音楽ナタリー PowerPush - SHISHAMO

真夏の大阪城野音に向けて

“背伸び”で表現力が増した「熱帯夜」

──8月5日にはニューシングル「熱帯夜」がリリースされますね。表題曲の「熱帯夜」は今までのSHISHAMOにはないムーディな感じが印象的な曲でした。

宮崎 シングルって難しいんですよね。私たちの夏の曲っていうと、去年リリースした「君と夏フェス」だと思うんです。だから今回は「君と夏フェス」とは違う夏らしい曲を作ろうと思ったらこんな感じの曲ができて。

吉川美冴貴(Dr)

吉川 シングルを夏頃にリリースすることは先に決まっていたんですけど、曲がまだできてなかったんですよ。今までSHISHAMOはシングルを2枚出しているんですけど、どちらもわかりやすいアッパーなものが多かったので「熱帯夜」を聴かされたときには驚きました。

──確かにそうですよね。これまで発表された曲にはこういう感じの曲はないですし。去年のシングル「君と夏フェス」はピーカンのイメージ、今年の「熱帯夜」はその名の通りなんですけど蒸し暑い深夜の光景が浮かびます。

宮崎 私、ジトッと重くなるようなあの熱帯夜の感じがすごく好きなんですよ。あの空気感をそのまま曲にしたくて作ったのが「熱帯夜」でした。

──今までにないくらいけだるい歌い方も、すごくマッチしていますよね。

宮崎 この歌い方はすごく苦戦したんですよ。力を抜いて歌うのってすごく難しくて。でもつまらない歌にするのはイヤだったし、納得できるまで歌いました。

──リズム隊もすごく苦戦したんじゃないかなと思うんですが。

吉川 そうですね。今まで触れてこなかったタイプの音楽だったので、すごく難しくて。今までは演奏がうまくできないと、ネガティブな気持ちになっていたんですけど、今回はできないことをできることにしていく作業に前向きに取り組むことができたんですよね。この曲でドラムを叩いたことで自分の引き出しが増えました。

──松岡さんはいかがでしたか?

松岡彩(B)

松岡 私もこういう感じの曲を演奏するのは初めてだったので、最初はどう弾いたらいいのか全然わからなくて。でも弾き方をいろいろ考えていくうちに力の抜き方がわかってきたんです。力の抜き方がわかってからは、ほかの曲にもそれを生かせるようになって、演奏の幅が広がったなと思っています。

宮崎 松岡が言うとおり、各々が力の抜き方がわかったっていうのはバンドにとってすごく大きなものを得たように思っていて。それはドラム、ベース、ギター、あと歌も。バンド全体で表現力が増したと思っています。

──3人がプレイヤーとして成長した曲ということですか?

宮崎 うーん、成長というより、背伸びという表現がしっくり来ますね

──楽曲の大人っぽい雰囲気も含めてその表現はしっくり来ます。

宮崎 はい。ちょっと背伸びして足がつっちゃったな、みたいな感じです(笑)。

「生きるガール」は誰かの応援ソング

──カップリングの「生きるガール」はすでにツアーでも披露されているそうですね。歌ってる内容としては、恋人同士の夏を描いた「熱帯夜」の対になるような失恋ソング。「きっぱり振られたし」というわかりやすいフレーズまで入っています。この2曲が1枚のシングルにパッケージされているのには何か意図があるんですか?

宮崎朝子(G, Vo)

宮崎 全然そういう見せ方にするつもりはなかったんですよ。でも結果的にそうなったみたいで、ほかの人にも言われましたね。

──そうなんですね。宮崎さんにとって「生きるガール」はどんな曲なんでしょう?

宮崎 一言で言うなら応援ソングですね。私も聴いたら「がんばろう」って思えるような曲がいっぱいあるんですけど、「生きるガール」は誰かのそういうものになったらいいなと思って作りました。

──気持ちを込めて曲を演奏するようになった今、SHISHAMOが歌う応援ソングにはすごくパワーがある気がします。

宮崎 そうなったらうれしいですね。

武道館まで一直線

──動画シリーズ「about SHISHAMO」によると、松岡さんとの出会いは昨年の「RUSH BALL」なので、この夏で3人が出会ってから1年が経ちます(参照:about SHISHAMO 5 奇跡の出会い編)。SHISHAMOは今年も「RUSH BALL」に出演するので、前回はイベントスタッフとして裏方にいた松岡さんが今度は表に立つことになりますね。1年経ってお互いの印象は何か変わりましたか?

