音楽ナタリー Power Push - 夜の本気ダンス

ダンスミュージックへの見解

京都の外へ出よう

──ドロップキックをしたり、フロアで4人で重なったりしていた夜の本気ダンスが、今すごくお客さんを楽しませるパフォーマンスをしていますよね。ライブでも楽しめるポイントがいっぱいありますし。そういうパフォーマンスになっていったきっかけはあったんですか?

米田 僕ら京都にずっとこもってたんですけど、マイケルが加入したときぐらいに「京都の外へ出ようぜ」みたいな話し合いをしたんです。

鈴鹿 京都では「はんなり」っていう言葉をよく使いはりますけど、ライブのお客さんもほんまはんなりしてる感じで、ライブの盛り上がりも少ないんです。

米田 京都の外に出たら「もうちょっと僕らのこと評価してくれるんじゃないかな?」って思っていて。それで東京や大阪に遠征していく中で、ロックDJの人たちと出会ったんです。大阪やと「onion night」、東京だと「ピストル・ディスコ」っていう、でっかいDJイベントがあるんですけど。そういうイベントで僕らの音源をいっぱいかけてくれたんです。やから僕らがライブしたらすでに曲を知ってる方がいて、もう盛り上がるようになってるという。

鈴鹿 僕の個人的なDJのイメージは、カッコいい音楽かけて「俺ヤバいやろ?」みたいに振るまう感じやったんです。でも「onion night」や「ピストル・ディスコ」のDJは全然それとは違って、僕らがライブをやりやすくなるように普段から曲をかけてくれて、バンドをサポートしてくれるんですよ。結果的にバンドも大きくなるっていう、ホントにすごくいいイベントで。京都にこもってるときでは考えられへんぐらい、1回ライブをするごとに目に見えてお客さんが増えていったんです。

町田建人(G)

──DJイベントに道を切り拓いてもらったんですね。

町田 最初はそうですね。「onion night」の主催ツアーに出たのが初めての全国ツアーの経験でしたし。もうDJイベントなしじゃ語れないくらいですね。

米田 今の事務所(actwise)の方もロックDJの方つながりで観に来てくれたり。そういう出会いがあって、新しい場所でライブをやっていくごとにステージの見せ方についても学んでいきましたね。昔の暴れる感じだけじゃ伝わらへんし、お客さんを踊らせるためにライブをしたいなっていう。DJイベントは特に盛り上がってなんぼっていう場所だったんで、そこで鍛えられたっていうのはあります。

ロック=ダンスミュージック

──夜の本気ダンスという名前は、聴き手からすると「踊れるバンドなんだろうな」って想像できるし、すごくキャッチーな名前ですよね。でも音楽のジャンルを名前だけで括られてしまうという一面もあるのかなと思いました。

鈴鹿 ジャンルというか、僕らの中ではロック=踊れるものっていう意味で捉えているので。

米田 ロックンロールっていうもの自体のルーツが、最初はダンスミュージックとしてできたものなので。そういう考えでいくと、ロックはみんなで踊ってわーって盛り上がりたいがために生まれたものやし、ロック自体がダンスミュージックなんじゃないかって思うんですよね。だから僕からすればダンスロックっていう言葉もロックを二重に言ってしまってるみたいに聞こえて。

──2014年辺りに四つ打ちを取り入れたサウンドが流行ったと思いますが、そのときの心境はどうでした?

夜の本気ダンス

米田 僕らはずっと同じことをやっていただけなので、時代が重なってきてラッキーだと思いましたね。これだけバンドや音楽がある中で、そういうムーブメントに乗っかるっていうこと自体がまず難しいじゃないですか。だから乗っかれるものはとりあえず乗っかったらいいし、そのあとで僕らの本質的な部分をちゃんと理解してもらえるやろうしって思ったんですよね。

鈴鹿 僕らのライブにはけっこう年齢高めの人もいはって。そういう人は特に、ルーツ的なところにシンパシーを感じてくれてるのかな?と思いますね。

米田 うん。洋楽もそうだけど、DOPING PANDAや髭とか、僕らが聴いていた邦楽のバンドを好きな人が来てくれたり。そういう人たちと通じ合えるっていうのはやっぱり心強いし、フェスによく行くようなキッズが来てくれてるっていうのもうれしいですね。

鈴鹿 僕らがいろんな音楽への架け橋になれたらって思うんですよね。例えば僕らをフェスで観てワンマンに来てくれたときに、四つ打ち以外のいろんな楽曲も聴いてもらって「こんなんでも踊れるんや」ってなってくれたらうれしいですね。その人らももっと僕らのルーツを探って洋楽を聴き始めたりとか、ロックの本質に触れていってもらえることで、みんなで音楽を共有できるじゃないですけど、そうなってもらえたらいいなと思います。

米田 うん。フェスはフェスで僕たちの求められてることをやるし、ワンマンでは僕らのいろんな面を見せたいんですよね。今ワンマンをやることによってすごく成長できてるなって思うところがあって。そうやって成長していった結果、最終的にはいつか、誰かのルーツみたいな存在になりたいなって思いますね。

メジャー1stアルバム「DANCEABLE」/ 2016年3月9日発売 / Victor Entertainment
「DANCEABLE」
初回限定盤[CD+DVD] / 3456円 / VIZL-939
通常盤[CD] / 2700円 / VICL-64524
収録曲
  1. Oh Yeah
  2. Crazy Dancer
  3. By My Side
  4. LOVE CONNECTION
  5. Love is always new
  6. escape with you
  7. Feel so good
  8. Logical heart
  9. Dance in the rain
  10. Show down
夜の本気ダンス「レコ発記念ワンマン『WONDERFUL! DANCEABLE! ENSEMBLE!』 ツアー」
2016年6月10日(金)大阪府 BIGCAT
2016年6月12日(日)香川県 高松MONSTER
2016年6月18日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE
2016年6月25日(土)北海道 cube garden
2016年7月2日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
2016年7月3日(日)福岡県 BEAT STATION
2016年7月9日(土)新潟県 CLUB RIVERST
2016年7月10日(日)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2016年7月15日(金)東京都 LIQUIDROOM
夜の本気ダンス(ヨルノホンキダンス)
夜の本気ダンス

米田貴紀(Vo, G)、町田建人(G)、鈴鹿秋斗(Dr)、マイケル(B)からなる4人組ロックバンド。2008年に京都府で結成された。2014年2月にタワーレコード限定シングル「Bitch」を発表したのち、3月に初の全国流通ミニアルバム「DANCE STEP」をリリース。同年11月にアルバム「DANCE TIME」を、2015年にシングル「By My Side」を発売する。2016年2月から3月にかけてスペースシャワーTV主催のライブツアー「スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016」に出演。同年3月にアルバム「DANCEABLE」でビクターエンタテインメントからメジャーデビューを果たした。