松本ハウス、書籍「統合失調症がやってきた」を語る

松本ハウスの書籍「統合失調症がやってきた」（イースト・プレス）が、既報のとおり8月7日に発売。ハウス加賀谷と松本キックの2人がお笑いナタリーの取材に応じた。

「タモリのボキャブラ天国」や「進め！電波少年」などで活躍しながらも、ハウス加賀谷の統合失調症の症状が悪化したことにより、1999年に活動休止した松本ハウス。約10年の時を経て2009年10月に「JINRUI」と改名して復活し、2011年7月には「松本ハウス」にコンビ名を戻し再スタートを切った。本書は、加賀谷の少年時代からコンビ結成、そして活動休止からの入院生活、コンビ復活までの軌跡が赤裸々に描かれた1冊。統合失調症で長年苦しんできた加賀谷のこれまでの歩みが、相方・松本キックの視点も交えて綴られている。

統合失調症を発症したときの様子や、自殺未遂に至った経緯とその顛末など、ショッキングかつシリアスな描写を多分に含みながらも、漫才風の掛け合いで笑い話として振り返る章も。お笑い芸人の生き様に触れることができるだけでなく、統合失調症についての理解も深まる内容となっている。

8月8日（木）には東京・新宿ロフトプラスワンにて出版記念イベント「～統合失調症がやってきた出版記念イベント～松本ハウスがやってきた」も開催。サイン本の販売もあるので、ファンはぜひ足を運ぼう。詳しくはオフィシャルサイトでご確認を。

松本ハウスコメント

──この本を出すことになった経緯から教えてください。

キック：コンビを復活させたとき、いろんな方から書籍のお話をいただいたんですけど、まだ自分たちがどういう活動をしていくか固まっていない状態だったんで、お断りさせてもらっていたんです。それで、NHKの「バリバラ」にも出させていただけるようになったり、ようやく自分たちの方向性が見えてきたかなっていうタイミングでイースト・プレスさんから声をかけていただいたんで、出してみようかなと。

──病名や症状、薬の名前も具体的に書かれていますね。命を狙うスナイパーの幻覚や、「臭い」という声が聞こえる幻聴の様子も克明に描かれていて引き込まれました。

加賀谷：せっかくだから全部書いてしまおうって。ただ、つらかった時期を思い出すと、ほんとに吐くんですね。たくさんゲロ吐いた章もあります。

キック：一番驚いたのは、「ボキャ天」時代に「か・が・や・で～す！」ってはじけてたときに、自宅に着いたら這うような生活をしていたっていうことですね。相方でも、そこまでの症状とは知らなかったので。あとから知って、よく生きてたなって。

──加賀谷さんが退院後にアルバイトをしていたときの様子は漫才形式になっていて面白かったです。

加賀谷：実生活では僕は本当に役に立たないんだなと（笑）。

キック：喫茶店のウェイターがコーヒー運んできて、ソーサーの上のカップがカタカタカタカタってなってたら、そりゃイヤですよ。

加賀谷：3分の1ぐらいこぼしちゃって。

キック：もう詐欺だよ（笑）。

──コンビ復活後の状況はいかがですか？

キック：復活したからといって順調ではなかったっていうのが正直なところです。まだ症状や副作用が残っていて、ネタを覚えられない、感情表現がうまくできないっていうことがあったり、いろいろ失敗を繰り返してきました。

加賀谷：でも、お客さんの前に立たせてもらうのを繰り返しているうちに、復活した当初よりは頭がクリアになってきてます。ただ、こういう取材だと話しているうちに「なんのお話でしたっけ？」っていうことがあるんで、そのへんは大目に見てください（笑）。

──お笑いナタリーの読者に向けて伝えたいことはありますか？

加賀谷：芸人さんって誰でもそうなんですけど、僕もキックさんにも見せないくらい、普段の生活は隠していたんです。「舞台の上は最高、人生は最低」みたいなこともありえるんだと思ってやってきたんですけど、その水面下の部分を初めて表に出しました。本当にエグいところも出してるんで、1300円は安いと思います（笑）。

キック：えっ、値段？ まあこの厚さで安いと思うけど（笑）。いや、笑えるところは単純に笑ってもらえると思うんで、松本ハウスを知っている人も知らない人も、手にとってもらえればいいなと。さらにお笑いを深く見られるようになるんじゃないかなと思いますんで、フラットに読んでもらいたいです。

松本ハウス「統合失調症がやってきた」

序章 あの時のこと～松本キックから見て
一章 統合失調症の恐怖
二章 松本ハウスという居場所
三章 入院生活
四章 復活に向かって

～統合失調症がやってきた出版記念イベント～松本ハウスがやってきた

日時：2013年8月8日（木） 18:30開場 19:30開演
会場：東京・ロフトプラスワン
料金：前売1800円 当日2000円（飲食代別）
チケット：ローソンチケット（Lコード：33029）またはロフトプラスワンWEB予約まで
＜出演者＞
松本ハウス
ゲスト：金谷ヒデユキ / 三平×2 / プチ鹿島 / チャンス大城

※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。