サビ以上のサビを

──先ほど「Colors」はいくつかの曲を組み合わせたとおっしゃってましたが、この曲の制作過程を教えてもらえますか？

KOJI　携帯の中にある曲のストックから「これいいじゃん」っていうものを持っていったんです。サビとして。それが今「Colors」ではAメロになってるんですけど。英語の部分ですね。

YUICHI　そのフレーズを聴いたプロデューサーに「ここがサビじゃないバージョンとサビバージョンの2つ作ってみてよ」って言われて。そういうこと今までなかったから、面白そうだなと思って挑戦しました。

KOJI　俺は渾身のサビだと思って持っていったから「それ以上のメロディ作れ」って言われてキツかったけど（笑）。

YUICHI　確かに作ってる本人はキツかっただろうね。俺らは「やってみようぜ！」って楽しそうに言ってたけど（笑）。

KOJI　でもそういうディスカッションをしたうえで、新たな気持ちで作ったので、結果面白かったです。

──この曲はミュージックビデオもすごくカッコよくて。

YUICHI　「Smokes」というタイトルにちなんで、それぞれのカラーで煙……のろしを上げようというのがコンセプトです。監督といろんなやりとりをしたこともあって、今まで以上に思い入れがありますね。

KOJI　あの煙、1個ウン千円するんですよ。

──そうなんですか！ たくさん使用されていますよね。

KO-TA　めっちゃ使いました。

KOJI　1分も経たないうちに消えちゃうんですけど。儚いです。

YUICHI　儚いと言えばドローンも。撮影にドローンを使ったんですけど……試しで飛ばした1発が、周りの岩山にぶつかって……「はい終わり！」って。

KO-TA　「ドローン壊れました」って（笑）。

YUICHI　MVには「じゃあ試しで撮ってみましょう」って撮ったものが使われてます。

KO-TA　儚かったね。

あの頃速過ぎて弾けなかったメタリックなフレーズを

──「Obedeience」のメタリックなギターも印象的でした。これはどなたかのキラキラポイントですか？

YUICHI　これは俺とKO-TA、2人のキラキラポイントです！ 俺が「こんなリフが弾きたい。ハモってくれ」って、このフレーズをスタジオに持っていったんです。「ステージでこのフレーズを2人で弾いたらクソカッコよくね？」って。

──YUICHIさんはメタルがお好きなんですか？

YUICHI　すごい好きっていうわけではないのですが、ちょこちょこ通っていて。でも十代の頃って、メタルをギターで弾こうとしても速すぎてあきらめてるんですよ。だけど今やってみたら「あの頃弾けなかったこれが、今だったらやれるじゃん！」って気付いてワクワクしたので、入れようと。

KO-TA　ワクワクしたよねえ。

──あと1曲目のイントロもびっくりしました。アルバムを再生したらまずしっとりとしたピアノのアンサンブルが始まって。「あれ？ これSWANKY DANKのアルバムだよね？」って不安になったところでダダッダダッとドラムが入って、「あー、これこれ」っていう。

YUICHI　そこは聴いた人をビックリさせてやろうと思って試行錯誤した結果です。

──すごくビックリしました。

KOJI　まんまと引っかかりましたね。俺の勝ちだ（笑）。

KO-TA　してやったりです（笑）。

10年前の歌詞が今の自分へのエールに感じられる

──そのほかに皆さんの“キラキラポイント”を教えてもらえますか？

YUICHI　俺のキラキラポイントはさっきも挙がりましたが、「Obedeience」のハモリと、中間にあるパッと場面が変わるような展開感。どっちもやってみたかったことなので、やっとできたなという。

KO-TA　僕は「Making My Way」です。すごく力強いし、すごくパンクロックな曲だなと。SWANKY DANKっていろんなスタイルの曲がありますけど、根本はパンクロックが好きな4人が集まってやってるんで、それが一番伝わりやすいのが「Making My Way」かなって。10年前のキラキラが、今だにまぶしく光ってる。それくらいキラキラしてる曲なんだなあと思いますね。

──10年後もこの曲はきっとキラキラしてるんでしょうね。

YUICHI　そうだったらうれしいですね。

KOJI　俺も「Making My Way」ですね。歌詞も10年前に作ったところからほとんど変えてないんですけど、改めて聴いたらギュッと心をつかまれたんですよ。当時の俺に今の俺が刺激されたと言うか。だから聴いてくれたみんなもキラキラした気持ちになるんじゃないかと。

──歌っていて、当時と気持ちは変わっていますか？

KOJI　変わってないような気がしますね。前向きな曲なんですけど、今も前向きな気持ちで歌えてる。そもそも俺、すごい根暗なんですよ。

──そうなんですか？ 意外です。

KOJI　みんなもそうだと思うんですけど……家で1人になるといろんなことを考えすぎるところがあって。ノートに同じ文字を書き続けたりとかしちゃうんです。

YUICHI　前に機材車にそのノートがあって、ドラマーのSHUNちゃんと2人で「なんだろう、このノート」って言って開いてみたら……「薔薇薔薇薔薇薔薇薔薇薔薇」って書いてあって2人でめちゃくちゃ怖くなりました（笑）。

KOJI　そういう癖とか根暗な性格は10年前も同じ。「Making My Way」で書いてる歌詞はそんな自分への応援歌でもあるんですよね。その気持ちは今も変わってないと思います。

──とは言え、10年前とはバンドが置かれてる状況は違うわけじゃないですか。今でも「どこまでも夢中で駆け抜けたけど 届きそうなのに届かなくて」という気持ちになるんですか？

KOJI　なりますよ。

YUICHI　もちろん今は楽しいし、状況は前よりよくなっているし、うれしいこともたくさんあるけど、その一方でやりたいライブができなかったり、出たいフェスに出られなかったとかそういう悔しい思いもしてるし、「今の自分たちは足踏みしてるんじゃないか」って不安になったりするんですよ。いろんな気持ちが入り混じってるから、俺も「Making My Way」をレコーディングしているとき、エモくなりました。

KOJI　もちろんあの頃は不安だったけど、現実を知らなかった分、もっと夢だけを追いかけてたなと思うんです。それがキラキラしてるということにつながってるいるのかもしれない。だからいろんなことを知った今聴くと、自分へのエールに感じられるんですよね。