2つの才能が生んだ極上のポップミュージック 「時の空」の背景に迫る
──一緒に曲を作ってみて、Saigenjiさんは「シンガー多和田えみ」にどういう印象を持ちましたか?
Saigenji なんかこう、音楽の感じ方が近いんですかね。若いアーティストの中では珍しい、マニアックなタイプというか。
多和田 マニアック?
Saigenji どう説明したらいいんだろうな、うーん。ハーモニーの感じ方もそうだし、歌がどの位置にあるか、とか……そこの感じ方がきっとすごく近いんですね。
──「歌の位置」というのはどういうことなのでしょうか。
Saigenji たとえばそうだな、ロック以降のポップミュージックは主に、歌が音楽を引っ張るっていうスタイルだと思うんですね。でもジャズとかブラジル音楽の場合は、歌も音楽の一部な>んです。どちらかというとそっちに近い……あんまりその、エゴで引っ張らない、個人の力を過信していない音楽というか。そこの好みがすごく近いんじゃないかと思ってるんですけど。
──それを考えたら多和田さんは、同じ世代のアーティストと比べると確かにちょっと珍しい存在かもしれないですよね。
Saigenji うん。
──多和田さんは、特に意識して珍しい存在になったわけではないですよね(笑)。
多和田 うん。でもこの人が好き、というよりは「この音楽そのものが好き」っていうことが多いから、なんとなく自然に……。
Saigenji 人選を見ても、中島ノブユキさんとか、俺とかね(笑)。明らかに日本のミュージックシーンではマニアックなほうだと思うんですけど。
多和田 へへへ。
Saigenji うん。でもそれはわりと真っ当な音楽の感じ方でもあるとは僕は思っていて。だから、そういう共通した気分で音楽が作れて、しかもポップミュージックのフォーマットにできる>っていうのはすごくうれしいし、良かったなと。

