3人で自然にやれる曲

──そして4年ぶりのアルバム「Sunny」すごくよかったです。

曽我部　あ、ホントですか？ ありがとう。うれしい。地味かなあって思うんだけどね。

──そうなんですか？

曽我部　すごく自分たちらしいサウンドなんだけど、いかんせん地味だなって思うわけ。商業ベースというか、FMラジオとかで流れたときに「今のなんだったの？」みたいな。

──でもそれがサニーデイの持ち味ですよね。

曽我部　まあね（笑）。無理して自分たちの持ってないものを出そうとしたらおかしなことになるし、そう考えるとやっぱりこれでいいのかな、とは思うんだけど。

──今曽我部さんが言った「自分をそのまま出す」という姿勢は、サニーデイに限らず曽我部さんの活動において一貫しているものですよね。その中で“サニーデイらしい曲”というのはどうやってできていくものなんですか？

曽我部　やっぱり3人で自然にやれる曲ってことだよね。俺がいいと思っても、2人に合わない曲っていうのはある。だから3人で音出してみて違和感ある曲は自然とやらなくなるよね。

──それがサニーデイらしさ？

曽我部　なのかな。あんまりそこを意識して作ってるわけではないんですけど。

田中　ライブのリハでスタジオ入ってるときとかに、曽我部が「ちょっとだけ新曲合わさして」みたいな感じで曲持ってきて、3人でやってみるんですよ。何小節か弾いてみてやめるやつもあるし、ワンコーラスやってみて、なんとなく感じるものがあって残る曲もあるしっていう。

最初のテイクにすごく大事な何かがある

──サニーデイの楽曲制作って、いつもそんなふうにスタジオで「ちょっと合わせてみようよ」みたいな感じなんですか？

丸山　昔からそうですね。アルバムを作るためのリハとか練習とか、そういうの一度もやったことない。

──まずプリプロでアレンジを練って、各々が練習してレコーディングに集まるといったやり方が普通なのかと思うんですけど。

曽我部　一回もやったことないよね。

──じゃあベースラインなんかもその場で考えつつ？

田中　そうですね。

──曽我部さんはデモテープを作ったりはしないんですか？

曽我部　弾き語りのデモみたいのは作るときもあるけど、今回はなかったかな。例えば「愛し合い 感じ合い 眠り合う」っていう曲は俺が歌うのを2人がレコーディングスタジオで初めて聴いて、「じゃあやってみようか」って言って、テープ回しながら10回くらい演奏してみるわけ。

丸山　けっこうやったよね。

曽我部　で、どんどん小慣れてきてうまくなっていくんだけど、聴いてみたら最初のテイクがやっぱ一番雰囲気あるんだよ。

──じゃあアルバムに入ってるのは……。

曽我部　うん、その最初のテイク。まだうろ覚えだし、たどたどしいんだけど、でもそこにすごく大事な何かがある。だからプリプロとかデモ作りとか練習とかっていうのは時間の無駄じゃんって思うんだよね。

丸山　っていうか、今でもあるのかな？ プリプロやって曲を練習して、みたいなやり方。

曽我部　えっ、いやそれはもう……皆さんそれをやってらっしゃいますよ（笑）。

丸山　ホントに？ すごいねそれ！

曽我部　当たり前です。皆さんそうです。

田中　「タイアップ決まったからサビ変えてください」みたいこともあるよ。

丸山　へー！ そういう経験まったくない。

──あはは（笑）。

曽我部　まあ俺らはそういう経験をしないでここまできたわけで、40歳をすぎても、24歳くらいのときと思ってることはあんまり変わってない。それはすごくラッキーなことだっていうのは思うよね。