「JESSEって同じことを歌うよね？」は褒め言葉

──このアルバムの曲が総じて歌っているテーマとは、さまざまな経験を積んだ今のJESSEだからこそ唱えることのできる“折れない心”なのかなと感じました。

確か「ALTERNA」（2007年リリースの5thアルバム）を出した頃、誰かに「JESSEってけっこう同じことを歌うよね？」って言われたことがあった。それは俺にとっての褒め言葉で、なぜかと言うと、例えば2006年に「heiwa」という歌を書いて歌ってきたけど、世の中は平和になるどころかいまだに平和ボケが治っていないままだし、今一番有効な言葉が散りばめられていると思うから。だから今回のアルバムに入っている「Where I belong」は、昔の俺と今の俺の思いが交差する曲になっている。

──そうですね。

たぶん俺にはやっぱり、まだあきらめきれていない思いがたくさんあるんですよ。悔しさを感じることが人を成長させると俺は信じていて。悔しさがなくなった瞬間に人は成長しなくなる。そういう意味では20年前と何にも変わっていないのかもしれない。でも昔の自分の歌を聴いても、声や言い回し方はガキだけど「いいこと言ってんじゃん？」って自分で思うし、「よくぞ言った！」と思えるんですよ。確かにアルバムというのは出そうと思ってリリースしているんだけど、リリースできる環境に恵まれたというのは、つまりどこかでRIZEの歌が必要とされているという表れでもあるんじゃないかと思う。だからアルバムの曲も、みんなが行き詰まっているときに、政治やどこかの大統領が腐っているときに、RIZEなりの、政治に対する、国や自分らの命に対するメッセージを吐いていこうと思って歌いました。ただ俺のリリックは基本的に“What do you think ?”と問いかけるスタイルなので、それを踏まえて自分の答えを出してほしいですね。

──アルバムの終盤に収められた「～PROGRESS～FIRE BALL」では、横浜出身のFIRE BALLがRIZEに向けてフリースタイルをカマしてくれていますね。

彼らはハマの大先輩です。俺らのライブをずっと観てくれていて、お互いジェラスもリスペクトもさらけ出し合ってきた。そんなお互いにずっと続けてきたこと、辞めなかったことへの思いを、あのフリースタイルがすべて物語ってくれたと思っています。

何周か回って、あっくんと小学校ぶりぐらいに仲がいい

──秋からは20周年ツアーの後半戦となる「RIZE TOUR 2017 "RIZE IS BACK" ［秋季爆雷］」が始まって、12月20日には初の日本武道館公演が控えています（参照：「日の丸の下でやるのが夢だった」結成20周年RIZEが初武道館）。

今回は言霊じゃないけど、あえて“RIZE IS BACK”と言葉に出すことで道しるべを作ってみた。だから「帰ってきたよね」とお互いに言い合っていますし、アルバムも作ろう作ろうって思って作ったというよりも、7年間貯めてきた曲で自然とできあがったような気分なんです。あと何が楽しいかって、小学生の頃から一緒に遊んでいた俺とあっくんが、何周か回って今また小学校ぶりぐらいに仲がいいんですよ（笑）。

──それを言えるのは最高ですね。

うん。俺はいつも無茶して迷惑ばかりかけるのに、あっくんはいつも「それがJESSEだから」と認めてくれていた。互いにまったく性格が違うのに互いを理解し合っているんです。KenKenとも腹を割って話せる間柄だし、Rioも必ず駆け付けてくれる。そんないいときも悪いときも越えて、またかなりいい感じになっている今のRIZEが、どうみんなに受け止められるのかが楽しみです。武道館にはRIZER（RIZEファンの呼称）だけじゃなく、ほかのロックが好きなヤツらにも、ヒップホップが好きなヤツらにも、アルバムを聴いてぜひ遊びに来てほしい。そういういろんなヤツらが唯一集まれるバンドのライブがRIZEになる。それが俺にとって、RIZEの1つの理想形なので。