ナタリー PowerPush - ムック

新機軸シングル第2弾で15周年イヤーの幕開け飾る

ムックの曲はアコギ1本で歌っても成立する

──今作にはクラブミュージック調にリアレンジされた「最終列車」も収録されています。

ミヤ リミックスするつもりで新しいトラックを作ったんですけど、テンポが原曲からかなり変わってしまい元のボーカルが使えなかったので、歌い直してもらって。ついでに「今回のアレンジだったらこういうボーカルがいいな」っていうところも変えていきながら、原曲とは違う形に仕上げました。

──原曲はテンポの速い曲ですが、今回はかなり抑え気味で。

ミヤ だけど歌は倍のテンポになってるという。そういう意味では、「ニルヴァーナ」とは逆なんです。バックトラックが抑え気味で歌がその倍のテンポになってる「最終列車」に対して、「ニルヴァーナ」はアッパーなトラックの上をゆったりしたメロディが乗っているので。

──なるほど。逹瑯さんは「最終列車」のボーカルトラックをレコーディングするのは5~6年ぶりかと思いますが、いかがでしたか?

逹瑯(Vo)

逹瑯 原曲がずっと頭にあるからメロディが変わったところはちょっと戸惑ったけど、レコーディング自体はすげえあっという間でしたよ。メロディのテンポが倍になったので、言葉が詰まって早口になるのが大変だったくらいですかね。

──サウンドの変化に対しては特に戸惑いはなく?

逹瑯 あんまりなかったかな。ムックの曲ってアコギ1本でジャカジャカ弾きながら歌っても成立する曲がほとんどなんで、どんなアレンジにも乗りやすいのかなって思いますね。

次のカップリング曲も「バルス」ってタイトルなんだよね

──もう1曲「バルス」という新曲も収録されています。この曲のタイトルをナタリーで紹介したときに、かなり大きな話題になりまして。

逹瑯 そうですね。この曲の歌を録り終えて1~2週間経ったときに、テレビで「天空の城ラピュタ」を放送していたんです。Twitterでは「バルス」って大盛り上がりしてたんですけど、1カ月後くらいに「ムックの新曲タイトルは『バルス』」って発表したら「Twitterの流行に乗ってタイトル決めた」って思われるだろうなと。それがすげえ嫌だったので、だったらあのタイムラインが盛り上がってる中で「ムックの次のカップリング曲も『バルス』ってタイトルなんだよね」って、俺が先にどんな情報解禁よりも早く書いてしまおうと思ったんです(笑)。

──そうだったんですか(笑)。

逹瑯 この流れなら言えるなと思って書いちゃったら、「えー? またこいつ変なこと言ってるよ」みたいに思われて(笑)。で、ナタリーに記事が出たときにもう1回「バルス」で大盛り上がりしてたから、しめしめみたいな。

──本当にラピュタから取ったタイトルだったんですね。確かに歌詞の中にも「滅びの言葉」って表現が出てきますし。

逹瑯(Vo)

逹瑯 震災が起きてから1年近く経って、周りの環境が良い方向なのか悪い方向なのかどっちに変わってきたのかわかんねえな、っていうモヤモヤした気持ちを歌詞にしたい、そんな歌詞をこのパーティロックサウンドに乗せたいって思ったんです。歌詞を書き始めたときはそんなタイトルではなかったんですけど、書いていくうちに意味合い的にも皮肉的なニュアンスや言葉遊びを入れたら面白いなと気付いて。ストレートな言葉をポンと入れるんじゃなくて、誰でもわかる共通の単語を言えたらいいのかなってことで、「バルス」と名付けたんです。

──「ニルヴァーナ」といい「バルス」といい、言葉の持つ強さが印象的ですね。シンプルで記号的なところは非常に現代的というか。

逹瑯 訳わかんないですよね。「ムック」「ニルヴァーナ」「バルス」……どれがバンド名だかわかんないし(笑)。「赤モジャ」「カート・コバーン」「宮崎駿」って、「なんだこりゃ?」って感じですね。

「バルス」は元々ある曲の一部だった

──楽曲についてですが、リフで引っ張る、とてもシンプルなアレンジのロックナンバーで、今までのムックのイメージとはちょっと違うなという印象を受けました。

ミヤ この曲はロックンロール色が強くて、JET(※オーストラリアのロックバンド)みたいなサウンドをイメージしてました。ただ、元々この曲は、共通のリフを使った全く異なるタイプの2曲が合体した「1曲」として制作してたんです。

──え、どういうことですか?

