“Rihwa”という筋を通す

──Rihwaさんのさまざまな音楽的側面が凝縮された、濃厚な1stアルバムが完成しましたね。

ありがとうございます。この先もアルバムは作っていくと思うけど、そのときに「やっぱり1stは最高のモノにしたい」って思うくらいの作品にしたいとまずは思っていたので。出し惜しみは一切ないですね。あとメジャーデビュー以降、いつかアルバムを出したいという気持ちがずっとあって、今作にはそんな日々の中でできた楽曲が詰まっていて。アルバムのために急いで作ったわけじゃなく、日常の中で自然にできた曲たちって気がしてます。

──聴いた人はたぶん、まず今作の振り幅の広さに驚くと思うんですよね。私も、Rihwaさんからこんな音楽や声が出るんだ！と何度も思いましたから。

あ、それはうれしいです。今回は今までシングルで見せてこなかったRihwaらしさというものだったり、Rihwaのルーツが見えるものにしたいというところを軸に曲作りや選曲をしたので。私という1人の人間の中に、ジャンルにとらわれないこれだけの面があるんだってことを知ってほしいですね。

──そもそもRihwaさんは幼少期からいろんな音楽を聴いて育ったんですもんね。

そうなんですよ。だから私は音楽に対して「このジャンルは嫌」みたいな避け方はしたくないし、いいサウンドだなと思ったらなんでも聴くし。自分はこんな感じですっていうのを決めつけずに、いろんなことをやるのがRihwaっていうのをこのアルバムで表現しようと思いました。

──以前のインタビュー（参照：Rihwa「Last Love」インタビュー）では、それを“Rihwa”というジャンルで統一できたら……という話もありましたよね。

はい、そうですね。どの曲も歌ってるのは私自身だし、ジャンルがバラバラでも“Rihwa”という筋が一本通っていればいいのかなって。

知らない人に声をかけられて怖くてコンビニに逃げ込んだ

──収録曲を順に見ていくと、まず私がすごく共感したのが「Little Tokyo」。上京したての頃の気持ちがストレートに描かれていますね。

これを作ったのは約3年前で、ちょうど札幌と東京を行ったり来たりしてた時期。当時はウイークリーマンションに泊まってたんですが、その場所がなんと渋谷だったんです。で、人気のない道を歩いてたら知らない人に声をかけられて、怖くて近くのコンビニに逃げ込んで……。

──まさに「Little Tokyo」の1番の歌詞だ（笑）。

はい（笑）。そんなふうに私の実体験がけっこう含まれてますね。あと歌詞の中では当時の私みたいな女の子をシンデレラに例えていて。憧れの街にやってきて、いろいろ壁にぶつかったりするけど、いつかガラスの靴を脱いで自分の足で駆けていく。「東京なんて思ってたより全然ちっちゃいんだ」って言っていたい……みたいな。最初は怖くて背伸びもするかもしれないけど、最終的には前向きに、自分が輝ける場所へと踏み出していくって歌ですね。

──この曲を聴くと、当時の気持ちがよみがえったりしますか？

よみがえりますねー。もっと言うと、1曲目「CHANGE」、2曲目「Little Tokyo」、3曲目「モンスターのかくれんぼ」の流れがそうかも。自分の歴史をたどろうとかは全然思ってなくて、ただ聴き心地のよさを重視して曲順を考えたんですけど、あとから聴き返すといろいろ思うことがあるんですよね。「CHANGE」はあれこれ悩んでた10代を思い出すし、「Little Tokyo」と「モンスターのかくれんぼ」は東京で一生懸命がんばり始めた頃の自分というか。そういう流れに自然となっていたのは自分でもビックリでしたけど。