音楽ナタリー PowerPush - YOJI BIOMEHANIKA×小室哲哉

レジェンド同士の初対談

YOJIが11年ぶりに「YOJI BIOMEHANIKA」名義で、ニューアルバム「Chapter X」を6月5日に発表した。

音楽ナタリーでは、これを記念してYOJI BIOMEHANIKAと小室哲哉の初対談をお届けする。デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスなどそうそうたる顔ぶれが並ぶ世界のDJランキングの上位に名を連ね、日本のエレクトロニックミュージックを代表する存在になっているYOJI BIOMEHANIKAと、時代の先端のサウンドをポップスと融合させ、数多くのミリオンヒットを輩出してきた小室哲哉。共に1980年代より音楽シーンの最前線を走り続けてきた2人に、これまでの活動を振り返りながら、日本のダンスミュージックのこれからを大胆に提言してもらった。

取材・文 / 松永尚久 撮影 / 後藤倫人

初対面の2人

──この対談で、お2人は初対面だそうですね。

左からYOJI BIOMEHANIKA、小室哲哉。

小室哲哉 そうなんですよ。

YOJI BIOMEHANIKA こういう対談、大丈夫なんですか?

小室 はい。同じレーベル(エイベックス)所属ということですし。YOJIさんはエイベックスにいつ加入されたんですか?

YOJI 加入というか、2001年にアルバムをリリースしましてね、それからの付き合いです。

小室 動画サイトでYOJIさんのアムステルダムでのライブ映像を拝見してきたんですが、今日お会いしたらいきなり関西弁が出てきて、衝撃的でしたね(笑)。

YOJI イメージとのギャップが激しいから、話すなと言われてます(笑)。

──もともとYOJIさんが、ダンスミュージックを始めたきっかけってなんだったんですか?

YOJI 高校生の頃、ニューウェイブとかパンクが流行している中で、特にフランスのシャンソンっぽい要素も入ったニューウェイブに惹かれて音を作るようになって、その後LAUGHIN'NOSEというバンドでベースを弾いていたんですけど。その傍らで、打ち込みの曲とかを1人で作っていたんです。やがてMIDIの登場により1人で全てのパートが演奏できるようになって、どんどんエレクトロニックなものを作るようになっていってダンスの要素が強くなり、自然とポジションがDJというものになっていったという。ただDJといっても、ほぼ自分の曲しかかけていないんですけど。

小室 YOJIさんの場合、1ステージ、だいたい何分くらいやるもんなんですか?

YOJI だいたい1時間くらいですね。

小室 1時間の中でフロアを熱くさせないといけないわけでしょ?

YOJI そうですけど、冷めてしまうこともあります(笑)。いいときも悪いときもありますよね。DJは生ものですから。

洋楽案内人になりたかった

──小室さんは、プロデューサーとして常に最先端のダンスミュージックを発信されていますね。

小室 学生時代に聴いていた洋楽から、音楽はプロデューサーがいないと生まれないことは知っていて。「この人と組んだらこういう音になる」というのを研究しているアーティストから選出され、世に送られて、ステイタスが上昇するみたいな。そこから、楽曲を自分の好きな音楽の方向に持っていって、まとめていく、そういう洋楽案内人みたいな立場になれればいいなと思っていたんです。でも「TKサウンド」だけで独立してしまって……。

──小室さんのプロデュースした曲から、洋楽まで掘り下げて聴くリスナーはあまりいなかったと。

YOJI BIOMEHANIKA

小室 はい。実は僕自身の口から「TKサウンド」って言ったこと一度もないんですよね。もっと洋楽が広がってくれたらいいと思っていたのですが……。

YOJI 例えば現在の日本のロックって、海外ではなく日本のバンドを追いかけて活動している人が多いでしょ? あれって面白い傾向ですよね。僕らは洋楽に憧れて育ち、戦いを挑もうとしているところがあるけど。今は全然そっちを向いていないんだなって。

小室 でも最近のEDMの浸透のおかげで、ようやく最近の海外DJの名前を知ってくれる人とか増えている気がします。まだそんなに大きなコミュニティではないのかもしれないですが、そこから拡散している気はしますね。

YOJI BIOMEHANIKA ニューアルバム「Chapter X」2015年6月5日発売 / 2916円 / avex trax / AVCD-93060 / Amazon.co.jp
「Chapter X」
収録曲
  1. THE PLACE FOR FREEDOM
  2. DIE IN THE MORNING
  3. BLAZING
  4. MORE THAN WORDS
  5. CLOUD BURST
  6. RECOVERY
  7. LOOK @ THE HEAVEN (2015 OWN REWORK)
  8. WAKE UP TO REALITY
  9. GOT A FEELING
  10. THE PLACE FOR FREEDOM (HDM EXTENDED MIX)
  11. LOOK @ THE HEAVEN (BASSJACKERS RMX)
  12. NEEDS (2015 HOUSE REWORK)
  13. RECOVERY (REPRISE)
YOJI BIOMEHANIKA(ヨージビオメハニカ)

YOJI BIOMEHANIKA兵庫県神戸市出身のダンスミュージックプロデューサー。日本のみならず全世界で人気を博し、デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスなどそうそうたる顔ぶれが並ぶイギリスのクラブ系専門誌「DJ MAG」のDJランキングの上位に名を連ねる。2008年からYOJI名義で活動をしていたが、2015年6月に約11年ぶりにYOJI BIOMEHANIKA名義のアルバム「Chapter X」をリリースした。

小室哲哉(コムロテツヤ)

小室哲哉1958年11月27日東京都生まれ。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家、編曲家、キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、ミキシングエンジニア、DJ。1983年、宇都宮隆、木根尚登とTM NETWORKを結成し、翌年「金曜日のライオン」でデビュー。同ユニットのリーダーとして、早くからその音楽的才能を開花させた。1993年にtrfを手がけたことがきっかけで、一気にプロデューサーとしてブレイク。以後、篠原涼子、安室奈美恵、華原朋美、H Jungle With t、globeなど、自身が手がけたアーティストが次々にミリオンヒットを記録した。2010年に作曲家としての活動を再開し、AAA、森進一、北乃きい、超新星、SMAP、浜崎あゆみなど幅広いアーティストに楽曲を提供する。2014年はTM NETWORKのデビュー30周年プロジェクトを精力的に展開。そして2015年、20周年を迎えるglobeをはじめ、さまざまなプロジェクトを進行させている。