音楽ナタリー Power Push - スキマスイッチ

カップリングという名の「実験」集大成

シングルという形態の重要性

──さらに初回生産限定盤のボーナスCDには、インスト楽曲15曲を収録。スキマスイッチのようなポップスユニットがこれだけのインスト曲を制作しているのは、非常に珍しいと思います。

大橋 そうですよね(笑)。ただ、もともと僕は「歌詞なんていらない」というタイプだったので……。

常田 「ラララーでいいじゃん」っていうね。

大橋 例えば洋楽を聴くときは、英語をすべて理解していなくても「いい曲だな」と思うじゃないですか。それはメロディのよさ、サウンド感だと思うんですよね。もともとメロディを作るということ自体が好きだったし。だから歌が入ってなくても、メロディラインがあれば自分たちの色を出せるという気持ちもあるんですよ。

──常田さんは映画の劇伴なども手がけていますが、インスト曲を作ってきた経験も生かされているのでは?

常田真太郎(Piano, Cho, Organ)

常田 そうですね。劇伴は以前からやりたいと思っていたんですけど、どうしたらいいかわからない部分も多くて。インストで得られた感覚は、確かに大きかったと思います。

──このアルバムを聴くと、カップリング、インスト曲を含めて、シングルという形態がスキマスイッチにとって重要だったことが改めてわかります。

常田 そうですね。最初にも言いましたけど、カップリングは実験的な意味合いが強かったし、そのときにやりたいと思った衝動をできるだけ早いレスポンスで表現できる場所なので。CDシングルという形態も好きなんですよね。

アルバムを作らなくても、ツアーやっていいですか?

──4月22日にスタートする全国ツアー「スキマスイッチTOUR2016 “POPMAN'S CARNIVAL”supported by MINISTOP」についても聞かせてください。新作アルバムを伴わないツアーは今回が初めてですよね?

大橋 はい。ライブのMCでは冗談半分で「オリジナルアルバムを作らなくても、ツアーやっていいですか?」って言って盛り上がったりしてたんですけど、それは本当に思っていたことで。「アルバムを作らないとツアーをやらない」も「ツアーをやりたいけどアルバムがないからできない」も、どっちもあまりよくないと思うんですよ。1回、そういうテーマのツアーを立ち上げてしまえばいいんじゃないかなって。今は新しいアルバムを作るっていう感じでもないので……。

常田 そうだね。

大橋卓弥(Vo, G, Harmonica)

大橋 「スキマスイッチ」というアルバムを作ったときに、すべてを吐き出した感覚もあったし。まあ、そうは言っていられない事情もあるんですけど(笑)、それはともかくとして、ツアーは毎年やりたいと思っているので。今回はオリジナルアルバムを引っさげないツアーだから、逆に「行きやすい」というお客さんも多いと思うんですよね。アルバムのツアーとなると、新曲が多くなるじゃないですか。でも今回はこれまでのすべての曲を対象にしたツアーなので。要は自分たちがやりたい曲を選んで演奏するということなんですけどね。

──ヒット曲もレアな楽曲も含めて、今やりたい曲をやるっていう。

常田 そう、すべて横一列です。

大橋 どの曲を選んでもいいわけですからね。「全力少年」を1曲目にやってもいいし、セットリストに入れなくてもいいし。

常田 ツアー中にセットリストが変わっていくこともあると思いますね。

大橋 最初は「『奏(かなで)』はやらないでいいか」と思っていても、途中で「やったほうがライブが締まるな」と思えば、セットリストに加えるだろうし。

──セットリストは当然、2人で決めるんですよね?

