渡哲也みたいになりたい

──で、その4人のメンバーが集まって作られたのが「GOLD TRASH」のDISC 1に収録されている14曲です。シングル曲を中心に年代順に並べられているわけですが、マスタリングのときに改めて聴き返してみていかがでした？

面白いなあと思った。

──新しい発見があったり？

あった！ マスタリングのエンジニアが違う人だし、録りのエンジニアも初期の頃は違うんだよ。だから、音が変わってくる。立体感が違うっていうかね。（今回のマスタリングで）「こうなるのか」と思った。

──ご自分のプレイや歌ってることについてはどうですか。

変わんないね。今、詩集をまた出そうと思ってやってるんだけど……まったく変わんないなと思って。はははは！（笑） もうちょい変わってもいいものなんじゃないかなと思ったんだけどね。

──確かに本質的なものは何も変わってないと思います。

だって変われないよ？（笑） 小野島さんだって変わらないじゃん、なんにも。20年ぐらい前に初めて会ったまんまじゃんか。

──そう？（笑） 変わりたいと思う？

思うねえ。

──どういうふうに？

いや、なんというか……あの人。石原軍団の人いるじゃん。

──舘ひろし？

ちゃうちゃう。舘さんじゃなくて……。

──渡哲也？

そう！ 渡哲也！ 渡哲也みたいになりたいなあって（笑）。

──ええっ！（笑）それはどういう意味で？

やっぱりさ、すごく大人じゃん。大人っていうか……すべてのことがちゃんと見えてるような感じがあるじゃん。テレビで観てると。

──被災地での炊き出しとか？

そうそう。それもある。

──若い頃はチンピラ役をやったり、ギラギラしていたけど。

そうそうそうそう。

──じゃあ、ああいうすべてを達観したような、落ち着いた大人になりたい？

なりたいねえ……なってみたいわ。いつかなりたくない？ ああいうふうに。

──でも否が応でも大人になるじゃないですか、いつか。いつまでも若者ではいられない。

そうだね……そういう感覚もあるね。

青春終わってないね

──The Birthdayを結成したとき、チバくんは30代後半ですよね。一般的に言えばもう十分大人と言える歳だけど……。

そうだね。

──The Birthdayを始めたときは、自分の人生にとってどういう時期でしたか？

すごく覚えているのはね、俺、坊主にしたんだよ。The Birthdayを組むときに。知り合いのとこ行って、「全部切れ」って言って。

──頭を丸めて、心を入れ替えて。

へへへ、なんでかはわかんない。

──青春の終わり、みたいな？

青春ねえ……。青春っていつまで？

──心の持ちようじゃないですか。

それ言ったらいまだに俺、青春だよ。

──そう？

うん。甘っちょろいもん。

──自信持ったりなくしたり。

うん、ほんとだね。その通りだわ。そう、今THE GOLDEN WET FINGERSのレコーディングやってるんだけどさ。すごいよ！ もう、それこそ「青い春」（豊田利晃監督の映画。エンディングテーマにTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの『ドロップ』が使用された）だわ。青春終わってないねっていう。なんとか終わらせたいんだけどなあ……。

──終わらせて渡哲也みたいになりたい？ 泰然自若と落ち着いた大人に。

うん。それか（高倉）健さんみたいに……。

──ホントになりたいの？

わかんない（笑）。

──なれると思う？

……はははははっ！ まったく思わんね。無理だわ（笑）。

──ジタバタしてるのがチバユウスケであるという。

うん。そう、昨日飲み屋で言われたのが、「ジョニー・サンダーズとチバユウスケの違いはドラッグやってるかやってないかの違いだけだ」って（笑）。ひでえ言われようだなあと思ったけど……。

──ああいう破滅型にはなりたくないでしょう。

俺は嫌だね。

──本当はもっと前向きですからね。

うん、そうだよ。すごく前向きだと思うよ、俺は。

──特にここ最近のThe Birthdayはそういう前向きな部分が素直に出ていて、いいと思います。

うん。そうだね。