音楽ナタリー Power Push - 大原櫻子

ビバ!新しい扉を開く2ndアルバム

バラードを歌うのが好き

──そしてアルバムは「トレモロレイン」や「Dear My Dream」といった遊び心を感じさせる曲を織り交ぜつつ後半に突入していくわけですが、ラストの3曲でグッと大人っぽい雰囲気になります。このあたりは確実に前作では感じられなかった表情ですよね。

大原櫻子

そうですね。

──特に11曲目の「君になりたい」は、心にグッとくるラブバラードで。

「キミを忘れないよ」もそうでしたけど、ラブバラードを歌うのが私はすごく好きなんですよね。この曲はメッセージ的にも私の年代にぴったりなものだと思うので、表現もしやすかったです。もちろんノリのいい曲を歌うのも好きなんですけど。

──バラードだとご自身の声の魅力を出しやすい感じもありますか?

そこは逆に、楽曲に自分のいい部分を生かしてもらってる感じかもしれないですね。自分の声のいい部分って自分ではあまりわからないんですよ。でも、亀田さんはきっとそういう部分もわかってくださってるんじゃないかなって。自分の声の出しやすいところをほかの方がちゃんと理解してくださっている環境は、ほんとにありがたいなって思いますね。

──亀田さんとはMUSH&Co.時代から築き上げてきた関係性がありますからね。お互いわかり合えている部分もあるでしょうし。

そうですね。亀田さんはすごくお忙しいので電話やメールでのやりとりが多かったのですが、今回もすごく楽しく制作させていただきました。歌に関しては基本的には私の歌いたいように歌わせていただいた感じです。亀田さんとはそういった関係性があるので、曲の雰囲気や方向性をつかむのは早くなっているとは思います。その中で、亀田さん以外の方に作っていただいた曲を歌う楽しさもありますね。自分としても新境地を感じられるので。

これは絶対に歌いたい!

──12曲目の「September」も、これまでの大原さんのイメージからすると斬新な印象がありますね。

大原櫻子

かなりインパクトのある曲だと思います。サックスが♪タラータラーって鳴り始めたのを最初に聴いた瞬間、「渋い!」「これ私が歌うの?」って思っちゃいました(笑)。ちなみにこの曲も「こころ」や「サイン」と同じタイミングでいただいていていました。その時期にいただいた曲はかなり大人っぽい曲が多かったんですよね。

──歌うときはどんなことを意識しました?

自分的に意識したのは山口百恵さんなんです。あまり渋くなりすぎても違いますが、この曲ではちょっと歌謡曲感があってもいいんじゃないかなと思って。

──確かにサウンド的にもちょっと歌謡曲のテイストがありますからね。

そうなんです。私、昔の歌謡曲がとっても好きで、ほんとによく聴くんです。もしかしたら今のJ-POPよりも全然好きかもしれません。

──どんなところに惹かれるんでしょうね?

今のJ-POPにはないメロディの雰囲気とかですね。あとは歌詞! すごく大人なことを、今の私と変わらない年齢の方が歌ってたりするじゃないですか。そういうところがすごく好きなんです。私もそういう曲を歌ってみたいなってずっと思っていたので、この曲をいただけたのはすごくうれしかったですね。

──「September」の歌詞はどうでしたか?

めっちゃ好きです! 亀田さんに書いていただいた歌詞の中でも上位に入るくらい大好きですね。個人的には1コーラス目のAメロのところですね。ええ、ここはほんとにいいですねえ(笑)。

──そしてアルバムのラストには、Leonnさんが作詞、小名川高弘さんが作曲を手がけた「Scope」という曲が。前作での「ワンダフル・ワールド」がそうだったように、この曲は大原さんの次のステップ、未来を楽しみにさせてくれる1曲だと思います。

そうですね。アルバムの制作中に新しくいただいたのは今回この曲だけだったんです。メロディを聴いた瞬間に「これは絶対に歌いたい!」って思いましたね。歌うというよりは、ちょっとつぶやくような感じが新しいなって。

──ドラマチックに展開していくサウンドも、今までの大原さんのレパートリーにはなかったものですしね。

大原櫻子

こういった曲はなかったですよね。ほんとにドラマチック。曲自体には叫びがこもっているような雰囲気を感じたんですが、歌ではそれを主張しすぎないようにしたんです。こちらからの主張を押し付けるのではなく、どこか優しさみたいなものを受け取ってもらえるような歌にしたいなと思ったので。

──ある意味、聴き手への余地を残した歌い方ということですかね?

