ナタリー PowerPush - スキマスイッチ

ポピュラリティとマニアック志向のスキマ

デビュー10周年を迎えたスキマスイッチが初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」をリリースした。「奏(かなで)」「全力少年」「ボクノート」「ガラナ」「スフィアの羽根」「藍」「ユリーカ」などの代表曲を網羅した本作には、デビューから10年間の彼らの軌跡が描き込まれている。

AOR、ソフトロック、ファンク、ソウルミュージックなどのマニアックな要素をふんだんに取り入れつつ、あくまでも“誰もが楽しめるポップミュージック”を志向してきたスキマスイッチ。今回のインタビューでは、2人の制作スタイルと音楽観に迫った。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 佐藤類

 
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「過去の作品にどれくらい力があるか?」を今ここで判断されるプレッシャー

左から常田真太郎、大橋卓弥。

──「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」は、まさにスキマスイッチの10年間を総括するベストアルバムですね。

大橋卓弥 珍しくドキドキしてますね、今回は。

常田真太郎 ちょっとプレッシャーがあるんですよ。スタッフの方もいろいろな企画を準備してくれたし「これでダメだったらどうしよう?」っていう。

大橋 そういう不安ってあんまりないんですけど、今回のベストは………。

常田 たぶん、いろんなことがわかるよね。

大橋卓弥

大橋 そうなんだよね。自分たちがどういうふうに音楽ファン、世の中の人から見られてるか?というのが浮き彫りになる気がしていて。枚数、セールスがすべてではないんですけど………。

常田 去年の「DOUBLES BEST」(2012年8月発売のセルフカバーベスト)は「よかった」って言ってもらえましたからね。それを受けて、今年はどうなるかっていう。

──「DOUBLES BEST」は、スキマスイッチの音楽性の高さを改めて示したアルバムでしたからね。今回のオールタイムベストは「この10年間、何を残してきたか?」が問われるわけで。

常田 本当にそうですよ(笑)。10年かけてこのアルバムを作ってきたとも言えるくらい。

大橋 「DOUBLES BEST」のときはレコーディングしましたからね。今回はリマスタリングはやりましたけど、録音という作業はやってない。「過去の作品にどれくらい力があるか?」っていうのを、今ここで判断されるのがプレッシャーなんだと思います。

「バーコードがあったらプロっぽくない?」

──スキマスイッチはデビュー曲「view」の時点で、しっかりしたクオリティの楽曲を作っていたと思いますけどね。当初から「質の高いポップスを提供する」という意識はありました?

左から常田真太郎、大橋卓弥。

常田 質の高さは特に気にしてなかったと思います。それよりも“プロっぽさ”を出したいと思っていて。

大橋 そうだね。

常田 インディーズの頃もそうだし、デビューしてからもそうだったんですけど「なかなかプロっぽさが出ないな」って思ってたんですよね。そこでいろいろ考えて、試して……。

──当時、2人がイメージしていた“プロっぽさ”ってなんだったんでしょう?

常田 音の説得力ということでしょうね。そこにはいろんな要素が重なってると思うんですよ。演奏力だったり、録音の状態だったり……。そのあたりのあがきは、曲の中に出てるかもしれないですね。

大橋 音の抜けとか、そういう単純なことかもしれないしね。デビュー前後の頃は宅録アーティストをよく聴いてたんですよ。例えばSpanovaとか「宅録なのになんでこんなにプロっぽい音なんだ?」って驚いたり。

常田 「絶対家でやってないよ」とかね(笑)。

大橋 「すごいスタジオで録ってるはず」って(笑)。僕らも一生懸命アレンジして作ってたんだけど、やっぱりインディーズっぽく聞こえてしまうというか。とにかくそこを抜け出したかったんですよね。自分たちで作った自主制作のCDにバーコードを付けてたのも、そういうことなんですよ。「バーコードがあったらプロっぽくない?」って。

常田 もちろんそのバーコードは使えないんですけどね。付けてるだけなんで(笑)。

常田真太郎

──手っ取り早くプロっぽい音になるために、プロデューサーを付けるという方法もありますけどね。

常田 だから企画書を書いたんですよ。プロデューサーの名前を挙げさせてもらって「この人に頼めばこうなる」って。でも付けてもらえなかったんです。

──周りのスタッフが「この2人に全部やらせたほうが面白くなる」という判断をした、ということじゃないですか?

常田 そう言うと聞こえがいいですけど、「甘えんじゃないよ。もっと努力しろよ」ってことだった気もしますね。2人で全部やることのイビツさが面白いと思ったのかもしれないけど、そんなことは自信にならないですから。ずっと「これ、ちゃんとできてるのかな?」ということだけで精一杯というか。

ベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」 / 2013年8月21日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤A [Blu-spec CD 2枚組+DVD] / 4410円 / AUCL-30005~7
初回限定盤B [Blu-spec CD 2枚組+CD] / 3990円 / AUCL-30008~10
通常盤 [CD2枚組] / 3465円 / AUCL-136~7
CD収録曲(全仕様共通)
DISC1
  1. view
  2. 君の話
  3. 奏(かなで)
  4. ふれて未来を
  5. 冬の口笛
  6. 全力少年
  7. 雨待ち風
  8. キレイだ
  9. 飲みに来ないか
  10. ボクノート
  11. ガラナ
  12. スフィアの羽根
  13. アカツキの詩
  14. 惑星タイマー
  15. マリンスノウ
DISC2
  1. 虹のレシピ
  2. ゴールデンタイムラバー
  3. 8ミリメートル
  4. アイスクリーム シンドローム
  5. さいごのひ
  6. 晴ときどき曇
  7. 石コロDays
  8. センチメンタル ホームタウン
  9. ラストシーン
  10. ユリーカ
  11. スカーレット
  12. トラベラーズ・ハイ
  13. Hello Especially
初回限定盤A DVD収録内容
  • スキマスイッチTOKU-TEN AWARDS 2013
  • 奏(かなで)(メイキング)(レコーディング編)-Director's Cut-
初回限定盤B 特典CD収録内容
  1. 時々
  2. さみしくとも明日を待つ -Demo-
  3. 小さな夜旅
  4. 蜻蛉草
  5. 台無し
  6. 夏雲ノイズ
スキマスイッチ

スキマスイッチ

大橋卓弥(Vo, G)、常田真太郎(Key)のソングライター2人からなるポップユニット。大橋が自分の曲のアレンジを常田に依頼したことをきっかけに1999年に結成された。2003年7月にシングル「view」でデビューしてからは「オフィスオーガスタ」所属の新人として話題を集め、フックの効いたメロディと心地よいアレンジで人気沸騰。2ndシングル「奏(かなで)」がロングヒットを記録し、1stアルバム「夏雲ノイズ」はオリコン週間チャート2位を獲得した。2005年には5thシングル「全力少年」で「第56回NHK紅白歌合戦」初出場。翌2006年には7thシングル「ボクノート」が「第48回日本レコード大賞」金賞(大賞ノミネート作品)に選出された。デビュー10年目を迎えた2013年には6月に18thシングル「スカーレット」、7月に19thシングル「Hello Especially」を立て続けに発表。8月21日に初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」をリリースした。さらに9月11日には、2012年10月より2013年3月まで行われた初の全都道府県2人ツアーからメンバー自らセレクトした音源を収めたライブアルバム「スキマスイッチTOUR 2012-2013 "DOUBLES ALL JAPAN"」の発売が決定。また10月からはベストアルバムを携えた全国アリーナツアー「スキマスイッチ10th Anniversary ArenaTour 2013 "POPMAN’S WORLD"」が開催される。