ナタリー×WOWOW ミュージックスタイルJAPAN PowerPush - 安藤裕子
秋の大演奏会オンエア WOWOW連動インタビュー
「本物の音楽との出会い」をコンセプトに、毎月厳選したアーティストを紹介するWOWOWのライブプログラム「ミュージックスタイルJAPAN」。12月の番組では、11月9日に東京・NHKホールで開催された「安藤裕子 秋の大演奏会」の模様をオンエアする。
ナタリーでは「ミュージックスタイルJAPAN」と完全連動の特集コンテンツで彼女のインタビューを掲載。スカパラのリズム＆ホーン隊やCHICA Stringsら豪華メンバーを迎えて行われたステージを振り返ってもらった。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 福岡諒祠
「またやりたいね」って話してます
──「安藤裕子 秋の大演奏会」は贅沢なコンサートでしたね。多彩なアーティストを交えての一夜限りのステージでした。
楽しかったから「またやりたいね」って話してます。「スカパラのツアー追っかけてやっちゃう？」とか、打ち上げの会場で言ったりしていて。
──ホーンズやストリングスと演奏してみた感想は？
豪華！ 舞台に立ちながらお客さんみたいな気持ちになっちゃいました。特に弦とはずっとやりたかったのでうれしかったです。
──CD音源に近いアレンジでの演奏でしたね。
普段のライブでは鳴らせなかった、本当はあったはずの旋律が、歌っている横にあるのがすごく気持ちよかったです。いつもはCDとは違う答えを探してバンドの音作りをしていくところが多々あるんですけど、今回はCDの音が再現できて楽しかったですね。
──かと思えば、少人数のメンバー編成で演奏された曲もあって。
今回は肩の荷が軽いというか、いつも私が背負っているものの何割かをメンバーが担ってくれている感じがあって。もちろん私が安藤裕子という名前を背負って前に立っているわけだから、その責任はあるんですけど、今回のバンドと一緒だとどこか自分が主役じゃなくてもいいような気楽さがあったんですよね。だから逆に小編成で歌を伝えるっていうこともやりたかったし、それが必要だったんだと思います。
──その気楽さというか、楽しくリラックスしている感じはアンコール最後の「ぼくらが旅に出る理由」で特に伝わってきました。
あの曲はすごくいい曲なんですけど、旅立っていく人をさわやかに見送るときの気持ちを笑顔で歌うっていうのは私には実はすごく難しくて。だけどああいう舞台でたくさんの笑顔に囲まれてみんなで歌えるっていう状況だったから、レコーディングでも歌えなかった歌がやっと歌えたような気がしています。
緊張が解けると周りが見えなくなる
──今回WOWOWでライブの模様がオンエアされますが、オススメの場面などはありますか？
前半は相当緊張してて、その緊張感が解けたのがちょうど「黒い車」くらいだから、私のオススメはそのあたりからですね。
──じゃあ緊張していた序盤の記憶はあんまりない？
逆ですね。緊張しているときのほうが現実感が強いです。緊張が解けて集中してくると周りがあんまり見えなくなって、気持ちが入っていくんですよね。
──歌に集中する感覚でしょうか。
そうですね。音の波にサーフィンみたいにうまく乗れると、あんまり意識しないで歌えるようになるというか。
──衣装も素敵でしたね。
最初はもうちょっと大人っぽいフェミニンな雰囲気にしようかと思ってたんですけど、結局アラビアンナイトみたいな感じになりました（笑）。
──アンコールではジャケットを羽織ってガラッと印象が変わりましたね。
本当は髪の飾りを取りたかったんですけど、糸と針で縫い込んでたからうまく取れなくて。みんなが待ってたから急いでそのままステージに戻ったんですけど、なんか応援団長みたいになってましたよね。それが映像として残っていると思うと結構不覚なんですけど……（笑）。
安藤裕子（あんどうゆうこ）
神奈川県生まれのシンガーソングライター。2003年7月にミニアルバム「サリー」でメジャーデビューを果たす。2005年11月、月桂冠のCMソングで話題になった「のうぜんかつら（リプライズ）」を含む2ndアルバム「Merry Andrew」が12万枚のヒットを記録。その後2009年に初のベストアルバム、2011年にカバーアルバムを発表し、2012年3月に6thアルバム「勘違い」をリリースする。自身の作品では全てのアートワーク、メイク＆スタイリングをこなし、ビデオクリップでは企画および演出も手がけるなど、音楽だけに留まらない多才さも注目を集めている。