そうですね。歌に関してはあえて70点くらいに抑えたというか、感情の余白を残しつつ、その上で全体として100点を目指した感じですね。そのほうがきっと伝わるものがあるんじゃないかなと思ったので。その加減は難しかったですけど、いい仕上がりになったと思います。この曲は早くライブで歌いたいですね。ラストに歌ったらすごくよさそうですね。

初の武道館への思い

──8月からは3度目の全国ツアーもスタートしますね。このアルバムの曲たちがどんな形で披露されるのか楽しみです。

今回はホールツアーなので、ライブハウスとは違った一体感を感じられるライブにしたいですね。座席があることでちょっと大人な見方ができると思うし、余韻を楽しんでもらえるようなライブにできたらいいなって。福岡サンパレスはミュージカルの舞台で立ったことのある会場なので、そこにライブで帰れるのも楽しみです。

──ファイナルは大原さんにとって初の日本武道館公演ですね。

大原櫻子

楽しみっていう気持ちはありつつも、やはり不安ですよね。お客さん来ていただけるんでしょうかねー(笑)。それだけが不安です。

──大きな会場でパフォーマンスすることに対しての不安はないですか?

それはないですね。そこに関しては楽しみでしかないです(笑)。

──それは頼もしい。

ツアーで全国を回ってからの武道館なので、各会場で手にしたものを全部ぶつけてがんばりたいですね。きっとこのツアーを終えたときにはまた次に何をしたいかが見えてくると思うので、それも今から楽しみです!

ニューアルバム「V」2016年6月29日発売 / Victor Entertainment
初回限定“VIVA盛盤” [CD+DVD+ブックレット] 5700円 / VIZL-994
初回限定“ミラクルミラー盤” [CD+DVD]4200円 / VIZL-995
通常“VIVA盤”[CD] 3240円 / VICL-64595
CD収録曲
  1. 踊ろう
  2. 大好き
  3. キミを忘れないよ
  4. 勇気と微笑み
  5. メロディー
  6. 真夏の太陽
  7. こころ
  8. サイン
  9. トレモロレイン
  10. Dear My Dream
  11. 君になりたい
  12. September
  13. Scope
初回限定“VIVA盛盤”DVD収録内容
  • 真夏の太陽
  • My Way
  • オレンジのハッピーハ口ウィン
  • Glorious morning
  • ちっぽけな愛のうた
  • Dear My Dream
  • Special day
  • のり巻きおにぎり
  • キミを忘れないよ
  • 明日も
  • READY GO!
  • Happy Days
  • おどるポンポコリン
  • サンキュー。
初回限定“ミラクルミラー盤”DVD収録内容
  • ショートムービー「サイン」
ニューシングル「大好き」2016年6月1日発売 / Victor Entertainment
初回限定盤A [CD+DVD] 1620円 / VIZL-977
初回限定盤B [CD+DVD] 1620円 / VIZL-978
通常盤 [CD] 1296円 / VICL-37166
CD収録曲
  1. 大好き
  2. トレモロレイン
  3. ステップ
  4. 大好き(instrumental)
  5. トレモロレイン(instrumental)
  6. ステップ(instrumental)
初回限定盤A DVD 収録内容
  • 「大好き」Music Video
  • 「大好き」Music Videoメイキング映像
初回限定盤B DVD 収録内容
  • 「トレモロレイン」Music Video
  • 「トレモロレイン」Music Videoメイキング映像
大原櫻子 CONCERT TOUR 2016
~CARVIVAL~
  • 2016年8月5日(金)神奈川県 厚木市文化会館
  • 2016年8月12日(金)福岡県 福岡サンパレス
  • 2016年8月13日(土)長崎県 長崎ブリックホール
  • 2016年8月17日(水)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2016年8月19日(金)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2016年8月26日(金)鳥取県 米子市公会堂
  • 2016年8月31日(水)京都府 ロームシアター京都 メインホール
  • 2016年9月2日(金)広島県 上野学園ホール
  • 2016年9月4日(日)鹿児島県 宝山ホール
  • 2016年9月9日(金)富山県 富山県民会館
  • 2016年9月15日(木)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2016年9月16日(金)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2016年9月21日(水)香川県 サンポートホール高松 大ホール
  • 2016年9月24日(土)新潟県 新潟県民会館
  • 2016年9月29日(木)大阪府 オリックス劇場
  • 2016年10月4日(火)東京都 日本武道館
大原櫻子(オオハラサクラコ)
大原櫻子

1996年1月生まれ、東京都出身。映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に登場した3人組バンドMUSH&Co.のボーカルとして、2013年12月にシングル「明日も」でデビューする。2014年11月にソロ名義の1stシングル「サンキュー。」を発表し、2015年1月発売の2ndシングル「瞳」の表題曲は「第93回全国高校サッカー選手権大会応援歌」に採用された。同年3月に1stアルバム「HAPPY」をリリースしたのち、7月に3rdシングル「真夏の太陽」とライブDVD / Blu-ray「1st TOUR 2015 SPRING~CHERRYYYY BLOSSOOOOM!!!~」、11月にシングル「キミを忘れないよ」とリリースを重ねる。年末には「第66回NHK紅白歌合戦」に初出場した。2016年6月に2ndアルバム「V」を発表。女優としての活動も活発で、ドラマや舞台にも出演している。