ナタリー PowerPush - WIRE13

石野卓球の“15歳”と「WIRE」15周年

本年で15周年を迎える「WIRE」。日本のテクノシーンを開拓し、ダンスミュージックシーンの変遷を見つめてきた電気グル―ヴの石野卓球が立ち上げた、国内最大の屋内テクノパーティだ。今年も9月14日に横浜アリーナでの開催が決定している。今回は「WIRE」という存在について、15周年にちなんで15歳の頃について、石野卓球にじっくり聞いた。

取材・文 / 伊藤亜希 撮影 / 上山陽介

 
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石野卓球が15歳だった頃

石野卓球

──「WIRE」15周年ということで……。

15にまつわる、たくさんの質問を?

──はい(笑)。15にちなんで、まずは15歳のときのお話を。年齢的には中学3年生から高校1年生ですよね。どんな日々を過ごしてました?

高校が地獄。毎日がイヤだった。自分が入った高校がとにかく厳しくて。毎日毎日、辞めたいと思ってたくらい。中学時代はわりと楽しかったから、まさに天国から地獄。同じ高校の子はほとんどその厳しさを受け入れるっていうスタンスだったからね。それがこっちからすると刺激が少なくて面白くないっていうさ。ただ、学校がつまらないぶん、放課後に力を入れてたって感じで。ほかの学校に行った中学のときの同級生が、その学校の別の友達を連れて来たりとかして、ほかの学校の子と遊ぶことが多かったんだよね。だから、放課後で人間関係やいろんな世界がすごい広がった時期。

──放課後は具体的にどんなことをしてたんです?

音楽、バンド。中学のときからやってたけど、よりバンド的な感じになってった。いろんな学校の人たちと組んでやったりっていうパターンが多かったかな。自分でやってたバンドもあれば、ほかの連中がやってるパンクバンドでキーボード弾いたり、ボーカルやったり。弦楽器はできなかったけど、それ以外は全部やった。当時、大人がやってるバンドも手伝ってて。大人のバンドは仕事が終わってからリハーサルをやるのよ(笑)。だから、夜、シンセ持って、こっそり抜けだして。

──家を真夜中に(笑)。

そう。で、その大人のバンド、俺以外全員、社会人なのにスタジオ代割り勘だったんだよ!

──ははははははは(笑)。

で、一緒にバンドやってた大人に、この前ひさびさに会って。そのことを十数年ぶりに言ってやった(笑)。「なんてひでえ、大人だよ」っつって(笑)。

──どんな反応でした?

「しょうがねーじゃねーかよー」って、わけのわけんないこと言ってた(笑)。でも、大人のバンドを手伝うのも、違う学校の友達とバンドやるのも、とにかく未知の世界じゃない? それだけで刺激を受けたし。そういうのは全部ウエルカムだったから、積極的にやってた。

──なるほど。じゃあ大人とバンドやってみて、どんなこと感じてました? 15歳の石野少年は。

なんでかわからないけど、当時の中学のときの同級生ってエレキギターっていうカルチャーがあんまりなかったんだよね。だから、まずバンドにギターがいるっていうのがすごい新鮮だったのは覚えてるな。それまでシンセサイザーとかがメインだったから。あと中学生のとき、パンクとか好きで聴いてたり、パンクバンドをやってる友人とかに、ボーカルがいないからリハーサルだけ手伝ってとか言われてやってたけど、よりこう……自分の中で音楽がリアリティを増したというか。

──すごいね、音楽で充実してますね。

充実してた。あと、高1と言えば、確かPIL(PUBLIC IMAGE LTD)のコンサートを中野サンプラザに観に行ったんだよね。それと、高2かな? DEPECHE MODEとNEW ORDERも東京まで観に行って。そうやって好きなアーティストが東京に来るときは、小遣いをためてコンサートに行く。で、昼間はレコード屋巡り。渋谷のタワーレコードとかすごい行ってた。あとシスコとかも。

──初めてタワーレコードに行ったときのことって覚えてます?

衝撃だったあ! 今の感じで考えると、IKEAとかコストコぐらいのでかい店って印象があった。

──(笑)。

すごいでかい店って印象。あと、店に置いていたのがほとんど輸入盤で。当たり前なんだけど(笑)。真空パックがよれたりしてて。でも、それを気にしないカッコよさっていうかさ。憧れたね、それに(笑)。

──へえー。いい話ですね。

そう? で、さっきDEPECHE MODEを観に行ったって話したけど、その帰りに東京駅で補導されたっていう。よっぽど田舎もんに見えたんだろうね(笑)。新幹線に乗ろうとしてたのに。キョロキョロしてたんじゃないかな、よっぽど。怯えてたとも言う(笑)。

──はははははは(笑)。髪型は坊主だったんでしたっけ?

そう! 15歳のときはそれもイヤだったんだ。高校に入って坊主になったのが。だから帽子被ってたもん。でもさ、思春期で一番異性の目も気になるときに、全身坊主だからね、あ、全身じゃないか(笑)。

今年はすごい平均年齢が高い

──15にちなんで、15歳のときのお話でした。ありがとうございました。で、WIREも今年で15周年。今回の出演者の中で、最初に自分で決めたアクトは?

