音楽ナタリー Power Push - Tokyo 7th シスターズ

クリエイター陣が解説する「ナナシス」と音楽の関係

次世代アイドルの姿を明確に提示する

──fu_mouさん、y0c1eさん、emonさんはそれぞれ、ゲーム内で777☆SISTERSが歌うシングル曲を手がけられていますよね。

茂木 シングルを3部作として連続で出すという構想が僕の中であったので、まず1曲目としてメロディアスでドラマチックなド直球ナンバー「H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!」をfu_mouさんに作っていただいて。1発目をハジけたパーティナンバーにしなかったのが「ナナシス」の個性というか自分っぽいなって思います(笑)。

左からemon、茂木伸太郎、fu_mou、y0c1e。

fu_mou ドラマチックな曲ということを念頭に置きつつ、さっきも言いましたけどライブで盛り上がるドルソンにすることはかなり意識しましたね。

茂木 で、2曲目はy0c1eさんにお願いしたんですけど、僕が的確な指示を出せなくてちょっとトラブっちゃったんですよ。ホントにごめんなさい。

y0c1e いや全然大丈夫です(笑)。最初に作ったやつが完全にボツになったんで、改めて作ったんですよね。それが「Cocoro Magical」で。イメージとしてはアイドルソングとアニメソングの中間……よりもちょっとだけアイドルソング寄りみたいな感じの作り方をしましたね。

fu_mou ああ、ドルソンとアニソンの中間っていうのは僕もわりと意識してました。

茂木 「Cocoro Magical」はとにかくかわいくて楽しいアイドルソングにしてほしいとオーダーをさせてもらいましたしね。で、3曲目はライブで盛り上がる曲をemonさんにお願いしました。でも最初はライブで化ける曲って話は伝えてなかったんでしたっけ?

emon はい。でも実は僕も最初に用意した曲が茂木さんのイメージとはまったく違った曲調だったので、改めて作り直したんですよ。

茂木 そうでしたね(笑)。本当にすみません。最初に出してもらった曲はすごくメロディがよかったし、方向性もそこまでズレてなかったとは思うんだけど、あとから出してもらった「KILL☆ER☆TUNE☆R」がもう圧倒的によかったんですよ。ダンスビートがライブで盛り上がると思ったので。しかもちょっと古い感じというか(笑)。

──この3曲を聴くと777☆SISTERSの音楽性の振り幅の広さを感じます。そこはいろいろな楽曲を歌わせていきたいという狙いがあってのことなのですか?

茂木 そうですね。12人のメンバーの個性をしっかり見せつつ、次世代アイドルの姿を明確に提示するという大枠はありますが、楽曲ジャンル的な部分でのコンセプトはそれほどないんですよ。そこを固めすぎるとメインユニットとしての可能性を潰してしまうような気がするので、いろいろなバリエーションがあっていいと思うんです。今回、メジャーでリリースした「僕らは青空になる」では初めて生楽器を使ったロック調の曲をやってますしね。次がどんな曲になるかはまだわからないけど、「え、それで来る?」みたいな反応があってもいいんじゃないかなと。

キャラクターが動くようになった

──キャラクターが成長していくことで、新たに歌わせたい楽曲のスタイルが見えてくるところもあるでしょうね。

茂木 確かにキャラクターがよく動くようにはなってきてはいます。演じてくれているキャストさんとコミュニケーションを取る中で出てくるアイデアもありますからね。「この子はこんなこと言いそうだよね」とか。音楽に関してもそういう部分があると思います。僕の中ではメンバー1人ずつに歌わせたい曲のイメージが生まれてきたりもしていますし。皆さんの中にもそういう感覚ってあります?

fu_mou

fu_mou 僕はめちゃめちゃありますよ、この子にはこういう曲調がいいんじゃないかとか、そういうイメージが。

茂木 y0c1eさんなんかレコーディングのときにすでにアイデアを出してくれたりしてましたよね(笑)。

y0c1e はい。今井(麻夏:久遠寺シズカ役の声優)さんがすごくいい声なんですよ。だから、その声を全面に出すような、ギターの弾き語りみたいな曲をやってみたいですねって。実際やれるかどうかは別として(笑)。

fu_mou 僕は井澤(詩織:芹沢モモカ役の声優)さんの声がすごく印象に残ってて。とにかくキャラも声質も面白いんですよ(笑)。彼女の声を生かした曲はいつか作ってみたいですよね。

