音楽ナタリー Power Push - 大島はるな

音楽的“ワガママ”を貫く彼女の“ハイスペック”なメジャーデビュー

大島はるながメジャーデビューシングル「ハイスペックDays」を、6月22日にリリースする。

「ハイスペックDays」の表題曲は現在放送中のテレビアニメ「ワガママハイスペック」の主題歌。ももいろクローバー(当時)「ももいろパンチ」の作曲家・編曲家、Not yet「週末Not yet」のアレンジャーなどとして知られ、インディーズ時代からの大島の盟友・斎藤悠弥がサウンドプロデュースを務めるエッジの利いたロックチューンだ。

ゲームソングを数多く手がけ“美少女ゲームの歌姫”の異名を誇る一方で、アニソンシンガーを目指していたという大島。そんな彼女が美少女ゲーム原作のアニメのテーマソングであるシングル曲に込めた思いとは? そして彼女のアーティストとしての「ワガママ」ぶりとは? 本人に話を聞いた。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 小坂茂雄

メジャーデビューは1つの節目

──まずはメジャーデビューおめでとうございます。

ありがとうございます。

──今の率直なお気持ちは?

ちょっと夢心地ですね。

──大島さんは2010年に音楽活動を始めて以来、インディーズでコンスタントに音源をリリースされてきました。いやらしい言い方をすれば、インディーズでも“食えていた”わけですが、それでもメジャーは「夢心地」ですか?

大島はるな

確かに、今の音楽シーンでは「メジャーだから」「インディーズだから」という差はあまりないのかな?とも思うんですけど、やっぱり「メジャーレーベルから認められた」感はありますし、これまでファンの方から「デビューはまだかな?」って言ってもらったりもしていたので、メジャーでシングルをリリースできるのは、めちゃくちゃうれしいですね。あと気持ち的には1つの節目というか。毎日忙しくしていると、自分が今どこにいるのか、置かれている状況がふとわからなくなることがあるんですよ。だから「ここという場所、メジャーという場所まで来られた」っていう事実は1つのいい目安になるとも思ってます。

──“ここ”に至るまでの6年間は長かったですか、短かったですか?

これまではなんとなく「長かったなあ」と思ってたんですけど、いざ改めて考えてみると短かった感じもしますね。昔はがむしゃらにライブしかしてなくて。月に30本近くライブをしてた時期もあったりしたけど、最近は自分のCDやゲームの楽曲のレコーディングをしている時間のほうが長くて。そうやってそのときどきごとにいろいろな経験をして、自分の歌のスタイルも生活スタイルも随分変わっているはずなんですけど「なんかこの6年ってあっという間だったかも」っていう気がしてます。

──その活動初期の月30本のライブって、ちょっとした修行みたいですね。

そうですね(笑)。おかげでステージングに関しては自信が付きましたし、「大島はるなの強みはライブ」と、胸を張って言えるようになりました。

うれしすぎて、まだ信じてないぞ

──シングルの表題曲「ハイスペックDays」は、アニメ「ワガママハイスペック」の主題歌ですが、以前、もともとアニソンシンガーに憧れていたとおっしゃってましたよね(参照:大島はるな「自分革命」インタビュー)。

はい。私はアニソンで育ったというか、カラオケに行っても、まず検索するのはだいたいアニソンですし。

──例えばどんな曲を?

一番たくさん歌ってきたのは「シャーマンキング」の主題歌(林原めぐみ「Over Soul」「Northern lights」)や「幽☆遊☆白書」の主題歌(馬渡松子「微笑みの爆弾」)ですね。

──「マンキン」はともかく「幽白」は大島さんの世代じゃないですよね? しかもどちらも少年マンガのアニメ化作品ですし。

大島はるな

母がアニメ大好きで、毎週アニメのDVDを借りてくるんですよ。なので小さい頃から世代や性別関係なくいろんなアニメをめちゃくちゃ観ましたし、個人的にも「ちゃお」や「りぼん」に載っていた少女マンガ原作のアニメをよく観てましたし。そういう生活をしてきたので、いつかは私もアニメの歌を歌ってみたいなって。

──このたびその夢が叶ったと。

もうびっくりです。うれしすぎて「まだ信じてないぞ」っていうくらい。

──とっくに放送は始まってますし、このインタビューの時点ですでに「ワガママハイスペック」は第8話まで放送されている。つまりもう8回は地上波で主題歌の「ハイスペックDays」が流れてることになりますけど。

そうなんですけど、毎週「これ、ほんとかな?」って思いながら観てます(笑)。

──しかも「ワガハイ」は5分枠のショートアニメで、1話あたりの実質的な放送時間は3分30秒だから、放送尺の約3分の1を大島さんの歌が占めているのに。

そうなんですよ! 「ほんとに、私の歌でこんなに時間を割いていいのかな……」って思いつつ、でも曲に付く映像がすごくかわいいので、ちゃんとアニメの一部になってるかな、と(笑)。

──そんな「ハイスペックDays」はパンチのあるロックチューン。バンドサウンドを強く打ち出した曲ですね。

実はこの曲って自分にとってはけっこうなチャレンジだったんです。というのも、私はよく「声が丸い」とか「バラード系の曲に合う声質」みたいに言われることがあって。この曲は楽器のエッジが立っているので、最初は「演奏に声が埋もれちゃうんじゃないか?」「どうやったらカッコよく歌えるだろう?」ってちょっと悩みました。

──自然に声が乗ってるように聴こえますよ。

だったらよかったです(笑)。ほかの女性シンガーさんのロックな曲をたくさん聴いたりして勉強したうえで、エンジン全開で歌わせていただきました。

メジャーデビューシングル「ハイスペックDays」/ 2016年6月22日発売 / IMPERIAL RECORDS
タイプA / 1200円 / TECI-506
タイプB / 1200円 / TECI-507
タイプA収録曲
  1. ハイスペックDays
  2. Miracle heart!
  3. ハイスペックDays -Instrumental-
  4. Miracle heart! -Instrumental-
タイプB収録曲
  1. ハイスペックDays
  2. 放課後アメージンッKiss
  3. ハイスペックDays -Instrumental-
  4. 放課後アメージンッKiss -Instrumental-
大島はるな(オオシマハルナ)
大島はるな

4月5日生まれの女性シンガー。「私の歌でみんなの心を動かしたい」をキャッチフレーズに、月15本以上のライブを展開。また2013年より、さまざまなアイドルに楽曲提供をしている斎藤悠弥を総合プロデューサーに迎え、美少女ゲームなど数多くのゲームのテーマソングを手がけ、“美少女ゲームの歌姫”の名をほしいままにすると同時に、「Rising Soul / 運命の扉」「Zillion Zest / I miss you」などのシングルや、2014年3月の1stフルアルバム「自分革命」などオリジナル音源も発表する。そして2016年6月、テレビアニメ「ワガママハイスペック」の主題歌「ハイスペックDays」でメジャーデビューを果たす。