ビッケブランカ|1stフルアルバムで見せる成長の証

作品と一緒に成長するということ

──「Slave of Love」はなぜ最後から2曲目に?

「THUNDERBOLT」の前を飾れるのはこの曲しかなかったからです。

──ビッケブランカの作品を今作で初めて手に取る人もいると思うので、メジャーデビュー曲にあたる「Slave of Love」が入っているのは親切だなと思いました。

ビッケブランカ

そう思ってもらえたならよかったです。ライブ定番曲になってる「ファビュラス」もアレンジを変えていつか入れてみるのもアリかななんて思ってます。でも実は「ファビュラス」と同じようなエネルギーを持っているかつ「ファビュラス」よりいい曲ができあがってるんですよ。これを早くお披露目したいなと今は思っています。

──早く聴いてみたいですね。「FEARLESS」というタイトルはラストを飾る「THUNDERBOLT」の歌詞から生まれたそうですね。

そうですね、「THUNDERBOLT」ができてアルバムの全体像が見えました。それまでは「いい曲を書こう」という気持ちだけで曲を作っていって、「この曲は6曲目っぽいな」とかそういうイメージで12曲という枠にはめ込んでいって、足りない曲を書き足していった感じだったんです。「THUNDERBOLT」はもう完成した時点でラストに置くことは決めていて、この曲ができたことでアルバム全体のカラーが見えました。

──こういう人を励ますようなナンバーは今までなかったですよね。これまでのビッケさんの作風だと情けない自分をさらけ出すことが多かったから。

そうなんですよ。作曲面やアレンジの面でレベルアップしていてもこの曲が入っているか、入っていないかで大違いなんです。今までは情けない僕の姿を知ってもらうことが、リアルで人に響くと思っていたんですよ。でも「THUNDERBOLT」はあえて主語をなくすことで、総意に見えるようにした。これが自分の気持ちじゃなくて“自分たち”の気持ちだと胸を張って歌えているのが今までと違うところです。

──なぜこのような歌詞が書けるようになったんですか?

つい最近まで僕は親や同級生とか親しい人も含め、人としゃべって「こういうふうに思うんだよね」って言われたことに対して共感できないことが多かったんですよ。わかりやすく言ったら「彼女に振られて泣いてさ……」「言いたいことがあるのに言えなくて」とか。そういう悩みに対して僕は「え、振られただけで泣くの!? どんだけつらいの!?」「言いたいなら言えばいいじゃん!」って思っちゃってたんですよね。で、最近になって僕も歳を食い、いろんな人と話をしていく中でいろんな経験をするわけですよ。そしたら「失恋をしたらこんなにつらいんだ」とか「あいつが『言いたいのに言えない』って言ってた理由が今ならわかるわ……」みたいなことことがたくさんあって。僕が共感できなかったのは、経験がなかったからなんだなとそこで初めてわかったんです。

──人よりいろいろな経験が少なかったのはなぜだと思いますか?

ビッケブランカ

1人でいる時間が長かったからかな。曲を作るのも楽しかったし、基本的に小さいコミュニティにしか属してこなかったから。むしろ「本当にコミュニティに属せていたのか?」っていうぐらいで、本当に根無し草みたいな感じだったんですよ。ずっと音楽にばっかり向き合っていて。自分がここ数年で経験したことやこれから先経験していくことはきっとみんなはすでに経験していること、もしくは経験することなんだろうなってわかって、こういう歌詞もアリなんじゃないかなと思ったんです。みんなそれぞれの人生があるけど、同じ形をたどって大人になっていくんじゃないかって。

──何か決定的なことはあったんですか?

それは特になくて、蓄積されてきたことだけですね。やっと人間らしくなったというか。でも僕は「僕もみんなと一緒なんだよ」っていうのをこの曲で言いたいんじゃない。それは当たり前のことだから。「じゃあ僕たちはどうするよ?」っていうことを歌いたいんです。こういうふうに思ったことが今まで一度もなかったし、そういう曲を作りたいと思ったこともなかった。今回「THUNDERBOLT」を作れたのは自分がいろんな経験をしたからとしか言いようがない。

──それが1stアルバムのタイミングだったというのは、すごくビッケさんにとってラッキーだったのでは?