──今回の共演を通して、今後また新しい展開が生まれる可能性は見えてきませんか?
Saigenji そうですね。いくらでも書けます、っていう感じなので。インスピレーションが湧かない人は一切湧かないんですけどね。多和田さんの場合は、湧くんで。
多和田 ああ。うれしいッスね〜。
──良いプロデューサーが確保できましたね。
多和田 (笑)いや、もう最高ですね。最高のお兄ちゃんだし。心もすごくステキですし。
Saigenji そうかなあ(笑)。
多和田 Saigenjiさん、沖縄に住んでたんですよね。
Saigenji そうそう。
──多和田さんも沖縄生まれの沖縄育ちですよね。何かこう、沖縄特有のヴァイブスみたいなのがあるんでしょうか。沖縄には2人に共通するような、ソウルミュージックやブラジリアン的な土壌が 。
多和田 特にそういうシーンがあるわけじゃないですけど、ラジオなんかで米軍基地の兵隊さん向けに海外の曲が流れるチャンネルがあったりするから、そういうのも少しは影響してるかも>。
Saigenji うん。でも俺の場合は転勤が多かったので。そっちのほうが重要かもしれないです。香港と沖縄にいたんですけど。なんというか、ふるさとがない感じ。それが結構音楽に影響し>ているかもしれないです。この子は強固にふるさとがあるタイプだと思うので、たぶん根っこは違うと思うんですけど。それに、お母さんが良かったんだろうなーと思うもん。
多和田 私の? お母さん、ぐしゃぐしゃですよ?
Saigenji ぐしゃぐしゃって何(笑)。
多和田 ずっと「ハハハ」って笑ってるだけなんですけど。性格がラテン的。ラテンの音楽も大好きなんですよ。
──2人の掛け合いを見るかぎり、すごくポジティブな空気というか、良い音楽が生まれてきそうなムードがあるのがいいですね。
多和田 アッパー系というかね。ワーッ! イエーイ! っていう感じなんで(笑)。
──これはちょっと先々が楽しみなコンビが誕生したな、と。
Saigenji 飲み会とか最高ですよ。
多和田 うん。トラックダウンが終わったその日にスタッフみんなで飲みに行ったり。まれに見る、ホントに濃い飲み会(笑)。
Saigenji しかも立ち飲みですから。親戚の集まりみたいな。
──「時の空」は映画「築城せよ!」(6月20日より全国で随時公開)の主題歌として全国の劇場でも流れていきます。これまで多和田さんのことを知らなかったという新しいファンもきっと増える んじゃないでしょうか。
多和田 あー、たくさんの人に届いてほしいですねー。
──多和田さんのことを調べてこのページにたどり着いた人に自己紹介的なひとことをいただけますか?
多和田 そうですね。やっぱり、いろんな人がいろんな気持ちで、いろんな感じ方で聴いてくれたらすごくうれしいです。なんというか、うーん……その音楽自体に、包み込まれるような気持>ちになってもらえたら。音楽そのものの、えーと……。
Saigenji こういうのをしゃべるのがすごい下手でしょ(笑)。そこもすごく似てる。なんだろう、きっとこう聴いてほしいとか、本当はないんですよね。自分自身が感覚的にしかとらえて>ない、みたいなところがある、ってことだと思いますよ。多分(笑)。音楽そのものに強い気持ちやメッセージを込めれば良い音楽になる、っていうわけじゃないですから。
多和田 そうですね。自分で作った曲に対して、込めた気持ちは伝わってほしいけど、かと言って「絶対にみんなもこう思ってほしい」というんじゃないんです。ある意味、リリースしてし>まえば自分にはどうすることもできないというか。でも、だからそこまでにこう……自分なりの感覚や心を使って、悔いなくヴァーっと作品に詰め込められるように。もっといろいろと、人として成長したいです(笑)。
──すごくわかります。文字メディアでこの身振り手振りのニュアンスが伝わるのかは難しいところですけれど(笑)。
Saigenji そうだよね(笑)。ヴァーってところがね。
多和田 もうちょっと言葉でうまく伝えられるようにはなりたいんですけど。
Saigenji いや。多和田さんの場合はそれ、できなくてもいいと思うよ。
──きっと長嶋茂雄さんと同じタイプですからね。天才型。
Saigenji あーそうそうそう(笑)。大丈夫、大丈夫。うまくしゃべれちゃったりしたらさ、ダメだよ、そんなの。きちんと絶妙のタイミングでヒットやホームランを打ってくれればいい。
多和田 そうですかねえ(笑)。
──今後もこのコンビを継続してくれることを本当に楽しみにしています。
多和田 よろしくお願いします。
──なにかしゃべり足りないことはないですか? 大丈夫ですか?
多和田 うーん……基本的にいつもしゃべり足りないですねー。
一同 (笑)

1stマキシシングル「時の空」の発売を記念して、最新作「時の空」と「MUSING」のコンポーザーを務めた、日本が誇る天才パフォーマーSaigenjiをスペシャルゲストに迎えて、多和田えみ & The Soul Infinity夏 のワンマンライブが大阪と横浜で開催決定。ゆったりとお酒を呑みながら音を楽しめる椅子席スタイルでのリリースパーティです。

1984年生まれ、沖縄出身の女性シンガー。高校卒業後、カナダへの語学留学中に出会ったストリート・ジャズ・バンドで歌ったことをきっかけに、本格的に音楽を志す。帰国後に作詞作曲を開始し、2006年2月から 沖縄県内のホテルやライブハウスを中心に積極的なライブ活動を展開。翌2007年にMSN/EMI ARTIST主催のオーディション決勝大会で、NYLON賞を受賞する。同年5月に沖縄限定シングル「ネガイノソラ」がリリースされ、好セールスを記録。その後もアン トニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバム「ジョビニアーナ〜愛と微笑みと花〜」や、沖縄出身アーティストによるコンピ盤「琉球LOVERS ROCK」などに参加し、注目を集める。そして2008年4月、ミニアルバム「∞infinity∞」で待望のメジャ ーデビュー。ブルースやソウル、ジャズ、ファンクなどブラックミュージックから強く影響を受けたサウンドと、ときに激しく、ときに優しく聴き手に訴えかけるソウルフルな歌声が高く評価されている。