ナタリー PowerPush - May'n

充実の日々と渇望の歌

「Re:REMEMBER」と「誰がために」は表裏一体

──カップリング曲「誰がために」も藤林×NAOKI-Tコンビの楽曲で、サウンドは異なるものの世界観としては近いものを感じました。

「誰がために」も、「M3~ソノ黒キ鋼~」のオープニングテーマ候補として作ったんです。最後まで競い合って最終的に監督(佐藤順一)が「Re:REMEMBER」にしましょうとおっしゃって決まりました。

──なるほど。「誰がために」もアニメを意識した曲だったんですね。サウンド面も含め「Re:REMEMBER」とは表裏一体というか。

May'n

はい。伝えたい思いや表現した世界観は同じなんですけど、「誰がために」では葛藤する思いをより強く歌っていると思います。戦わなければいけないけど本当は戦いたくない、強くなりたいけど強くなることが怖いと感じている自分もいる、という気持ちですね。

──ちょっと意外なのが、アニメのオープニングテーマとして考えたとき、どちらかと言うと「誰がために」のほうがアニメ的だと思うんです。こちらが勢いもあるし、そもそもオープニングでスローナンバーってちょっと珍しいですよね?

そうなんです。台本を読んだときに、敵でさえも過去のドラマが細かく描かれた作品だなと思ったので、その心情をじっくりスローナンバーで歌うのは素敵だなと思ったんです。でも普通ならアニメのオープニングテーマだとこっち(「誰がために」)だよなって思ったのですが、その“普通”という固定観念が、いつの間にかキャリアを重ねる中で私の中にもできてしまっていました。それをいい意味で壊してくれた監督の判断には感謝しています。もちろん「誰がために」も強い思いを込めて作った曲なので、こうして同じシングルの中で聴いてもらえるのはすごくうれしいです。

May'nの10年とシンクロした「カタツムリ」

──そして3曲目の「カタツムリ」は台湾の歌手ジェイ・チョウさんのヒットソング「蝸牛」を日本語でカバーしたものですが、なぜカバー曲を入れようと思ったんですか?

台湾ではこれまでにも何度かライブをさせてもらっているんですけど、足を運ぶたびに台湾の音楽もチェックしていて、ジェイ・チョウさんの曲もよく聴いていたんです。最近、私の作品が台湾でリリースしていただけるようになったこともあり、私ももっともっとアジアの皆さんにも歌を届けていきたいな、と思っています。そんな中で、台湾で絶大な支持を誇るジェイ・チョウさんの曲をカバーさせていただきたいなと思って、「蝸牛」を歌わせていただきました。

──中でもこの「蝸牛」をセレクトした理由は?

ジェイ・チョウさんの楽曲の中でも特に好きな1曲です。中国語は独学で学んでいたので、歌詞は大体の意味で聴いていたのですが、10年目を迎えた今の自分にぴったりな歌だなと思ったんです。

──自身の10年間とシンクロするものがあったと。

はい。1歩1歩ゆっくり歩いていこうというメッセージにすごく共感して、ぜひ歌ってみたいと思い選ばせていただきました。

「47都道府県ライブ実現!」で目標達成ではない

──先日は現地台湾での「カタツムリ」生披露も実現しました(参照:May'n、10年目のスタート飾る台湾ライブがニコ生中継 / May'n、東名阪で初ワンマン再現ライブ「Re:May'n☆Act」)。海外公演も含めツアーは着々と進んでいますが、現在のところ手応えはいかがですか?

念願だった47都道府県でのツアーがようやく実現しました。各地をくまなく回るツアーだからこそ、初めての方にお会いできてるなと実感します。もっともっとたくさんの人に自分の足で会いに行きたいと思って始めたツアーだったので、各会場を一緒に回ってくださる方はもちろんですが、会場の中がほとんど初めての方で、しかもその街に住んでいる方だったりすると本当に来てよかったなと思いますし、今回のツアーは今まで以上に小中学生のお客さんがいっぱいなんです。自分が住んでいる街だからこそ行けるという方は多いと思うんです。

──確かに。地方に住んでいる小中学生だと、遠くの街まで“遠征”してライブを観るのはハードル高いですもんね。なんだったらチャリで行けたりする。

そうなんです! 自転車で来られる方がすごく多いですね。

──自転車置き場が大混雑(笑)。そう考えるとはじめましての方が多いのは必然で、47都道府県くまなく回ると謳われているから、いつもなら遠征している人も「ようこそ!」と地元にMay'nさんを迎え入れるような気持ちで観ているかもしれないですね。

初めての人だとやっぱり照れがあるから、最初は周りをキョロキョロ見てるんです。そういうお客さんを見つけて「見えてるよ! 動きたいなら自由に動いていいんだよ!」って声をかけて(笑)。そうするとだんだん手を振ってくれる人が増えてきて、最後には見たことないぐらいの一体感が生まれるんです。そうやって1本のライブの中で気持ちがどんどん変わっていくのを見ているとすごく幸せです。改めて音楽の力ってすごいなって思うし、やっぱり自分の足で会いに行かなくちゃダメだなって思います。だから「ついに47都道府県ライブが実現しました。目標達成!」で終わりじゃなく、今後もずっと続けていきたいですね。

ニューシングル「Re:REMEMBER」/ 2014年6月18日発売 / FlyingDog
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / VTZL-81
通常盤 [CD] 1404円 / VTCL-35184
CD収録曲
  1. Re:REMEMBER [作詞:藤林聖子 / 作・編曲:NAOKI-T]
  2. 誰がために [作詞:藤林聖子 / 作・編曲:NAOKI-T]
  3. カタツムリ [作詞・作曲:周杰倫 / 訳詞:地宗明香 / 編曲:NAOKI-T]
  4. Re:REMEMBER(without May'n)
  5. 誰がために(without May'n)
  6. カタツムリ(without May'n)
初回限定盤DVD収録内容
  • Re:REMEMBER(MUSIC VIDEO)
May'n(メイン)
May'n

1989年10月21日、愛知県名古屋市生まれ。幼い頃から歌手を目指し、中学生のときに「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストに残りデビューのきっかけをつかむ。2008年に本名から「May'n」へと改名し、同年4月より放送されたアニメ「マクロスF」で作中に登場する歌姫シェリル・ノームの歌声を担当。「シェリル・ノーム starring May'n」名義によるシングル「ダイアモンド クレバス / 射手座☆午後九時 Don't be late」が大ヒットを記録した。2010年1月には初となる日本武道館単独コンサートを開催。同年3月には初のアジアツアーを大成功に収めた。2014年2月からは2015年のデビュー10周年に向け、日本全国47都道府県ツアーを含む世界規模のツアー「May’n Road to 10th Anniversary Japan & World Tour 2014-2015『dots and lines』」を実施中。6月18日には2014年第2弾となるニューシングル「Re:REMEMBER」を発表した。