ナタリー PowerPush - Quick Japan100号記念企画「歴代表紙を飾ったアノ人と語るQuick Japan」

神聖かまってちゃんインタビュー

常に物語のあるバンド

──では、さっき、の子くんが「解散させたくなるときもある」って言ってましたけど、今までで一番の危機は?

mono いやあ、でも、初めてステージの上での子を殴ったときはショックでしたね。

の子 自分でやっておいて!(笑)

──殴ったほうも痛いんだぞ的な。

mono だって、仲間じゃないですか。それを殴ってしまうというのは、やっぱり、いい気持ちはしないですよね。まあ、その前にも配信で殴ったことありましたけど。

みさこ あはは!

mono だから、それを最後にこんなことは止めようっていう気になりましたね。

──だから、渋谷のWWW(2010年12月8日)では壁を殴って骨折しちゃったんですか?

mono まあ、そうですね。あれも話せないですけど、いろいろあったんですよ。の子が原因ではなくて、いろいろと。

──確かに、かまってちゃんはよくぞまあ、というぐらい、次から次へとトラブルが起きますよね。でも、そういうのってどういう気分なの? 「また、新たなミッションが……」みたいな?

ちばぎん ははは。そうですね。なんだろう、例えばすごい良いライブを何本も連続でやったりすると、そろそろ来るだろうな、とか(笑)。感覚的にわかるようにはなってきましたね。まあ、常に覚悟はしてます。

インタビュー風景

の子 良くも悪くも売名にはなるから!

──こら!

ちばぎん でも、それは本当にあるんですよね。騒動が終わった直後は「なんでこんなことになっちゃったんだよ」ってすごくへこむけど、時間を置いて見てみると、あれはあれで良かったのかもしれないなっていう。

mono なんだかんだで、神が誘導してくれることはあるから。

──まあ、バンドにとって物語があるのはいいことだからね。

の子 僕もそう思います!

──あれもこれも、あとで思い返したら青春みたいに思えると。

の子 思えます! 絶対思えます! 絶対思えます!

世界の終わりに音楽は通用しないんだな

──さて、90号と今日の間には3月11日の東日本大震災もありました。当日は混乱する様子をそのまま配信で流してましたよね。

みさこ あの日は、大亀あすかさんと「コタツから眺める世界地図」(アニメ「電波女と青春男」のテーマソングになったシングル「Os-宇宙人」のカップリング)をレコーディングするはずだったんですけど、うちらが録り終わったあとに地震が起きて。で、結局、大亀さんは来れなくって、延々と配信をし続けたっていう。

──あの日の配信を見返したら、結構、良いこと言ってるんですよ。ちばぎんくんの「世界が終わる様を配信するわ」とか。

ちばぎん 僕、そんなこと言いましたっけ!?

──あと、の子くんの「世界の終わりに音楽は通用しないんだな」とか。

mono それは名言だなあ。

ちばぎん 駐車場に避難して来た人たちに「皆、落ち着け! オレが歌ってやるから」って叫んで、スキャットマン・ジョンを歌うんだから、そりゃ、通用しないですよね(笑)。

みさこ 知らない人に怒鳴られたよね(笑)。

の子 でも、僕って外配信のときに毎回、知らない人に話しかけるんですけど、皆、頭おかしいなって思いますけどね。こっちのほうが正常なんじゃないかって。こんな頭のおかしい奴に話しかけられて、対応してくれるんだから、優しいなって。

──どういうこと?(笑)

の子 全員、おかしいってことですよ。

──ただ、あの配信のときはある種の興奮状態にあったと思うんだけど、それが冷めたあと、怖くならなかった?

ちばぎん そのときはレコーディングのために都内に泊まり込んでて。で、次の日、原発が爆発したじゃないですか。それでオレらパニックになっちゃって……。

みさこ でも、の子さんがPV撮るとか言い出して。

ちばぎん 大亀さんも来れないし、やることないんで、それに付き合ってたら、またリアルタイムで爆発したっていうニュースが入ってきた。これはいよいよマズいってことになって、「まだ撮る」って聞かないの子を引きずって車に乗せて。

mono あのときの僕らは酷い有様でしたよ。スタッフもシカトして、「やべえ、やべえ、帰るぞ帰るぞ」って。

──まあ、千葉のほうが原発に近いわけだけど。

ちばぎん そのときはよくわかってなくて、「とにかく、家に帰らないと」ってことしか考えられなくて。

インタビュー風景

みさこ それで、家に帰ったら部屋の中がめちゃくちゃで。ここまでなるのかってくらい全部の物が倒れてて、さらに漏電して電気がつかなくて。しばらく、人の家に居候してましたもん。

──千葉は揺れたもんね。

mono いま考えると、落ち着けって感じですけどね。被災地のほうがもっと大変な目に合ってるわけだし。

──でも、柏はかなり線量が高いですよね。

ちばぎん そうなんですよね。

──そういうのって気になる?

