ナタリー PowerPush - mondaysick

架空の映画館「九月七日座」へようこそ 札幌在住バンドが伝える新作の魅力

北海道・札幌を拠点に活動する5人組ロックバンド、mondaysickが今年2枚目となるミニアルバム「九月七日座」をリリースした。短期間で成長を続ける彼らの新作には、「九月七日座」と名付けられた架空の映画館で上映される短編映画(=楽曲)がズラリと並ぶ。全体的にひんやりしながらも独特のキラキラ感を放つギターアンサンブルと、どこか温かみを感じさせるボーカルと歌詞。これらの要素が融合することによって、mondaysickならではのサウンドスケープが展開されている。

今回ナタリーでは、ほとんどの楽曲で作詞・作曲を手掛けるギタリストの飯濱壮士と、ボーカリストの鎌田勇佑に、彼らの活動拠点である札幌にてインタビューを実施。新作の話題をはじめ、バンド結成から現在のスタイル、北海道で活動することの意味まで、さまざまな話を訊いた。

取材・文 / 西廣智一

バンド結成の理由は「欲が出て本気になった」

──mondaysickはどのようにして結成されたのですか?

飯濱壮士(G) 2007年の話なんですけど、僕の弟がバンドやりたいって軽い感じで言いだして。僕は当時音楽関係の会社で働いていてライブハウスにもよく出入りしてたので、バンドメンバーを集めるのを手伝ったんです。でも一番初めのリハ当日、二日酔いを理由に弟がスタジオに来なかったんですよ(笑)。結局弟はそのままバンドから外れたんですけど、僕はメンバーを集めた手前、彼らに申し訳ないって気持ちでバンドを続けることになって。今とはメンバーが全然違うんですけど、それがmondaysickの始まりです。

──じゃあバンドを組もうと思って始めたわけではなく?

飯濱 そうです。せっかく集まったんだから続けていこうって、僕がバンドを引っ張っていったんです。最初のドラマーは女の子であんまり叩けなくて、昔から面識があった清水(崇 / Dr)に「ドラムを教えてやってくれないか。ちょっとスタジオに来て手伝ってよ」ってお願いしたんですけど、1回教わったらその子が嫌になって辞めちゃって(笑)。そこから清水にバンドを手伝ってもらってたら、そのまま加入することになったんです。

──そうだったんですね。

飯濱 最初はメンバー全員すごくアマチュア臭くてへたくそだったんですけど、続けているうちに徐々に夢中になり出して。僕も欲が出てきて「もっとちゃんとしたメンバーを集めたい」って本気になっちゃったんです。実は僕、mondaysickが生まれて初めてのバンドなんですよ。15歳のときにギターを始めたんですけど、その頃からずっと思い描いてきた理想のバンド像があって。自分にとって理想のバンドメンバーになかなか出会えなくて、バンドを組むことを諦めてたんですね。

──本気でmondaysickをやろうって思ったきっかけはなんだったんですか?

飯濱 きっかけがあったわけでもなくて。バンドを続けていくうちに僕もわがままが増えてきて、アレンジを無理強いするようになっても嫌がらないでついてきてくれたメンバーがいたことに「あ、人ってついてきてくるんだ」って驚いたんです。清水もそうですけど、その次に古いメンバーがギターの金子(裕幸)で、あいつも全然嫌がらないで練習してくれるし、僕の多少理不尽なところとか全部受け入れてくれるっていうか。そういう人たちと出会ったことで、自分がずっと思い描いていた理想のバンドが組めるかもって思うようになって、そこからは自分の中で気持ちがシフトチェンジしたんです。人間性とか音楽に向かう姿勢とかが甘い人たちはどんどんクビにして、メンバーを厳選していった感じですね。

──残ったメンバーは飯濱さんが言ってることが間違ってないと思ってるから残ったんでしょうし、信頼関係が築けていたんでしょうね。

飯濱 どこを信頼してくれてるのか最初はわかんなかったですけど(笑)。当時は気づいてなかったんですけど、最近は「僕を信じてくれてる」ってすごく感じます。全員年齢もバラバラですけどなんか兄弟みたいな感じで。僕が一番上の兄貴で、それぞれ性格の違う弟がいるみたいな。でも、音楽に向かう姿勢がみんな一緒で、そこでつながってるんです。

最初は「僕にはあの世界観は表現できないです」って断った

──鎌田さんはどういう形でこのバンドに入ることになったんですか?