茂木 レコーディングの中でキャストさんの歌声の特徴がわかったことで、僕が考えていた歌割りが変化することもありましたもんね。

y0c1e それはすごくありました。「歌詞のこの部分は絶対この子に歌わせたらかわいいはずだ」っていうのが現場で見えてきたりしたので。そういう提案はかなり採用してもらいました。

fu_mou 実際に歌ってもらうと、「あ、このパートはこの子なんだな」っていう気付きがあるというかね。

emon うん。「KILL☆ER☆TUNE☆R」の落ちサビ前のパートは結果的には(晴海)シンジュちゃんに歌ってもらったんですけど、最初は違う子をイメージしてましたからね。現場で声を当ててもらったことで、「ここはシンジュちゃんだな」ってことに気付けて。

fu_mou あそこは静かなパートだけどメロディ自体はエモいから、シンジュちゃんの声が合うのは納得ですよね。

emon そう。胸に刺さる感じがあったから。

茂木 楽曲制作はまさに生モノなので、本当にいつも予想以上のものになっていてとてもうれしいです。

──レコーディングを通して、声質も含めた各メンバーの個性がクリエイター陣にばっちりインストールされたわけですね。

y0c1e まさにそうですね。だからもう、またぜひお願いします(笑)。

fu_mou 「ナナシス」大好きだから(笑)。

茂木 あははは(笑)。いやこちらこそお願いしますよ。

Tokyo 7th シスターズ

2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのリズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。2015年5月には東京・Zepp Tokyoにて、ゲームに参加する声優たちによる1stライブ「Tokyo 7th シスターズ 1st Anniversary Live 15'→34' ~H-A-J-I-M-A-L-I-V-E-!!~」が行われた。また同年7月に777☆SISTERSがシングル「僕らは青空になる / FUNBARE☆RUNNER」でメジャーデビューした。

777☆SISTERS 1stシングル「僕らは青空になる / FUNBARE☆RUNNER」2015年7月29日発売 / Victor Entertainment
初回限定盤 [CD] 2376円 / VIZL-856
通常盤 [CD] 1296円 / VICL-37089
初回限定盤収録曲
  1. 僕らは青空になる
  2. FUNBARE☆RUNNER
  3. 僕らは青空になる -OFF VOCAL-
  4. FUNBARE☆RUNNER -OFF VOCAL-
  5. Message from -HARU-
  6. Message from -MUSUBI-
  7. Message from -RONA-
  8. Message from -HIME-
  9. Message from -MOMOKA-
  10. Message from -SUMIRE-
  11. Message from -SUI-
  12. Message from -SHIZUKA-
  13. Message from -SUSU-
  14. Message from -SAWARA-
  15. Message from -KAJIKA-
  16. Message from -SHINJYU-
通常盤収録曲
  1. 僕らは青空になる
  2. FUNBARE☆RUNNER
  3. 僕らは青空になる -OFF VOCAL-
  4. FUNBARE☆RUNNER -OFF VOCAL-
茂木伸太郎(モテギシンタロウ)

Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督として同ゲームのビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作にも携わっている。

fu_mou(フモウ)

Hifumi,inc.所属のクリエイター。アニメ「なりヒロwww」のオープニングテーマ「なりゆきだってオーライwww」やアニメ「蒼き鋼のアルペジオ」のエンディングテーマ「Innocent Blue」をはじめ、アニメ「アイカツ!」や、劇場版「とある魔術の禁書目録」の劇中歌なども担当。黒崎真音、私立恵比寿中学、アップアップガールズ(仮)、ナノなどの楽曲制作やサウンドプロデュースも担当する。

y0c1e(ヨシエ)

Hifumi,inc.所属のクリエイター。アニメ「人生」のオープニングテーマ「凸凹解決せんせーしょん」、アニメ「琴浦さん」のエンディングテーマ「ESP研のテーマ」やアニメ「恋愛ラボ」のオープニングテーマ「恋愛したいっ!」をはじめ、内田真礼、petit miladyへの楽曲提供など、アニメソングを多く手がけている他、BUGLOUD名義で米Play Me Recordsよりリリースをするなど海外でも活躍中。

emon(エモン)

テクノポップユニットTes.のメンバーとしても活躍するクリエイター。ボーカロイドプロデューサーやDJとしても活動している。オリジナルのボカロ曲を収録したアルバムもコンスタントに発表している。