ちばぎん 気になりますよ。

みさこ 気になるんだけど……。

また表紙をください!

──今TSUTAYAでガイガーカウンター借りられるの知ってる?

ちばぎん そうなんですか!?

──「駅前TSUTAYAさんで / 僕はガイガーカウンターを借りた」……っていう時代になっちゃったんだなって。

ちばぎん そうですねえ……。借りてみようかな。

──ただ、今のところ、福島県と世田谷区でしか貸し出してないみたい。

ちばぎん 絶対、世田谷区より柏のほうが深刻だと思うんですけどね。

mono でも、借りたとしてもその数字、見たくないですよ。

──どういうこと?

インタビュー風景

mono 僕らはここに住んでるわけだから。

みさこ 今はいろいろ考えると引っ越せないし。

──うーん、の子くんは、今回の震災の惨状を知ったとき、どんなことを思いましたか?

の子 オレじゃなくて良かったなって。あとは、周りが不謹慎不謹慎っていう状況が気持ち悪いなあって。

──の子くんらしいね。では、震災は自分が作る曲に影響を与えたと思いますか?

の子 全くないです。全然、関係ないです。「僕は頑張るよっ」って曲も地震の前にできてたのに、照らし合わせて聴かれたりして。そうなるっていうのは発表前にわかってたんで、なんか出すのが嫌でしたね。まあ、PVはリアルタイムっていうことで、ニュースの映像を使ったりしましたけど。

──それは、配信と同じで目の前のものをネタにするだけだと。でも、どうあれ、「僕は頑張るよっ」の歌詞は感動的ですけどね。普遍的だからこそ、時事的でもある。

の子 狙ってると思われたくないんですよ。「みんな嘘だったんだぜー」とかああいうくだらないことやりたくないんですよ! あんなの、震災を利用してるだけですよ!

mono ん? 今、遠回しにDISったね?

ちばぎん めちゃくちゃ直接的でしょ!

──でも、さっきは売名行為の大切さについて話してたじゃない。

の子 そうでしたね(笑)。いや、単なる嫉妬です。オレより目立ってる奴は誰であれ腹が立つんです! というわけで、また表紙をください!

──じゃあ、101号で(笑)。しかし、かまってちゃんの現状も、日本の現状も、あとで振り返ればいい経験になっているといいですね。

の子 なりますよ!

神聖かまってちゃん「QJ100号記念」コメント

「クイック・ジャパン90」 / 神聖かまってちゃん 国民的ロックバンド宣言

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神聖かまってちゃん×B.B.クィーンズ
「夢のENDは鳴り止まないっ」ツアー

※全公演共通

OPEN 18:00 / START 19:00

出演者 神聖かまってちゃん / B.B.クィーンズ

チケット 4,800円
<ファミリーチケット>2人分10,500円・3人分15,750円(2Fファミリー席 / 一部区画)

2012年3月27日(火)
大阪府 Zepp Osaka
<発売プレイガイド>
チケットぴあ(Pコード:159-733)
ローソンチケット(Lコード:57870)
イープラス
<お問い合わせ>
サウンドクリエーター / 06-3657-4400
2012年3月28日(水)
愛知県 Zepp Nagoya
<発売プレイガイド>
チケットぴあ(Pコード:160-360)
ローソンチケット(Lコード:47614)
イープラス
<お問い合わせ>
SUNDAY FOLK PROMOTION / 052-320-9100
2012年4月10日(火)
東京都 Zepp Tokyo
<発売プレイガイド>
チケットぴあ(Pコード:160-638)
ローソンチケット(Lコード:77347)
イープラス
<お問い合わせ>
HOT STUFF PROMOTION / 03-5720-9999

神聖かまってちゃん

神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。 

2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリースした。 

2011年4月にはバンド史上最大規模の会場となる国技館ワンマンライブを行う予定だったが、東日本大震災の影響により中止に。これを受け、4月から6月にかけて全国8都市を回るフリーライブツアーを敢行した。同年8月31日に4thアルバム「8月32日へ」を発表。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。