宮崎 うーん……。

吉川 松岡って初めて会ったときから物怖じしない子だったので、「はじめまして」みたいな初々しい期間がすごく短くて記憶にないんですよ(笑)。あと、松岡が加入することが決まってからすぐ10時間びっちりスタジオに入ったりして、距離を縮めざるを得ない生活だったし。

宮崎 でもそれはお客さんも同じように感じてると思うんですよ。見慣れたとかじゃなくて、松岡はSHISHAMOでベースを持っていることに最初から違和感がなかった。今振り返ってみても「あ、そういえば去年の夏に加入したんだよな」みたいな感じです。

松岡 逆にまだ1年も経ってないのかって思いますね。最初から一緒にいる時間が長くて、本当に濃厚な時間を過ごしてきましたね。

宮崎 でもなんだかんだ3人そろって「RUSH BALL」に出れるのはとにかくうれしいですね。

松岡 凱旋ですね。ふふふ(笑)。

──アルバム、シングルのリリースもあり、ツアーも2本こなして。そして年が明けたら日本武道館での単独公演も決まってますね。

宮崎 そうですね。この調子だと、武道館まで一直線に行けそうな気がしています。私たちここまでなんとか自力でやってきたので、このまま突っ走って行きたいです。

SHISHAMO
SHISHAMO NO YAON!!!
  • 2015年6月27日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
    OPEN 17:15 / START 18:00
  • 2015年7月25日(土)大阪府 大阪城音楽堂
    OPEN 16:45 / START 17:30
SHISHAMO NO FREE NO YAON!!!
  • 2015年7月26日(日)大阪府 大阪城音楽堂
    OPEN 16:00 / START 17:00
ニューシングル「熱帯夜」2015年8月5日発売 / 1000円 / GOOD CREATORS RECORDS / XQFQ-1413
「熱帯夜」
収録曲
  1. 熱帯夜
  2. 生きるガール
SHISHAMO ワンマンツアー2015秋「熱帯夜はまだ続くけど、ガールは今日も笑わなきゃいけない」
  • 2015年10月5日(月)千葉県 千葉LOOK
  • 2015年10月7日(水)岐阜県 岐阜club-G
  • 2015年10月9日(金)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2015年10月10日(土)愛媛県 Wstudio RED
  • 2015年10月12日(月・祝)富山県 MAIRO
  • 2015年10月16日(金)群馬県 高崎club FLEEZ
  • 2015年10月24日(土)秋田県 Club SWINDLE
  • 2015年10月25日(日)青森県 青森Quarter
  • 2015年10月27日(火)宮城県 Rensa
  • 2015年10月29日(木)東京都 Zepp Tokyo
  • 2015年11月14日(土)大阪府 Zepp Namba
  • 2015年11月15日(日)大阪府 Zepp Namba
  • 2015年11月23日(月・祝)北海道 Zepp Sapporo
  • 2015年11月28日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2015年11月29日(日)愛知県 Zepp Nagoya
SHISHAMO(シシャモ)

SHISHAMO宮崎朝子(G, Vo)、松岡彩(B)、吉川美冴貴(Dr)からなるロックバンド。神奈川・川崎総合科学高等学校デザイン科 軽音楽部にて結成し、3人組バンド「柳葉魚(ししゃも)」として活動を開始する。高校3年生のときに顧問のすすめで「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2012」に応募し、優秀賞とベストボーカル賞を受賞。これをきっかけにSHISHAMOに改名した。2013年1月に高校時代の楽曲をまとめたアルバム「卒業制作」をリリース。同作をひっさげ全国11カ所を巡る対バンツアー「卒業旅行」を実施した。同年11月にデビューアルバム「SHISHAMO」を発表。2014年には初のワンマンツアー「彼女ができたバンドマンに恋する休日」を開催し、追加公演を含む全10公演をソールドアウトさせる。7月にシングル「君と夏フェス」を発表し、9月に「about SHISHAMO 大事なお知らせ編」でベースの交代を告知。現体制での初シングル「量産型彼氏」を10月に発売した。そして2015年3月にアルバム「SHISHAMO 2」をリリース。4月から6月にかけて全国ツアー「さよなら、僕のともだちと花の季節」を開催し、6月に東京・日比谷野外大音楽堂、7月に大阪・大阪城音楽堂でワンマンライブを行う。同年8月にシングル「熱帯夜」を発売。2016年1月には東京・日本武道館での単独公演も決定している。