音楽ナタリー Power Push - 三森すずこ

みもりんが語る「Light for Knight」みもりんが振り返る「Fun! Fun! Fantasic Funfair」

あとは気迫とアドレナリンで勝負するしかない

そしてタイトルとは裏腹に性急なビートとヌケのよいストリングスを聴かせる「ちいさな手と観覧車」と、ブラスとチェンバロの音色がパレードを思わせる、kz(livetune)によるハードダンスチューン「Wonderland Love」に客席が熱いコールを送ったところで、“Fantasic Funfair”のすべての“アトラクション”は終了。“支配人”が「みなさんのおかげで最高のライブになりました!」と投げキッスしたところで緞帳が下り、文字通り舞台の幕は閉じられた。

──アルバムの最後2曲を飾る曲であり、ライブでも本編の最後を飾った「ちいさな手と観覧車」と「Wonderland Love」もアルバムとライブでは聞こえ方が変わって面白かったんですよ。アルバムリリース時、三森さんはこの2曲は単なる「めでたしめでたし」という曲ではなくて「Fantasic Funfair」という迷宮に迷い込ませる曲でもあるとおっしゃっていた。

そうですね。

──でもライブでは大団円にふさわしい、まさに「めでたしめでたし」の曲として機能していました。

ありがとうございます。……でもなんでなんだろう?(笑)

三森すずこ

──あっ、そう聴こえたのはこちらの受け取り方の問題であって、パフォーマンスの問題ではない?

うーん……。もし何か私がしたことがあるとしたら、歌い手であると同時に「Fun! Fun! Fantasic Funfair」という遊園地の支配人でもあるという感覚でステージに上がっていたことと、「しっかりリハーサルを重ねてステージに上がったら、あとは気迫とアドレナリンで勝負するしかない」と思っていたことくらいだと思いますし。あの2曲を歌ってるときは「支配人としてクライマックスをきっちり締めくくらなきゃ」という思いがあったし、あとそのクライマックスを無事迎えられそうだということで気迫から解放された感じもしていて。そういう心境が声やダンスに乗ったからハッピーエンドっぽく聴こえたのかもしれないな、という気はします。

火事場というより戦場です!

──あれだけ計算し尽くされた演出を連発したライブを、気迫や「気がします」という感覚で自分のものにできるのってかなりすごいことだと思います。

キレイな白鳥は水の下では必死で足を掻いているみたいな話なんですけど、ホントに気迫だけで動いてたりするから、水の下であるところの舞台裏、特に着替えてるところなんか絶対にお見せできない状態になってますけどね(笑)。

──確かにあれだけ何度も早替えをしているとなると、バックステージは火事場みたいなことになってるだろうなっていう気は……。

火事場というより戦場です!

──あはははは(笑)。

「せいいっぱい、つたえたい!」を歌い終えてメリーゴーラウンドと一緒に奈落に降りていったあと、ステージ奥の階段ステージで「Heart Collection」を歌うためにエレベーターに乗るんですけど、そのエレベーターの中で服を脱いで、エレベーターホールで衣装とともに待ち構えているスタッフさんにされるがままにドレスを着させられて、そのままソファに腰掛けて「Heart Collection」を歌う、みたいな感じだったので(笑)。

──その「Heart Collection」の直後には「Spinning Stars」でフライングも見せてましたよね。

そうだった! ドレスを着つつハーネスも付けて、そのチェックを受けてから、すました顔してソファに座って「Heart Collection」を歌って、直後には「Spinning Stars」で飛んでました(笑)。だから早替えの練習も何十回としたんですよ。右足担当、左足担当、右の手袋担当、左の手袋担当って感じで1着ごと……じゃないな。パーツごとに担当の衣装さんが何人もいらっしゃったので、その人たちと段取りを決めて。パニエとかスカートとか、次に着るものをドーナツ状に置いておいてもらって「じゃあ私はエレベーターを右足から降りますから」ってことでまずスカートに右足を突っ込んで万歳したら、衣装さんたちが私にスカートとパニエを履かせつつ、上着を着せるって感じで(笑)。

──ご自身で総括するに今回のライブっていかがでした?

