティングの改善を求める声が上がっているんですが、僕が思うに、松本さんはあえて完全に直し切らないようにしているのかなと。例えば「なんでフジモンが出てるんだ!」っていう声があったとしても、わざとシーズン2でも出演者に入れる。ちょっとした炎上商法なんじゃないかと思うんですけど、どうですか?

──単純に、シーズン1の活躍ぶりを買われたのだと思いましたが……。

でも確かに、初めて参加するテレビ番組の収録に藤本さんがいると安心するんですよ。必ず笑ってくれるし、すごく優しくしてくれる。それは松本さんにとってもそういう存在であるはずで。それが結果的にネットユーザーの感情を煽るっていう(笑)。藤本さんのそういうところが生来のエンタテイナーっていう感じがしますよね。

大島さんが笑うところを見たい

──シーズン2で期待する方は?

よく笑う方なので序盤から負けそうなんですけど(笑)、大島美幸さんです。唯一の女性でありお母さんですから。大島さんってなぜか見ちゃうんですよね。なんていうか、見た目が女性でも男性でもなく、“赤ちゃん”じゃないですか。しかもしゃべるんですよ。で、なんなら面白いことを言うんです。面白いことを言う赤ちゃんなんて、嫌いな人いないですよね?

──そうですね(笑)。

「ドキュメンタル」シーズン2への招待状を渡される森三中・大島。

大島さんが笑うところを見たいんです。「美幸が笑った!」っていう(笑)。今回、バナナマン日村さんとかバイきんぐ小峠さん、ダイアン津田さんとか、赤ちゃんぽい人が多いと思いません? 松本さんは「赤ちゃんのかわいさ」みたいなところでマッチメイクしている、とも考えられます。

──そんな意図ありませんって!

これは僕の妄想ですけど、Amazon側で採取した、どういう視聴者層がどういう時間帯に観ているかっていうビッグデータから、松本さんが30代、40代男性がたくさん観ているってことに気づいたとします。その年齢って、お父さんなんですよ。松本さんご自身も父親になり、赤ちゃんが笑う瞬間にセロトニンみたいな幸福を感じる脳内物質が出るっていうことがわかって、今回のメンバーを選んでいるとしたら……。

──深読みが過ぎませんか?(笑) でもこの作品を観ていると想像が膨らんで語りたくなりますよね。そのくらい視聴者を巻き込んでくるというか。

巻き込んできますねー。そこも我々は松本さんにコントロールされている。

松本人志自身の箱庭療法説

──ササダンゴさんは松本人志さんの熱狂的なファンということですが、松本さんがこれまでに生み出してきた笑いをご覧になってきた上で、「ドキュメンタル」は松本さんにとってどういう位置づけの作品だと思いますか?

テレビでこういうことができないからAmazonプライム・ビデオでやっているというほどには、松本さんはテレビで自由にやれていないこともないと思うんです。だからこれは、まさに笑いの実験室というか。……いや、箱庭療法みたいなことなんですかね? 笑いのミニチュアを作って、そこに10人の芸人を放し飼いにしてどうなるかっていうのを観察する。そして自分の中にある笑いの病巣を分析しているのかもしれません。

笑う松本人志。

──また新たな説ですね。

松本さんってやっぱり笑いに対して病的じゃないですか。ストイックすぎる部分っていうのは当然ご自身でも認めている上で、自分で自分をカウンセリングするようにこれを観て笑って、一旦停止しては何が面白いのか解説してるような気がするんですよ。それに、唯一笑っているのが松本さんっていうところが松本人志ファンにはたまらない。僕らの脳には松本人志が笑っているかどうかが面白さの物差しとして刷り込まれているから、若手芸人のネタそのものより、松本さんがそのネタを見て笑っている顔のほうがある意味価値があって。松本さんが笑って、なおかつその芸に関してコメントしてくれているっていうのは重要な資料でもありますよね。

スーパー・ササダンゴ・マシン

──ササダンゴさんにはいろんな角度から「ドキュメンタル」を楽しんでいただきましたが、ダウンタウン世代ではない若い方にはどう薦めていただけますか?

本当にわかるのは40超えてからだと思いますよ。背伸びしたい人は観ればいいんじゃないかなって思います。わかんなくても、まあ焦んなよってことです(笑)。

「ドキュメンタル」シーズン2

Amazonプライム・ビデオ
全5話配信中

出演者

松本人志
FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / バナナマン日村 / アンジャッシュ児嶋 / バイきんぐ小峠 / 森三中・大島 / ダイアン津田 / 平成ノブシコブシ吉村 / ジャングルポケット斉藤

Amazonプライム・ビデオとは
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スーパー・ササダンゴ・マシン
スーパー・ササダンゴ・マシン
新潟県出身。DDTプロレスリングの覆面プロレスラー。松竹芸能に所属しタレントとしても活動する。試合前に行う、PowerPointを駆使したプレゼンパフォーマンス“煽りパワポ”が話題となり、DVD「スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座」を昨年2016年4月にリリース。また同年11月にはマッスル坂井名義で松江哲明と共に監督を務めた映画「俺たち文化系プロレスDDT」が公開された。