鎌田勇佑(Vo) 元々別のバンドでボーカルをやっていたんですけど、その頃から飯濱さんとは飲み仲間で。ある日「バンドやることになったんだ」って言われた後に、ちょうどmondaysickの初ライブに自分がやってたバンドも対バンとして出演してたんです。当時は飯濱さんが歌ってたんですけど、mondaysickのライブにものすごい衝撃を受けて。めちゃくちゃカッコいい、すげえバンドだな、飯濱さんってすげえ人だったんだって思ったんです。

──飲み会の席での飯濱さんしか知らなかったからびっくりしたと(笑)。

鎌田 はい(笑)。でも、以前から飲んでるときも音楽論とかを話してはいたんですよ。そのライブがきっかけで、飯濱さんの音楽に対する姿勢に惹かれていって。その後、自分のバンドが解散したときに飯濱さんが「mondaysickで歌ってくれないか」って誘ってくれたんですけど、最初は「無理です、僕にはあの世界観は表現できないです」って断って。

──それくらい最初に観たライブが衝撃的だったんですね。

鎌田 3回バンドに誘ってくれて、2回断ったんですよ。2回目に断ってから結構月日が経って、自分は音楽を辞めて音楽とは関係のない仕事をしてました。で、久しぶりに飯濱さんから電話がきて飲みにいったら、そこに今の僕以外のメンバー4人が揃っていて。そこで話してスタジオに入ることが決まって、5人で「雨の日」を合わせたときに「やっぱり歌うしかねえな」と決心できたんです。

──飯濱さんは鎌田さんのどういうところが気に入ったんですか?

飯濱 僕は以前、某レコード会社で新人発掘の仕事をしていて、毎日いろんなライブハウスに出入りしてたんです。その頃からいろんなバンドを観ていて自分の中にボーカリストのデータベースみたいなものがあったんですけど、mondaysickに合うのは鎌ちゃんしか思い浮かばなくて。ステージ上の佇まいとか、華があるところとか、歌唱力とか、全てが僕が表現したい世界にぴったりだったんです。彼が入ればパズルの最後のピースがはまるって確信があったので、半年間で3回も誘ったんです。でも、「いや、無理っす」って2回もはっきり断られたんで気持ちが折れかけましたね(笑)。

ミニアルバム「九月七日座」 / 2011年11月23日発売 / 1500円(税込) / Yumechika Records / HTBY-1101 / Amazon.co.jpへ

CD収録曲
  1. 折れない十字架
  2. うたうのは
  3. 姑獲鳥
  4. スターとレイン
  5. Gen
  6. 風が止んだら
mondaysick(まんでーしっく)

鎌田勇佑(Vo)、飯濱壮士(G)、金子裕幸(G)、中村之則(B)、清水崇(Dr)からなる、札幌を拠点に活動するロックバンド。飯濱を中心に2007年12月結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2009年5月に現在の編成となる。2010年11月に北海道TSUTAYA限定シングル「インターネットローカルニュース」をリリース。翌2011年3月には初のミニアルバム「school」を発表し、北海道内を中心に好セールスを記録した。同年4月には新曲「風が止んだら」をiTunes Store、music.jpにて期間限定配信リリース。同作品の売上は、日本赤十字社を通じて東日本大震災の被災地に全額寄付された。5月からは関東および関西でライブツアーを実施。11月に2ndミニアルバム「九月七日座」を全国リリースした。