音楽ナタリー PowerPush - 上杉周大×北海道日本ハムファイターズ

「ファイターズ讃歌」インタビュー3連戦!

栗山英樹監督

中田翔内野手

大野奨太捕手

上杉周大×中田翔

「ここからオレの時間だ」

上杉 昨日のサヨナラホームラン、めっちゃカッコよかったです!(※中田は9月27日の対オリックス・バファローズ戦延長10回の裏、サヨナラホームランで試合を決めている) 打ったあと、バットを放ったあの感じにすごくシビれました!

中田翔 ありがとうございます(笑)。

上杉 やっぱりお客さんの期待や注目って感じてました?

中田翔

中田 いや、実は感じてなくて。いつもならホームランを打った瞬間やダイヤモンドを走ってるときって「今、全員オレを観てるんだろうな」って気分になってるんですけど、サヨナラのときだけはもう頭が真っ白。昨日もそうですけど、気持ちよくダイヤモンドを走ったっていう記憶があるだけなんです。打席に立つまでは「最低限、塁に出なきゃ」っていう気合いやプレッシャーがありましたけど。

上杉 ただ中田選手って高校(大阪桐蔭高等学校)時代から全国区の注目を集めていて、そんな中、ガーッと上に上がってきていますよね。10代の頃からずっとプレッシャーにさらされてきたんじゃないのかなあっていう気がしますけど。

中田 僕の場合、そこをモチベーションに変えるというか。自意識過剰じゃないですけど「全員が観ているからこそ、やらなアカンな」とは常に思ってます。「ここで打たなかったらブーイングかな?」って緊張していたら100%の自分の力は発揮できないので「この時間はオレを観とけ!」くらいの感じで打席に立ってますね。

上杉 カッコいいなあ(笑)。でも、似てるっていうとおこがましいのかもしれないけど、僕にも近いものがあるのかもしれない。ステージに上がる直前ってやっぱり「ここからオレの時間だ」っていう気持ちになってますし。その中田選手を実際に観ているお客さんの声援って聞こえるものなんですか?

中田 聞こえます、聞こえます。

上杉周大

上杉 逆に野次は?

中田 そっちのほうがよく聞こえますね(笑)。しかもお客さんは何万人もいるのに、野次を言ってる人って目に付くんですよ。

上杉 誰が言ってるかわかってるんですか!?

中田 見つけられるんですよ。「ああ言ってるなあ、あのオッサン」って(笑)。

上杉 それをプレイで見返す?

中田 「観とけよ」っていう感じになりますよね。

10回裏の攻防を肴に美味いビールを

上杉 ズバリどうですか? 僕の「ファイターズ讃歌」。

中田 好きですよ。キレイに歌う人よりも男っぽく歌う人のほうが好きなので。途中の「おーいっ!」って言ってるところがいいですよね(笑)。

上杉 ありがとうございますっ! 「男っぽい歌のほうが好き」みたいなこだわりがあるということは、音楽は……。

中田翔

中田 好きですね。僕らの高校の寮ってケータイの所持も禁止、テレビも禁止だったので、本を読むか音楽を聴くか。そのくらいのことしかなかったので、常に音楽を聴いてましたし。それに音楽って野球をする上でも大事なものなので。僕らは「いかに気持ちを高めて打席に入るか」っていうことを常に考えていて、だからみんな気持ちが高まる曲、自分の好きな曲を登場曲に選んでるんですよね。大事っていう意味では「ファイターズ讃歌」や、応援団の人たちが選手1人ひとりに作ってくれてる応援歌もそうで。「ファイターズ讃歌」であればチームのためだけに歌ってくれるものですし、応援歌は自分のためだけに歌ってくれるものですから。それを聴くとやっぱり気合いが入りますよね。

──で、今、中田選手は登場曲にビーグルクルーの「My HERO」を選んでいる。この曲って中田選手のためにビーグルクルーが書き下ろしたんですよね?

中田 はい。知人の紹介で飲みに行って仲良くなって、今ではときどきウチに泊まりに来たりもしてます。僕はよく覚えてないんですけどその初対面のときに彼らが「あんまり売れてないんだよね」みたいな話をしていたらしくて。で、そのあと飲みに行ったんですけど、僕、酔っ払った勢いで「じゃあオレがビーグルクルーを全国区にするから登場曲を作ってよ」って偉そうなことを言ったみたいなんですよ(笑)。

──そして「My HERO」が完成し、ビーグルクルーのPVに中田選手が出ることになった(笑)。

中田 そうなんです(笑)。言ってしまった上に、彼らがいい曲を作ってくれた以上、やるしかないって感じで。

上杉 面白いし、やっぱり男っぽいなあ(笑)。お酒は好きなんですか?

