今だからこそ、俺たちだからこそこういう歌を出さなあかん

──先行シングルとしてリリースされた「Stealth」はかなりメッセージ色の強い曲ですね。こういう詞にしようと思ったのはなぜ？

浅井　なんでか知らんけどそういうふうになったとしか……昔から言っとるでしょう？（笑）

──うん、言っとるけど、やっぱり……。

浅井　もういっぺん聞いてみた？

──何度でも聞きますよ。

福士　あはははは！（笑）

浅井　（笑）。ロックバンドって、時代を映す鏡じゃないとダメだと大貫（憲章）さんが言っとったけどさ、そういうことなんじゃないかな。恋愛のことを歌うのもいいんだけど……バンドは鋭くないとね、やっぱり。みんながみんな恋愛ソングとか“がんばれソング”とかさ、そんなことやっとってもアホみたいでしょ。もちろん「政治的な意味合いも入ってくるから、やめといたほうがいいんじゃないの」という意見もあったよ、バンドの中で。だけど俺が説明したらみんな納得してくれた。「今だからこそ、俺たちだからこそこういう歌を出さなあかん」って。

──昔からときどき、こういうメッセージ性のある曲は歌ってますね。

浅井　うん、たまにこういう歌は出てきてたじゃん。だからまた出てきた。本当はそういう政治的なものとは関係ないトコで存在していたいんだけどね。でもなんか、自然に出てくるときは出てくるんだよね。

──それは世の中の状況とか時代性が関係してくる。

浅井　もちろん。

──福士さんは「Stealth」の歌詞をどう受け止めましたか。

福士　「Stealth」をシングルにするときに、もう一度歌詞の内容をベンジーに確認したんです。そうしたら、いろんなことをリスナーに問いかけてるんだけど、ベンジーが一番言いたいことは最後の「あぁ奇麗な海を見ながら生きていたいだけ」という一節だと聞いて。そこで納得できた。際どいことも言ってそうだけど、考えてもらうということを提起してる。今ってそういうことも必要だと思うから、考えてもらうきっかけになったほうがいいし、そういう話になったらみんな思ってることを言えばいい、ってことになって。いろんな考えの人がいてこそバンドだし。みんな真剣に考えてるから。

ヒット曲を作りたい

──なるほど。バンドはとてもいい状態にあるということですね。さきほど浅井さんから50歳になって残りの人生を意識するようになったというお話がありましたが、残りの人生で音楽家としてやるべきことはなんだと思いますか。

浅井　ヒット曲を作りたいね。

──あ、そういう思いはまだありますか。

浅井　全然あるよ。まだ大ヒットしたことないんでね、1回も。

──そうですか？

浅井　自分の中で納得するものにはまだ達してないんで。

──浅井さんの感覚ではどれぐらいで「大ヒット」って言えるんですか？

浅井　グラミー賞獲るとか。

──おおおお。

福士　ふふふ（笑）。

──世界的に認められたいということですか。

浅井　そうだね。

──そのためにはどんなことをすればいいと思いますか。

浅井　カッコいい曲を作るしかないがや。「COWBOY」はカッコいい曲だと思うんだけどね。

──これでグラミー賞を狙う？

浅井　獲りたいですね。

──なるほど。

浅井　でもそんなこと書かんといてよ、おこがましいからさ（笑）。