本当ですよ。ここで1つ成長できたわけですから。前作も最高傑作だと思っていたけど、こうやって最高値を更新できるのは経験の蓄積があってこそですね。人間が成長すると同時に作品も成長するというか。毎度のことなんですけどこのアルバムが出てから何が起こるのかがすごく楽しみです。自分の手を離れてからがアルバムの価値が発揮されるときだと思うので。

ビッケブランカには制約を課したくない

──今は先ほどお話されていた「ファビュラス」を超える「ファビュラス」的な曲以外も作ってるんですか?

その曲以外はまだですね。基本は作品を作ると決まって曲作りをしていくタイプなので。

──枠組みができてから曲を作っていくという部分では作家気質なのかもしれませんね。

本当は楽曲提供とかもしてみたいんですよ。全然そういう話は来ないけど(笑)。

──ビッケさんの曲はビッケさんにしか歌えないからじゃないですかね。

いやいや、ちゃんと人が歌える曲も書けますから(笑)。オファー待ってますよー!

──何はともあれ、メジャーのフィールドに移って、より自由に作品作りをしている印象です。

そうですね。自由にやらせてもらってます。余裕を持って作品を作れるのはありがたい限りです。僕はギリギリに自分を追い詰めていい曲をひねり出すタイプではないし、ビッケブランカには音楽と楽しく向き合いながらなんの制約もなしに活動させてあげたいんです。

──「ビッケブランカ“には”」と言うところが、ビッケさんらしいですね。

今、第三者っぽい感じで言ったのカッコよかったですよね。あはは(笑)。僕とビッケブランカはイコールではないし、ビッケブランカが貧乏で自分をすり減らして音楽やってるなんてヤだもん。ビッケブランカという名前が呼ぶイメージのままにやっていきたいですね。

ビッケブランカ
ビッケブランカ「FEARLESS」
2017年7月5日発売 / avex trax
ビッケブランカ「FEARLESS」[CD+DVD]

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CD収録曲
  1. FEARLESS
  2. Moon Ride
  3. Take me Take out
  4. Want You Back
  5. Stray Cat
  6. さよならに来ました
  7. Postman
  8. Broken
  9. 幸せのアーチ
  10. Like a Movie
  11. Slave of Love
  12. THUNDERBOLT
DVD収録内容

Slave of Love TOUR 2017 at Shibuya WWW

  • ココラムウ
  • Alright!
  • 追うBOY
  • 秋の香り
  • Your Days
  • アシカダンス
  • Slave of Love
  • ファビュラス
ビッケブランカ「FEARLESS TOUR 2017」
  • 2017年9月14日(木)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2017年9月15日(金)宮城県 仙台MACANA
  • 2017年9月17日(日)北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2017年9月29日(金)大阪府 BananaHall
  • 2017年9月30日(土)福岡県 福岡INSA
  • 2017年10月14日(土)東京都 赤坂BLITZ
ビッケブランカ
ビッケブランカ
愛知県出身の男性シンガーソングライター。高校卒業と同時に上京しピアノを習得した後、本名の山池純矢としてソロ活動を開始する。2012年にビッケブランカに改名。その後はライブを中心に活動を続け、美麗なファルセットボイスとピアノが紡ぎ出すポップチューンを武器に各地のイベントなどに出場し話題を集めている。2014年7月に配信シングル「追うBOY」をリリース。同年10月に1stミニアルバム「ツベルクリン」を発売した。2015年8月には2ndミニアルバム「GOOD LUCK」を発表。2016年10月にミニアルバム「Slave of Love」でavex traxよりメジャーデビューを果たす。デビュー作収録の「Natural Woman」はメタボリックのスムージー「enNatural」、「Slave of Love」はGoogle Play MusicのCMソングに採用された。2017年1月にワンマンツアー、5月にツーマンツアーを行い、各公演のチケットはソールドアウトを記録する。7月に1stフルアルバム「FEARLESS」をリリースし、8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」や「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO」といった大型フェスに出演。9月からワンマンツアー「FEARLESS TOUR 2017」を行う。