「Baby BIAS」〜「シーラカンス イズ アンドロイド」〜「Now is the time!」〜「Electric Surfin' Go Go」〜「KARATE HOUSE」
で、その流れで「Baby BIAS」を作るんです。久々にシングルで出せるって言われたのもうれしかったし。音もいいのが録れてるし、これでいけるよ!って思ったけど。結果ぜんぜん売れなかったんですよ。一番売れなくて。それでね、また落ち込んじゃって。でもまぁくじけずもうちょっとがんばろうと。ファンからは評判よかったんですよ。じゃあ目の前のファンをほんと大事にって思って、もっとファンが楽しめるような、一緒に手をあげて歌える曲を作ろうって思って、「シーラカンス(イズ アンドロイド)」って曲作って。で、やっぱそれもぜんぜん売れなくて(苦笑)。でも、ライブではとってもいい立ち位置になってきたっていうのはわかったんですね。それでじゃあ次に出すアルバムはヤノが入って、いわば新生POLYSICSのデビュー。そこで、POLYSICSはこういうバンドなんです、みたいなものをちゃんと出したかったんですね。自分の好きなサウンドってどんなんだっていうのを、一からちゃんと作り込んでいって。タイトだけどファットな、ディーヴォの3rdの質感だったり、音数もそんなに多くなくていいし、ギターもそんなに歪んでなくていい。歪んでない分、前に出せるわけだし。そういうニューウェイヴが自分は好きだし。それを今の音でちゃんとやれば、カッコいいものができるんじゃねえかっていう思いで「Now is the time!」を作ったんです。そこで初めて売上枚数が上がるんですよね。ずっと右肩下がりだったのが。ライブの動員も増えて。現状がそんなに大きく変わったわけじゃないけど、ちょっと上にいけたっていうのは嬉しくて。中山さん(キューン社長。POLYSICSの元A&R)に「奇跡だ」って言われて。
で、アメリカツアーもUKも、もちろん日本でも沢山のツアーやるようになって揉まれて、どんどんどんどん演奏力も上がってくる。そこでよくヤノとフミとかがぶつかったりするようになって。そういうのも今までなかったんですよね。でも、それもいいことじゃんって思うようになったし。いい意味での緊張感が出てきた。過去の曲とかも普通にヤノがやるようになって、思いっきり生まれ変わったり。これはいいんじゃねえか?って思って。結果はまだそこまで出せてないけど、なんかちょっと「上がった」っていう状況がうれしかったですね。それで、それまではあまり意味がないと思って出なかったイベントとかにも出まくるようになるんですよね。そこで自分が前向いてやるようになったらお客さんの反応がよくなって、ワンマンにも来てくれるようになったんです。それまでは毛嫌いしてたイベントだったけど。ちゃんと跳ね返ってくるのがわかりましたし。
そこで「Now is the time!」でできなかった、新しいPOLYSICSのアンセムを作ろうって思って「Electric Surfin' Go Go」ができたりしましたね。そこで初めて自分のちょっとしたファンに対する想いみたいなのもね、入れてみたんですよね。2行だけ。それまでできなかった自分の言いたいことっていうのも、ちょっとだけ言えるようになった。それが意外と伝わったのか評判よかったですね。で、ライブでも映える1曲になって。で、「KARATE HOUSE」の制作にいくんですよね。
今までPOLYSICSはガムシャラにライブやってきたけど、今の4人でセッションして作曲したらどんなものができるんだろうって思って。そしたら「KARATE HOUSE」に収録される曲が5日間で10曲できたんですね。これはもう、すごい自分にとって大きくて。セッションしたら自分でも思い浮かばない、予定調和では生まれない、すごいクレイジーな、でもちゃんとポップな楽曲が、どんどんどんどんできてきて。しかもジャンルが、ハードコアもあればプログレもあってファンクもあって。「You-You-You」みたいな曲もあって「POLYSICS OR DIE!!!」みたいな曲もあるし、ディープパープルみたいな曲もやっちゃってる、みたいな。これがひとつの盤に入ること自体がすごいなーって思って。メンバー間の演奏力の高さみたいのも。取材の評判もよかったし、このアルバム出すことによって、みんなビビっちゃうだろうなって。音楽聴く感覚が変わっちゃうだろうなって。
アルバムのマインドは、あんたが今まで聴いたことのないロックを聴けるんだぜ、みたいな感じだったんですよ。「Now is the time!」よりもニューウェイヴのすごい濃い部分だったんです。これヤバいんじゃねえかな、売れちゃうんじゃねえかなって思ってたんですよね。それでボーンと出したら「Now is the time!」とセールスは変わらなかった(笑)。動員は増えてるんですけど。あれ?思いのほか、変わらなかったなぁ、みたいな感じだったんですよ。おかしいなぁ、っていう。そこでまたギャップみたいなものを感じちゃったんですよね。
「ワトソン」とか、すごい達成感あったんですよね。こんな狂った曲ないぜ?みたいな。でも、あれで客が「ワ〜」ってなるぐらい、ちょっとずつPOLYSICS聴くことによって、お客さんのロック聴く感覚がずれ始めてきてるなっていうのは感じました。日比谷野音のライブとかも(新作「We ate the machine」の初回特典のDVDに収録)狂ってるよね。なんじゃこりゃ?って曲がいっぱい並んでて。曲はド変態なのに、ウチワ持ってみんなが見てるっていう。あの感覚は、やってて俺すごい興奮しましたけど。上手い具合にみんなPOLYSICSに侵されてる、これはいいぞって思いましたね。僕が一番信用してるのは、いつも見に来てくれるファン。彼らのことは裏切りたくない。「KARATE HOUSE」は、そういう人たちも喜ぶし、それまでポリ聴いたことのない人にも新しい扉が開けちゃって、POLYSICS好きになってくれちゃったらいいなって、そういう思いはあったんですけど。意外とそうでもなかったっていう。


初回生産限定盤 [CD+DVD]
2008年4月23日発売 / 3360円(税込)
KSCL 1240〜1241 / Ki/oon Records
通常盤 [CD]
2008年4月23日発売 / 3059円(税込)
KSCL 1242 / Ki/oon Records
POLYSICS WORLD TOUR OR DIE 2008!!!! 〜KARATE HOUSE!!!!〜FINAL JUNE.2 日比谷野外大音楽堂
POLYSICS(ポリシックス)
2007年で結成10周年を迎えた、日本が世界に誇るニューウェイブロックバンド。そのユニークなキャラクターと、ニューウェイブの神髄を自身のスタイルに昇華させたサウンドは海外からも熱烈な支持を受け、過去にも数回にわたるツアーを大成功させている。ボーカル・ギターのハヤシは飛び道具的魅力を持ったDJとしても引っ張りだこ。