左から中田翔、上杉周大。

中田 お酒がないと生きていけないので(笑)。

上杉 あはははは(笑)。どのくらい飲むんですか?

中田 まずはジョッキでビールを5~6杯飲んでから……。

上杉 「まず」って言いながら、すでにだいぶんいってますよね(笑)。

中田 そうですか?(笑) で、そこから焼酎、日本酒、ワインを順繰り順繰りにいく感じですね。

上杉 昨日みたいな試合のあとのビールってやっぱり違います?

中田 全然違いますね。自分の試合は常に録画しておいて観直すようにしてるんですけど、やっぱりあの10回裏の打席のときはビールが進みますよね(笑)。

中田翔の考える理想の4番バッター像

上杉 実は各方面から中田選手は歌がうまいっていう話を聞いてるんですけど……。

中田 いやいやいや、全然(笑)。確かに今は歌うのも好きですけど、学生の頃は恥ずかしいから人前では歌わなかったですし。

上杉 プロになって目覚めた感じですか?

中田 それもやっぱり食事やお酒の席での出来事というか、先輩に誘ってもらって「歌え」と言われたらやっぱり断れないので(笑)。で「わかりました!」って歌ったら、その気持ちよさを覚えちゃって。

左から上杉周大、中田翔。

上杉 あはははは(笑)。最後に今後の目標ってあります?

中田 理想の選手像が明確に頭の中にあるので、そこに少しでも近づけるように1年1年大事にやっていきたいですね。

上杉 その理想像って?

中田 今僕は4番を打たせてもらってますけど、まだまだ4番じゃないな、というか。

上杉 えっ!? 中田選手ほど「4番バッター」が似合う人も珍しいと思うんですけど……。

中田 いや、昨日みたいなまぐれのホームランを打つこともありますけど(笑)、その前には(ランナー)1、2塁っていう場面もあって。そこで決めてればサヨナラホームランなんて打つ必要がなかったわけですよね。たぶん西武のおかわりさん(中村剛也)なら決めてると思うんですよね、あの場面で。あとウチの稲葉(篤紀)さんも。そういう勝負強さが自分にはまだまだ足りないのでお2人のような4番バッターになりたいですね。

ニューシングル「北海道日本ハムファイターズ 公式球団歌 ファイターズ讃歌」 / 2014年7月2日発売 / 1000円 / VAP / VPCC-82317
「北海道日本ハムファイターズ 公式球団歌 ファイターズ讃歌」
収録曲
  1. ファイターズ讃歌
  2. ファイターズ讃歌 THE TON-UP MOTORS Ver.
  3. ファイターズ讃歌(カラオケ)
  4. ファイターズ讃歌 THE TON-UP MOTORS Ver.(カラオケ)
上杉周大(ウエスギシュウタ)

1982年2月11日生まれ、北海道出身。2000年に北海道札幌市で結成されたソウルロックバンド・THE TON-UP MOTORSのボーカル。バラエティ番組「ブギウギ専務」(STV)で主役を務めて人気を博し、ラジオのパーソナリティやテレビCM出演など、幅広く活躍している。バンドとしても全国各地のライブハウスでの公演のほか、野外音楽イベントや学園祭などに多数出演。2013年12月発売のニューアルバム「THE TON-UP MOTORS」でバップよりメジャーデビューを果たした。さらに2014年には北海道日本ハムファイターズの応援歌「ファイターズ讃歌」の3代目ボーカリストに起用されるなど、ミュージシャンとしてもバンド活動のみならず、さまざまな世界で活動を展開している。

中田翔(ナカタショウ)

1989年4月22日、広島県生まれ。右投げ右打ち。内野手。大阪桐蔭高等学校に入学した2005年には1年生ながら、同校の全国高等学校野球選手権大会ベスト4進出に大きく貢献し、また在学中に通算87本塁打という当時の新記録を樹立するなど、高校時代より「平成の怪物」として注目を集める。そして2007年のドラフト会議で4球団が1位指名に名乗りを上げる中、北海道日本ハムファイターズに入団し、2010年より1軍に定着。以来、ファイターズ、そして球界を代表する4番バッターの1人として活躍する。