ナタリー PowerPush - 玉城千春

“ブランニューな私”を詰め込んだ1stソロアルバム誕生

初めて会ったいしわたり淳治の前で大泣き

──アルバムの最後を飾る「それだけ」では、いしわたり淳治さんが歌詞を手がけられてるんですね。

玉城千春

はい。マネージャーから「こんな歌詞を書いてる人がいるよ」って、いしわたりさんがあるアーティストに提供した歌詞を見せてもらったんです。その歌詞にすごく感動して。それで興味を持ってオファーしました。

──いしわたりさんにはどういうふうに依頼したんですか?

最初は自分のマイナスなところを歌詞にしてもらおうと思ってたんです。だから初めてお会いしたとき、自分がマイナスのモードに入ってしまって、ファミレスで大泣きしてしまったんです。涙がずっと止まらなくて、最初からすごく迷惑をかけてしまって(笑)。

──いしわたりさんにすべての思いをぶつけてみたんですね。

そうなんです。でも、いしわたりさんは「暗いところを無理矢理見せなくてもいいよ。みんなが元気になる歌詞が書きたいんだ」って言ってくれたので、方向転換して前向きな歌詞を書いてもらうことにしました。歌詞を3パターン送ってもらったんですが、その中でも特に「それだけ」が気に入ったので、それにメロディをつけることにしたんです。

──歌詞の方向は全然違うものになりましたけど、それもファミレスで玉城さんがすべての思いをぶつけたことによって、いしわたりさんが考えた結果だったのかも。

ああ、そうなのかもしれません。今はこの方向性でよかったと思ってます。歌詞が届いたのがスキマスイッチとレコーディングしていたときで、2人が作業している間にAメロが浮かんできたので、マネージャーを呼んで、ピアノで弾いて聴かせたりしました。この曲が一番Kiroroに近いと思います。レコーディングはピアノとあわせて一発録りでした。

──玉城さんから見たいしわたりさんはどんな方でしたか?

小田さんやスキマスイッチと同じで、いしわたりさんもこだわりを持ってる方でしたね。最初の打ち合わせのときに、実は曲をいくつか持っていったんです。この曲に歌詞をつけてもらおうかなって思って。でも、いろいろ話していくうちに方向性も変わったので、歌詞を先に書いてもらったんです。だけど、いしわたりさんは、歌詞を先に書くのは初めてだったらしいんですよね。

──いしわたりさんにとっても新しいチャレンジになったわけですね。

そうみたいです。あと、歌詞にもこだわりを持ってらして、歌詞に「神様」という言葉が出てくるんですが、「神様」というタイトルの曲も入るので省かせてもらおうかなって思ったんです。でも、それをいしわたりさんに伝えたら、「神様という言葉を省くのであれば、全部書き直します」というお返事があって。すべてに意味があって、こだわりがあるんだなって。私はそれほどのこだわりがなかったので、これからは自分の作品としてのこだわりをちゃんと持ってないといけないなって勉強になりましたね。

「私、新しくなったし」

──曲の数だけ作り方があって、アルバムを作りながら玉城さんも多くのことを学んでいったんですね。

はい。おかげさまですごくいいアルバムができました。中身も濃いです。沖縄と東京を行ったり来たりして、短い時間でレコーディングしなければいけなかったので大変でしたけど、振り返ってみればすごく楽しかったです。

──曲順はどういうふうに決めましたか?

玉城千春

シングル曲の「神様」を聴いて「今までの玉城千春と違う」ということを感じてもらいたかったので、やっぱり1曲目は「神様」がいいかなって。「それだけ」は、曲ができた瞬間に最後がいいなって思って。さっき話しましたけど、一番Kiroroに近い曲ですから、「Kiroroの私も忘れないでよ」っていう気持ちを込めたんです。ほかの曲に関しては順番に結構悩んで決めましたね。

──タイトルの「Brand New Days」にはどんな意味が?

8月にソロでライブをしたんですけど、そのときの舞台監督さんが「千春ちゃん、ブランニューやなあ」って関西弁で言ってくれたんです。スキマスイッチとの曲にも歌詞に「ブランニュー」っていう言葉がありますけど、そう言われたのがうれしくて、「私、新しくなったし」と思ってタイトルにしました。

──ソロデビューアルバムにピッタリだと思います。ジャケット写真のイメージもこれまでとは違う新しい雰囲気ですし。

髪の毛も切って、新しいイメージにしてみたんです。

──さて、ソロとして新たなスタートを切りましたが、これからどんなことをやっていきたいですか?

シングル「神様」のカップリング曲として、カバー曲を歌わせてもらってるんですが、カバーを歌うというのもKiroroではやらないことなので、これからもやっていきたいなって思ってます。あとは、12月にアルバム発売記念のイベントが東京と大阪であるので、それが楽しみです。ソロツアーをやってほしいと言われるんですけど、自分としては痛めた喉も元に戻って、歌えるということに今喜びを感じてますから、まだ無理はしたくないんです。今やれることをやって、いつかツアーができたらいいなって。待っててください。まだ始まったばかりですから(笑)。

1stソロアルバム「Brand New Days」 / 2011年11月23日発売 / 3150円(税込) / Victor Entertainment / VICL-63803 / Amazon.co.jpへ

CD収録曲
  1. 神様(album version)
  2. Harmony+
  3. ゼロセンチ
  4. 光と影
  5. Honey
  6. Everything
  7. Two Hats
  8. 朝日
  9. それだけ

ソロアルバム「Brand New Days」
発売記念イベント

プレミアムライブ、
握手&CDジャケットサイン会

2011年12月10日(土)銀座山野楽器本店7Fイベントスペース“JamSpot”
START 13:00

フリーライブ、
握手&CDジャケットサイン会

2011年12月17日(土)兵庫県 阪急西宮ガーデンズ4階スカイガーデン・木の葉のステージ
START 15:00

玉城千春(たましろちはる)

1977年生まれ、沖縄出身の女性アーティスト。Kiroroのボーカリストとして1998年にメジャーデビューし、「未来へ」「Best Friend」など数多くのヒット曲を生み出す。近年は他アーティストへの楽曲提供なども行い、作家としても活躍。2005年に結婚して以降は、独自のペースを保ちつつ音楽活動を展開している。2011年10月にシングル「神様」でソロデビューを果たし、同年11月の1stソロアルバム「Brand New Days」をリリース。