ナタリー PowerPush - miwa

新境地「Delight」で切り開く“2010年代の音楽”

ももクロとは“同志”みたいな感覚

──昨年は一過性のものだと思ってたんですけど、今年もまた、ももいろクローバーZと一緒に“miwaクロ”をやりますよね。そういう違うジャンルの表現者と一緒にステージに立つことで何か刺激を受けることはありますか?

miwaクロに関しては、もともと、ももクロちゃんの楽曲がすごく好きなので、また会えることがうれしくて。

──戦っているフィールドは違っても、同志みたいな感覚があったりするんですか?

ああ、そうですね。そういう感覚です。ももクロちゃんとの違いは、私は自分で曲を作るので、自分の中でコントロールできる部分が比較的多いと思うんですけど、ももクロちゃんたちは作家さんに作ってもらった曲を表現する立場で。その立場で、それをとにかく全力でやってるところにたくましさを感じるし、シンガーソングライターの表現とは違った胸の打たれ方をするんですよね。私はそのときの気分でちょっと変えちゃったりできる部分があるけど、彼女たちは5人でやってるってことも含めて、その日の体調とか気分で何かをすぐには変えられないじゃないですか。そういう意味で、プロとして見習うところもたくさんあって。

──ももクロに限らず、Perfumeでもいいし、きゃりーぱみゅぱみゅでもいいですけど、自作自演ではないパフォーマーが、この国の音楽のメインストリームが歌謡曲だった時代から数十年を経て、今また完全にメインストリームに戻ってきてる。チャート的にはmiwaさんはそういう人たちとも戦っているわけで。そういう環境の中でシンガーソングライターである自分の役割について考えることはありますか?

miwa

アイドルってひとくくりにしちゃいけないと思うんですけど、そういう自作自演じゃない方の一部の楽曲って、そこに選りすぐりの才能が集まっていて、表現として非常に洗練されたもので。「そりゃ売れるだろう」と素直に思います。私もそういう表現に共感しちゃうし、いいと思って聴いてるし、要するに普通に好きなんです。Perfumeもきゃりーぱみゅぱみゅも自分でCDを買ってますし(笑)。だから、私としては彼女たちの音楽を楽しみながら、それに負けないくらいいい曲を自分で生み出そうっていう、そういうモチベーションでやってるんですよ。

──自分はシンガーソングライターだから別の戦い方をしていこうというのではなく、真っ向から勝負していこうということですよね。

そうです。曲やアレンジのセンスもいいし新しいことを取り入れるスピードもすごく早いので、それに対抗していくのは大変なことですけど、そこから逃げたくないというか。もう邦楽とか洋楽とか関係なく、ほとんどそこに時差もなく、いろんな才能がうごめいてるので。そういうことにもっともっと敏感になっていたいというか。「自分はただギターを持って自分の書いた曲を歌っていればいい、これが自分のスタイルだから」っていうことで完結したくないなと思っていて。シンガーソングライターでもどんどん新しいことに挑戦していいはずだし、いろんなところに目を向けて、いいと思うものはどんどん取り入れていきたいと思います。

全曲アルバムの1曲目みたいな作品

──すごく明確な答えですね。そして実際「ヒカリへ」や「ミラクル」のメロディ展開やアレンジの洗練度って、誰にも負けてないものだと思います。今回のアルバム「Delight」には、大きな手応えを感じているんじゃないですか?

miwa

やれたなという実感はあります。新しいことにもチャレンジできたし、自分好みの作品にもなったし、これからのライブが楽しみになるような攻めた作品になったなって。全部の曲がアルバムの1曲目みたいな作品だなって思うんですよ。だから曲順にはすごく悩みました(笑)。

──「『2010年代の音楽』がまだ明確にないなら、それを自分で作っていこう」という言葉を聞いて、すごく頼もしく感じたんですけど、具体的にそれはどういう音楽になっていくんでしょう?

どうなっていくんでしょうね。今はとにかく、私が純粋に興味を持ったものだったり、「これ新しいな」って飛びついたものを、1つひとつ形にしていって、それがカッコいいものだったら、いつか「2010年代の音楽」として残っていくんじゃないかなって思ってます。

──最後にもう一度聞きますけど、それが自然なものだとしても、結果的にまぶしすぎるくらい明るいイメージを引き受けていることで、どこかでうっぷんがたまったりしてることはないんですか?

たまることはありますよ(笑)。でもそれをうれしいこととか楽しいことでちょっとずつ抜いていくんです。うれしいこととか楽しいことがあると、嫌なことって忘れていくじゃないですか。今はそれでいいのかなって。だから聴いてくれる人にとっても、嫌なことがあっても聴いたらそれを忘れられる、そんな音楽を作っていけたらいいなって思います。

──基本が、とてもプラス思考なんですね。

そうなんですかね(笑)。でも、別に「ポジティブにいなきゃ!」って思ってるわけじゃないですよ。ただ、モヤモヤしてる状態が好きじゃないだけなんです。

──なるほど。「モヤモヤしたくない」。すごくmiwaさんらしいと思います(笑)。

はい(笑)。

ニューアルバム「Delight」/ 2013年5月22日発売 / Sony Music Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / SRCL-8297~8
通常盤 [CD] / 3059円 / SRCL-8299
CD収録曲
  1. Delight
  2. ヒカリへ
  3. 321
  4. サヨナラ
  5. Sparrow
  6. ホイッスル~君と過ごした日々~
  7. ミラクル
  8. My Best Friend
  9. LOUD!~憂鬱をぶっとばせ~
  10. Napa
  11. ぬくもり
初回限定盤DVD収録内容
  • 2012年12月22日に行われたZepp Tokyoライブのダイジェスト
  • 2013年3月30日に行われた下北沢LOFTライブのダイジェスト
  • 「スマイル」ビデオクリップ
miwa(みわ)
miwa

1990年生まれ、神奈川県出身の女性シンガーソングライター。高校時代から音楽活動を開始し、下北沢、渋谷を中心に弾き語りライブを行う。2010年3月にシングル「don't cry anymore」でメジャーデビュー。伸びやかで透明感のある歌声と等身大の歌詞で注目を集める。その後も大学生活と並行しながら音楽活動を継続し、2011年4月には1stフルアルバム「guitarissimo」、2012年3月には2ndフルアルバム「guitarium」を発表した。2012年8月にリリースしたシングル「ヒカリヘ」はダンスエレクトロサウンドを導入した曲調とドラマ「リッチマン、プアウーマン」主題歌に採用されたことで話題に。2013年3月には大学を卒業すると同時に、初の日本武道館ライブを成功に収めた。同年5月、3rdアルバム「Delight」をリリース。