ミヤ 原曲は前半がロックンロールテイストで、後半がメタル調になる楽曲だったんですよ。でも、「別々でもいいんじゃない?」っていうアイデアが出て2曲に分けました。ロックンロール調の「バルス」はシングルのカップリングで入れることになって、後半のメタル調の曲は今度出るアルバムに入れる予定です。メタルのほうにも「バルス」と同じリフが1カ所だけ入ってるんで、「あ!」と気付くんじゃないかな。男女の双子みたいなもんじゃないですかね。

──リズム隊もかなりシンプルな演奏ですね。

YUKKE(B)

YUKKE 「バルス」はそんなに深く考えず、いい意味でシンプルに勢い良くプレイできた曲ですね。そんなにがっつり練習していったわけでもなく、一発録りでラフな空気感を収めることができて。

SATOち 俺はこの曲をレコーディングしてるとき、ライブのことをずっと考えてました。例えば俺らが出した音にお客さんが反応して拳を上げる、そういうときにお客さんがすごく楽しそうな顔をしてるのを想像しながらレコーディングしたんですよ。

ニューアルバムは「よりムックらしい」イメージ

──今作はリミックスを含めて、タイプの異なる楽曲が並んでいて、そこがすごくムックらしいなと思いました。今後はニューアルバムのリリースも控えてると思いますが、どんな感じになりそうですか?

ミヤ 制作はずっとしてるんですけど、やっと全体像が見えてきたかなと。要素として前作の「カルマ」的なものも入っているとは思いますけど、「カルマ」を踏まえた上で、よりバンドサウンドに寄ったものになりそうです。

──アルバム全体が「アルカディア」や「ニルヴァーナ」のような方向に行くわけではなく?

ミヤ それはないですね。「よりムックらしいかな」ってイメージはありますけど。

──「よりムックらしい」とは?

ミヤ ゴチャゴチャしてるのはいつもどおりなんですけど、15周年の節目というか、「ムックとはどういうバンドなんだ」っていうことをより見せることができるアルバムになるかなと。

ニューシングル 「ニルヴァーナ」2012年3月7日発売 Sony Music Associated Records

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  • 初回限定盤[CD+DVD] 1575円(税込)
AICL-2356/7
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  • 期間限定盤 [CD] 1223円(税込)AICL-2359
初回限定盤CD収録曲
  1. ニルヴァーナ
  2. 最終列車 -WAREHOUSE FLAVORED VER.-
初回限定盤DVD収録内容
  1. ニルヴァーナ(VIDEO CLIP)
  2. ニルヴァーナ(SHOOTING AND MORE)
  3. 路地裏 僕と君へ(JACK IN THE BOX 2011 LIVE(2011.12.27@日本武道館))
  4. アルカディア FEATURING DAISHI DANCE (JACK IN THE BOX 2011 LIVE (2011.12.27@日本武道館))
  5. ニルヴァーナ(JACK IN THE BOX 2011 LIVE(2011.12.27@日本武道館))
通常盤収録曲
  1. ニルヴァーナ
  2. バルス
  3. ニルヴァーナ -MOONBUG REMIX-
期間限定盤収録曲
  1. ニルヴァーナ
  2. ニルヴァーナ(TV EDIT)
  3. ニルヴァーナ -MOONBUG REMIX-
LIVE INFORMATION

- MUCC 15th Anniversary year Live -
「MUCC vs ムック vs MUCC」

2012年6月9日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場ホール1~3
OPEN 14:39 / START 16:09 / END 20:00(予定)

一般発売日:2012年4月14日(土)

ムック(むっく)

1997年に茨城で結成された4人組ロックバンド。水戸・千葉・東京を中心にライブ活動を展開。日本語にこだわった文学性の強い歌詞と、従来のヴィジュアル系サウンドに欧米ヘヴィ / ラウドロックからの影響をミックスした独自の音楽性が高く評価されている。インディーズでの活動を経て、2003年5月にシングル「我、在ルベキ場所」でメジャーデビュー。同年8月にはドイツのメタル系フェス「Wacken Open Air」に出演するなど、海外での活動も積極的に行っている。2006年には初の日本武道館公演を敢行したほか、初のアメリカライブを開催。また2007年7月にはGUNS N' ROSESのジャパンツアーでオープニングアクトを務め、話題となる。2008年には海外のバンドと北米、ヨーロッパ、日本を回る大規模なツアー「Rockstar Taste Of Chaos 2008」に参加。2011年5月に初の日本武道館2days公演を行い、大成功を収める。同年11月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ移籍第1弾シングル「アルカディア featuring DAISHI DANCE」を発売。2012年3月にはテレビアニメ「妖狐×僕SS」のオープニングテーマ「ニルヴァーナ」をシングルリリースした。