大橋 はい。今はやりたい曲をお互いにリストアップしているところですね。

常田 「こういうふうにアレンジしたらいいと思うんだけど」というアイデアも含めて。プレゼンですよね。

大橋 まだどういう内容になるかわからないですけど、実際に会場に来てもらえれば「なるほど、こういうことか」って思ってもらえるんじゃないかな。このスタイルのツアーは、できればこの先も続けていきたいんですよね。「“CARNVAL”だったら行ってみようかな」と思ってもらえたらいいな、と。

──アルバムツアーとは違う、定番のツアーにしていきたいと。ライブのスタイルが増えるのはいいことですよね。

大橋 うん、そう思います。STARDUST REVUEの(根本)要さんなんて「俺はとにかくツアーがやりたいからな」って言うんですよ。そういうふうに言い切れるのって、ホントにカッコいいと思うんですよね。すごくミュージシャンらしいし、僕らもそうありたいなって思いますね。

スキマスイッチTOUR2016 "POPMAN'S CARNIVAL"
supported by MINISTOP

  • 2016年4月22日(金)千葉県 市川市文化会館
  • 2016年5月1日(日)福島県 いわき芸術文化交流館アリオス
  • 2016年5月7日(土)岡山県 倉敷市民会館
  • 2016年5月8日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2016年5月10日(火)愛知県 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
  • 2016年5月11日(水)愛知県 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
  • 2016年5月17日(火)新潟県 新潟県民会館
  • 2016年5月19日(木)石川県 本多の森ホール
  • 2016年5月24日(火)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年5月25日(水)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年5月31日(火)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2016年6月1日(水)北海道 まなみーる 岩見沢市民会館
  • 2016年6月9日(木)愛知県 緑文化小劇場
  • 2016年6月11日(土)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2016年6月15日(水)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
  • 2016年6月16日(木)香川県 サンポートホール高松
  • 2016年6月18日(土)栃木県 日光市今市文化会館
  • 2016年6月30日(木)埼玉県 大宮ソニックシティ
  • 2016年7月6日(水)兵庫県 神戸国際会館
  • 2016年7月8日(金)福岡県 福岡サンパレス
  • 2016年7月9日(土)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
  • 2016年7月11日(月)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
  • 2016年7月12日(火)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
ベストアルバム「POPMAN'S ANOTHER WORLD」 / 2016年4月13日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [Blu-spec CD2 3枚組] 4104円 / AUCL-30034~6
通常盤 [CD2枚組] 3564円 / AUCL-204~5
収録曲
DISC 1
  1. 夕凪
  2. スフィアの羽根
  3. ためいき
  4. 電話キ
  5. 石コロDays
  6. Aアングル
  7. 弦楽四重奏のための「ドーシタトースター」
  1. 僕の話-プロトタイプ-
  2. 快楽のソファー(仮)2014 ver.
  3. 夏のコスモナウト
  4. サウンドオブ
  5. 雨は止まない
  6. 小さな手
DISC 2
  1. ハナツ
  2. 1017小節のラブソング
  3. 僕の青い自転車
  4. 青春騎士
  5. さみしくとも明日を待つ
  6. 猫になれ
  1. 君曜日
  2. Bアングル
  3. トラベラーズ・ハイ
  4. 回想目盛
  5. またね。(betsu-oke ver.)

<ボーナストラック>

  1. 壊れかけのサイボーグ
  2. フレ!フレ!
DISC 3 ※初回限定盤のみ付属
  1. 蕾のテーマ
  2. 天白川を行く
  3. 追伸
  4. 花曇りの午後
  5. 安曇野にて
  6. 若葉
  7. ピーカンブギ
  8. 夕間暮れ
  1. ノウムの調べ
  2. Human relations
  3. ガレポンク
  4. フォノグラフ
  5. 10th
  6. 10th-typeII-
  7. ミッドナイト・グッドモーニン!!のテーマ
スキマスイッチ
スキマスイッチ

大橋卓弥(Vo, G, Harmonica)、常田真太郎(Piano, Cho, Organ)のソングライター2人からなるユニット。2003年7月にシングル「view」でデビューして以降、「奏(かなで)」「全力少年」 などヒット曲を次々と生み出す。2013年7月にデビュー10周年を迎え、同年8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」を発表。2016年4月には「POPMAN'S WORLD」と対をなすアナザーベストアルバム「POPMAN'S ANOTHER WORLD」をリリースした。