前世はインド人だったのかも

──その他の曲についても訊いていきたいのですが、まず1曲目、「MadNesS Vol.3」にはガツンとヤラれました（笑）。

あははは！（笑）「MadNesS」はインディーズのアルバムから必ず1曲目に入れてるシリーズで、今作が3回目。毎回プロデューサーとも「1曲目だけは絶対自由にやろうね」って決めているんです。今回も全13曲中で一番ブッ飛んだものになったかもしれない。

──だって、テーマは“インド”……。

ビックリしたでしょ？ 最初はすごくカッコいいダブステップのトラックだったんですけど、もうちょっとフザけてる感じが欲しいと思って、「ちょっとインドっぽくしてくれへん？」ってムチャぶりして（笑）。元々インドに行きたい願望がすごい強くて、そのときもちょうどそういう気分だったんです。

──でも、プロデューサーは困ったでしょうね（笑）。

うん。「ええっ!?」とか言われて（笑）。でもその場で一緒にシタールの音を入れたり、少しずつインドっぽくしていって。MiChiも適当ながらインドっぽい歌い方をしてみて、やっぱり遊び心は重要だよねっていう結果に落ち着いたんですよね。

──どうしてインドが好きになったんですか？

まだ行ったことはないんだけど、インドの音楽も好きだし、なんか惹かれるところがあって。多分、前世はインド人だったのかなって感じ（笑）。父が若いときから何回も行ってるんで、それも影響してるのかもしれないけど。

自分をさらけ出すことに抵抗はない

──6曲目の「Special Someone」は、いい意味でMiChiさんらしくない楽曲ですね。すごく聴きやすくて、今までMiChiさんに触れたことのないリスナーも入りやすいかもしれません。

この曲はシンプルなポップロック。アルバムで唯一の恋愛ソングですね。元々この曲は7年前からあったんですけど、サウンドをブラッシュアップして、歌詞も最初の全英語詞を直したので結構ガラッと変わりましたね。

──7年前からずっと温めてた？

温めてたっていうわけじゃないんだけど、長年そのままにしてて、なんとなく今回やってみようか？ってなって。

──すごく切ない歌詞ですが、サウンドは踊り出したくなるくらい明るいですよね。

そう。この主人公はもう吹っ切れてる感じというか、前向きな“Good-bye”のメッセージが詰まってるって感じかな。

──10曲目の「もっと。」は、このアルバムの中で唯一のMiChiさん作詞作曲のナンバーですね。これも「THERAPY」と同じくらい、今作で重要な意味を持つ曲かなと思ったんですが。

ゆっくり聴けるっていう曲の雰囲気もあるだろうけど、確かにそういう位置付けにはなるかな。この曲は詞とメロディが同時に、何も考えずギター弾いてるときにポロッと出てきたものなんです。そのときのすごく素直な、何も飾ってない感情をそのまま表現してますね。

──日常を生きてて感じるもどかしさや葛藤、誰にも言えない孤独、いろんな状況での「もっともっと……」っていう気持ちがすごく伝わってきました。ここまで自分の気持ちをさらけ出すのはどうでしたか？

全然抵抗はないですね。最初はちょっと恥ずかしかったかもしれないけど、自分をさらけ出さないと絶対思いは伝わらないと思うし。

──あと、音もすごく生っぽくて。

元々アコギ1本で作ってたものに、今回は少しアレンジでストリングスを入れたくらいですね。ライブでもずっとアコギで弾き語りをしてるし、この曲はとにかくシンプルにしたかったんです。

──そのくらい歌に寄った曲にしたかったということですか？

そうですね。これからも、こういう曲はもっと増やしていきたいです。