ナタリー PowerPush - MERRY

試練を超え“ZERO”から再始動

ロックの神様には今年は試練しか与えてもらってない(笑)

──もうひとつの収録曲「ワルツ」は、MERRYらしい切なさが感じられる曲ですね。

ガラ 「ZERO -ゼロ-」との振り幅の広さを考えたというか、真逆にあるような曲なので。哀愁だったり、物悲しさみたいなものも“MERRYならでは”という感じがあるし。こういう曲は俺らも欲しいし、みんなも聴きたいと思うんですよね。ただ、いつも同じ味ではなくて、何かがプラスされていたり、進化したものじゃないと「またこういう曲か」ということになっちゃうので。自分が飽き性っていうのもあるんですけど、「どう変わっていけばいいか?」というのをすごく考えるようになったし。

テツ(B)(撮影:中島たくみ)

──変化を求めてる?

ガラ 変化がないと、進化もできないですからね。5年後、10年後も第一線でバンドをやっていくためには、今どういう曲を残しておけばいいのか、どういう活動をすればいいのか。ガラとしてどう歌っていけばいいか……。今回のテツさんの怪我も、そういうことを考えるきっかけになってるんですよ。俺が腰をやったときもそうなんだけど、ボーカリストに何かあったらバンドって止まるじゃないですか。でも楽器を弾くメンバーが怪我しても、GOを出したわけですよね。それってどういうことなんだろう?っていう。

──もちろん、そのときの状況によっても違うんでしょうけど……。

ガラ 何が正解で何が間違いかっていうのはわからないんですけど、「対バンツアーじゃなくて、ワンマンだったらどういう判断をしたんだろう?」とか、いろいろと考えて。それって「バンドって何?」っていう疑問につながると思うんですよね。さっきネロが「テツさんがいつ戻っても大丈夫なように」って言ったけど、バンドとしてはメンバーが進化してテツさん本人が「もっとがんばらないと戻れない」と思うような状況のほうが盛り上がるんじゃないか、とか。

ネロ うん。さっきは場を気にして言いました(笑)。

ガラ (笑)。そういうことを含めてホントにいろんなことを考えてますね、ここ最近。でもMERRYをやってるのは、やっぱりファンのためなのかなって思ってますけどね。曲を作っても、聴いてくれる人がいないと成立しないし。対象がいるっていうのは、すげえことなんだなっていう。発信者としてステージに立っている以上、何かを届けなくちゃいけないっていう使命感もすごく感じてますね。まあロックの神様がいたとしたら、今年は試練しか与えてもらってないけど(笑)。

すげえアルバムができるはず

──「ZERO -ゼロ-」のリリースに伴う全国ツアー「devour act 3 —CHAOS—」も、MERRYにとって大きな意味を持ちそうですね。今回もゲストバンドを招いたツアーになってますが、そのラインナップ(EGG BRAIN、鴉、THE CHERRY COKE$、ギルガメッシュなど)がすごく個性的だな、と。

ガラ 今、俺らに刺激をくれるバンドばかりなんですよね。ギルガメッシュはイベントでよく一緒になってたんですけど、ツーマンは初めてだし。ギルガメッシュも休んでる時期があって、ボーカルの左迅と「また一緒に刺激的なことをやろう」って話してたんですよ。あと、入院してるときにお見舞いにきてくれましたからね、フルーツを持って(笑)。

ネロ あはははは(笑)。

ガラ(Vo)(撮影:中島たくみ)

ガラ THE CHERRY COKE$はもともとネロがベースのHIROMITSUさんと仲がよくて。俺らの野音にも来てくれたんですけど、その2日後くらいに飲みの席でたまたま会ったんです。で、今度は俺がチェリコのライブに行ったら、「こういうことがやりたかったんだよ!」って思うくらい、ドンピシャの世界観で。

ネロ THE CHERRY COKE$と一緒にやれるのは、感慨深いですね。チェリコみたいな音楽をリスペクトした曲も作ってるし、それがMERRYのライブの定番になったりしてるので。

ガラ うん。鴉は以前にも一緒にツアーを回ったことがあるんですよね。メロと歌詞、曲がとにかくよくて。

──鴉の曲にも哀愁みたいなものが込められてますよね。

ガラ 自分たちとすごく近いものを感じるんですよね。EGG BRAINももともとはネロの知り合いなんだけど、今、一番脂が乗ってるバンドだし。

ネロ 人間的に好きなバンドが集まってくれた感じですね。

ガラ あ、そうかもね。バンド自体もそうだけど、人間的な部分が大きいかも。

ネロ 自分たちのお客さんにも、いろんなバンドを観てほしいし。こういう環境をもっともっと作っていきたいと思ってるので。

ガラ ここから新しいことが始まる予感もありますからね。

──来年はさらに体制を整えて、スピードを上げていくことになりそうですね。

ガラ そうしたいですね。アルバムもそろそろ出したいと思ってるし、自分の中ではアルバムのテーマだったり、「こういうタイトルにしたい」というのも出てきてるので。ROTTENGRAFFTYをはじめ、いろんなバンドと一緒にライブをすることも増えてるから、それも何かのカタチとして残したいし。

ネロ この2年間のいろんな刺激をMERRY流に料理して、作品として出せればなって。すげえアルバムができるはずだって、自分たちもワクワクしてますね。

ガラ 「ZERO -ゼロ-」をリリースすることでさらに世界が広がることも信じてますから。とにかく自分たちから動いていきたいです。

ニューシングル「ZERO -ゼロ-」 / 2013年11月6日発売 / FIREWALL DIV.
初回限定盤A [CD+DVD] 1890円 / SFCD-123~4
初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / SFCD-125~6
通常盤 [CD] 1260円 / SFCD-127
CD収録曲
  1. ZERO -ゼロ-
  2. ワルツ
  3. 絶望 feat.NOBUYA & N∀OKI from ROTTENGRAFFTY(※通常盤のみ)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. ZERO -ゼロ- (MUSIC VIDEO)
  2. MAKING OF 「ZERO -ゼロ-」
初回限定盤B DVD収録内容
  • 復活ドキュメント 20130213-20130810
MERRY(めりー)

2001年にガラ(Vo)を中心に結成された5人組バンド。全国のインディーズショップへのデモMDばら撒きやシークレットライブを繰り返し活発に活動していくとともに、激しさと憂いの両方を内包したサウンドで頭角を現していく。2003年には東京・日本青年館で初のホールライブを行い、清春のレーベル「FULLFACE RECORDS」から1stアルバム「現代ストイック」を発表するなど、個性的な活動を展開。2005年9月にアルバム「nuケミカルレトリック」でメジャーデビューを果たし、2006年からはドイツやフランスをはじめとする海外公演やCDリリースなど、ワールドワイドな活動を行う。2009年にDIR EN GREYらが所属するFIREWALL DIV.に移籍し、コンスタントに新作のリリースやライブを重ねる。2013年2月よりガラの椎間板ヘルニア悪化に伴い一時活動休止するも、同年8月より活動を再開した。