石野卓球

覚えてないな。でも15周年っていうのがあったから、今まで縁のある人たちっていうのはけっこう最初から考えてたかな。

──ああ、だからひさびさにWESTBAMの名前が。

そう、あとはマイク・ヴァン・ダイク。彼も初回に出たきりだからね、実は。ただ、縁のある人たちってのはあったけど、そこばっかりにしてしまうとこう……ベテラン勢が増えちゃうんで。そこはいろいろバランスを考えつつ。ほかのポイントで言うと、まずPACHANGA BOYSはすごい呼びたかったんだよ。SUPERPITCHERってアーティストがいるんだけど、彼がやっているユニットで。アルバムもすごくよかったんだよね。俺も今回、観るの初めてなんだけど。それからジョルジオ・モロダー。この前、ビルボードに来てたから観に行ったんだよね。74歳で初来日(笑)。で、ビルボードって箱の特性もあるんだけど、お客さんも年齢層が高くて。そのとき、クリス・コックスってDJも一緒に来てたの。ジョルジオが出てくるまでクリス・コックスのDJだったんだけど、誰1人として踊らないっていう状態でさ(笑)。

──ちゃんと踊れる曲をかけてたのに?

そうそう。で、クリス・コックスは「みんなパーティーだぜ!」って言ってんの。でも、みんなジーッとしてる感じで(笑)。それを見て、俺「今、ステージのブースから見えている景色って同業者として地獄だな」って。こう……踊らずにみんな、ずっとただステージを観てるっていう。一重まぶたの人たちが(笑)。

──まぶたは関係ないですよ。

で、「なんかこれもったいないな、もっと踊るお客さんの前でやったらいいのになあ」と思って。でも74歳初来日が終わった数カ月後に、もう1回声かけて、OKが出るとはさすがに思ってなくて。その頃はもうラインナップもほとんど決まってたんだけど、ダメ元でちょっと聞いてみよう、と。そしたら、OKが出て、逆にこっちもびっくりしたって感じで(笑)。え、ホントに来んの?みたいなさ。

──1年に2回も。

そう、早くも2度目の来日決定(笑)。

──「WIRE」出演者の中では、ダントツで最高齢ですよね。

最高齢だね。だから今年すごい平均年齢高い。

──はははははは(笑)。

すごいよねジョルジオ・モロダー。これの最高齢は越えないでしょう、もう。

WIRE13-15th ANNIVERSARY SPECIAL-
2013年9月14日(土)神奈川県 横浜アリーナ OPEN & START 18:00 ※オールナイト公演
出演者
MAIN FLOOR
  • 18:00~ DJ SODEYAMA (DJ)
  • 19:05~ アゴリア(DJ)
  • 20:10~ マイク・ヴァン・ダイク(LIVE)
  • 20:55~ KEN ISHII(DJ)
  • 22:00~ WESTBAM(DJ)
  • 23:05~ ジョルジオ・モロダー feat. クリス・コックス(LIVE)
  • 23:50~ 石野卓球(DJ)
  • 24:55~ HELL(DJ)
  • 26:00~ レン・ファキ(DJ)
  • 27:05~ ジョシュ・ウィンク(DJ)
  • 28:10~ スヴェン・フェイト(DJ)
SECOND FLOOR
  • 19:00~ TAKAAKI ITOH (DJ)
  • 20:10~ RYUKYUDISKO(LIVE)
  • 21:00~ A.MOCHI(LIVE)
  • 21:50~ バート・スキルズ(DJ)
  • 23:00~ フィリップ・ゴルバチョフ(LIVE)
  • 23:50~ SLAM(DJ)
  • 25:00~ マティアス・アグアーヨ(LIVE)
  • 25:50~ 2000 AND ONE(DJ)
  • 27:00~ BEROSHIMA(LIVE)
  • 27:50~ PACHANGA BOYS(DJ)
  • 29:00~ 田中フミヤ(DJ)

VJ:DEVICEGIRLS / KRAK×HEART BOMB

前売チケット:11550円

コンピレーションアルバム「WIRE13 COMPILATION」
[CD2枚組]2013年8月14日発売 / 3360円 / Ki/oon Music / KSCL-2276~7
石野卓球(いしのたっきゅう)

1967年生まれのDJ / リミキサー / ミュージシャン。インディーズバンド・人生を経て、1989年にテクノユニット・電気グルーヴを結成。1995年には初のソロアルバム「DOVE LOVES DUB」をリリースし、この頃から本格的にDJとしての活動も開始する。1990年代後半からはヨーロッパを中心に、海外での活動も積極的に展開。ベルリンで行われるテクノ最大の野外フェス「Love Parade」では100万人を前にプレイするなど、数々の偉業を成し遂げている。また、1999年からは日本最大の屋内型テクノパーティ「WIRE」を主催。毎回1万人以上もの集客で人気を誇る。2006年には川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)と新ユニット・InKを結成。2010年に約6年ぶりのオリジナル作品であるミニアルバム「CRUISE」を発表した。