前髪を切りすぎてから10年

──今回2ndシングルをリリースされて、アーティストとしての知名度もさらに上がっていると感じます。リスナーに「三戸なつめ」という存在をどのように見てほしいですか？

んー、めでたい感じですかね。

──めでたい？

この間テレビ番組でテリー伊藤さんとご一緒させていただいたんですけど、私のことを「なんかめでたいよね」「七福神にいそうだよね」って言ってくださって（笑）。でもそれってすごくいいことだなって思って。見てるだけで微笑ましくて笑っちゃうみたいな。それを言われてから「めでたい」っていいなあって。お正月に家族で集まってホッとするのと同じような、「和むなあ」っていう気持ちを私を見て思ってもらえたらうれしいですね。アートワークでも「何これ!?」って驚いてもらえたり、笑っちゃったりするようなものを出し続けていきたいです。

──なるほど。「8ビットボーイ」のジャケットもかなり前衛的ですもんね。

はい（笑）。ゲームキャラのような「8ビットカツラ」をかぶったんですけど、撮影中じっとしてなきゃいけなかったので大変でした。CDの初回限定盤に付くブックレットには8ビットカツラをかぶった私のゲーム化された日常が描かれているんです。「1UP」や「HPゲージ」といったゲームの要素が出てきたり。

──ブックレットの撮影はどうでしたか？

大阪の商店街やお好み焼き屋さんとかでロケ撮影をしたんですけど、通行人の方とか「え!? え!?」みたいな。100%の確率で二度見されましたね（笑）。あとヴィレッジヴァンガードさんの特典には「三十三戸なつめ」っていう33人のクリエイターさんとコラボしたフォトブックも付くんですけど、三戸なつめっていうだけでこんなふうに33通りも表現できるんだっていう面白い作品が詰まってるのでぜひ見ていただきたいです。

──これから挑戦してみたいことはありますか？

まだバンドセットでライブをやったことがないからバンドで歌ってみたい。私よりも上の世代の方が聴いて「なんか若い頃を思い出すなあ」って感じるような、青春パンクみたいな楽曲にチャレンジしてみたいです。

──自分よりも上の世代から聴いてもらいたいっていう気持ちがある？

そういった世代の方に聴いてもらえるのもうれしいし、ちっちゃい子とかに聴いてもらえるのもうれしいです。「前髪切りすぎた」のリリース時に、イオンでいろいろイベントをやったんですけど、家族連れの方がいっぱい遊びに来てくれて。ちっちゃい子たちが「前髪切りすぎた」で一緒に「ちょきちょき」って振り付けをやってくれたのがすごいかわいくてうれしかったですね。前髪が短い子もたくさんいて（笑）。

──ほのぼのする光景ですね。最後に三戸さんがアーティスト活動の中で伝えたいことを教えてください。

前髪を短く切ってから10年以上経つんですけど、自分がしたいことを続けてたらこうやって夢が叶って、前髪の歌が出せました。だから周りからどう思われようと、続けていたら道が開けていくっていうことを見てくれる人に感じてもらえたらいいなって思います。