もう気分爽快でした! アンケートに「1カ月公演で観たい」って書いてくださった方がいたんですけど、私も1カ月くらいやりたかったですね。ああいうミュージカル的、レビュー的な要素を取り入れたライブって私だからできることではあると思うし、本物のレビューっぽく、何回も同じステージを重ねてみたらクオリティは上がるはずだし、でも「毎回同じ演目なのに何かがちょっとずつ違う」っていう面白さも生み出せるはずですし。

──しかも今後楽曲が貯まれば演目がさらに増えるはずだし、あとレビュー的構造を持っているなら過去のライブのリバイバル公演をやっても面白そうですよね。「三森さんの演目では『○○』が一番好き」とか「みんながホメてた『××』を再演するならぜひ観たい」って楽しみ方ができそうだし。

そうなんですよね。去年のツアーと、今回のアンフィシアターでのライブを通じて、そういう私にしかできない“三森すずこのライブ”が形作れた気はしているので、これからもこのスタイルを突き詰めていきたいなって思ってます。

三森すずこ
ニューシングル「Light for Knight」2015年10月21日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤[CD+DVD+ブックレット]1820円 / PCCG-01491
通常盤 [CD]1350円 / PCCG-70203
CD収録曲
  1. Light for Knight
  2. スマイリウム
  3. Light for Knight[Instrumental]
  4. スマイリウム[Instrumental]
初回限定盤DVD収録内容
  • 「Light for Knight」MV
  • 「Light for Knight」MVオフショット
  • 「Light for Knight」MVメイキング
DVD / Blu-ray「Mimori Suzuko LIVE 2015『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』」2015年11月25日発売 / ポニーキャニオン
Mimori Suzuko LIVE 2015『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』
Blu-ray Disc 8424円 / PCXP-50358
DVD 7344円 / PCBP-52384
収録内容
本編映像
  1. Fantasic Funfair
  2. ときめいてDream
  3. 純情 Da DanDan
  4. ROLLER COASTER♡
  5. Traveling Kit
  6. せいいっぱい、つたえたい!
  7. Heart Collection
  8. Spinning Stars
  9. ハーモニア
  10. ちいさな手と観覧車
  11. Wonderland Love

<アンコール>

  1. 夢見る!信じる!未来叶えて!
  2. みんなでイエー☆オーッ!!
  3. ユニバーページ
特典映像

6月27日公演アンコール

  1. 会いたいよ…会いたいよ!
  2. グローリー!
  3. ユニバーページ

7月11日公演アンコール

  1. グローリー!
  2. みんなでイエー☆オーッ!!
  3. ユニバーページ
  • DANCE SHOT COMMENTARY
  • MAKING of『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』
三森すずこ(ミモリスズコ)
三森すずこ

東京都生まれの声優、ボーカリスト。ミュージカル女優として活動したのち、2010年アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォード役で声優デビュー。以来同シリーズや「神様はじめました」「ラブライブ!」など人気作で主要キャラクターを演じる。また2010年には「ミルキィホームズ」の出演声優からなる同名ユニットとしてCDデビューを果たし、以降「Animelo Summer Live」に毎年連続出演。さらに「ラブライブ!」の劇中ユニットμ’sの一員として2014年にさいたまスーパーアリーナで2DAYS公演を行うなど、活発な音楽活動を展開する。そして2013年4月にはシングル「会いたいよ…会いたいよ!」でソロデビューし、同7月には2ndシングル「約束してよ?一緒だよ!」、10月には初のアニメ主題歌となる「ユニバーページ」を三森すずこ名義でリリース。また2014年4月には1stアルバム「好きっ」を、翌年4月には1年ぶりの2ndアルバム「Fantasic Funfair」を発売している。そして2015年10月には1年2カ月ぶり、5枚目のシングル「Light for Knight」をリリース。また翌11月には、6~7月に千葉・舞浜アンフィシアターで行った「Fantasic Funfair」リリース記念ライブの模様を追ったライブDVD / Blu-ray「Fun! Fun! Fantasic Funfair」を発売する。