kzさんはホントは女の子なんじゃないかって

──作詞は苦労しませんでしたか？

kz　イベントでは「スムーズに作りました」なんて言っちゃったんですけど、正直あれはその場のノリで言っちゃって……（笑）。

May'n　かなりギリギリだったんです（笑）。

kz　あの突き抜けたラゾーナ川崎の空気に当てられちゃって（笑）。ラゾーナは憧れの場所だったので、うれしくなってついポロッと言っちゃったんですけど、実際は苦労しました。

May'n　私は「抱き寄せて 願い事 誰にも触れさせないの」というフレーズが大好きで、kzさんはホントは女の子なんじゃないかって思うぐらい共感しました（笑）。自分が感じていた恋への思いを、すごく的確に言葉にしていただいたと思います。

kz　女の子の曲を作るときのほうがなぜかスムーズなんです。ただやっぱり僕ら男性が書くと、どうしても女性への理想を何割増しかで書いちゃうんですね（笑）。そこが妄想で終わっちゃうのか、ギリギリのところでフィットしているのかは女の子にしかわからないと思うので、そう言ってもらえるとうれしいです。アニメの主人公である“いなり”という子は、自分を変えたいという思いを強く持っている女の子で、男性側からも共感できる部分がキャラクターとしてあるので、そこは歌詞に反映させやすかったかもしれないです。

May'n　歌詞も含めて、アニメとのバランスが完璧に取れた曲を作ってくださいました。作品のファンの方が聴いたらすごく納得してもらえると思います。

タイトル決めはいつも「それでは聴いてください」

──しかしこの「今日に恋色」って、ちょっと不思議なタイトルですよね。

May'n　タイトルはけっこうギリギリまで決まらなかったんです。候補をいっぱい挙げて、途中ヘンな方向に行ったりもしましたけど（笑）。

──いくつもの候補からここに落ち着いた、最終的な決定打は何だったんですか？

May'n　最初にkzさんが持ってきてくださったのが「今日に恋色」に近いものだったんです。私はちょっとフックのあるタイトルが好きで、歌詞の印象として「に」という言葉が強く残ったから、「“今日に恋色”はどうですか？」って提案しました。

kz　僕はタイトルを決めるのにこうやってみんなで話し合ったことがなかったから、すごく勉強になりました。面白かったのが、「これどうだろう？」って話になると、May'nさんがライブのMCを想定して言ってみるんですよ。「それでは聴いてください。今日に恋色」って（笑）。

May'n　私いつもそうなんです（笑）。字面だけ見ていいと思っても、声で発したときにあまりよくなかったりするので。

kz　確かにタイトルを一番使うのってそこだから、あれはすごく理にかなっていますね。May'nさんが声にした瞬間に「これだな」って思ったし。

May'n　でもkzさんはkzさんで、「ちょっと待って」って言ってパソコンでタイトルの文字をデザインして、縦書きとか横書きでいろいろ試したりして（笑）。

kz　ああ、僕はそうですね（笑）。Photoshop立ち上げて並べてみたりしながら。「こんな感じスかね？」って着色してみたり。

シュワシュワ多めでお願いします

──kzさんがもし次にMay'nさんの曲を作るとしたら、どんな曲が想像できますか？

kz　今回はアニメのテーマソングということで、当然アニメの世界をワンクッション挟んだ関係性でしたけど、なんの前置きもなしにMay'nさんというアーティストに曲を提供するなら、きっとまた全然違うものになるでしょうね。彼女はハードな楽曲が多いけど、僕の感覚に沿ったハードな曲を作ったらどうなるかなというのは考えますね。でもお話を聞いてると、僕には女子的なものを求められているのかな（笑）。

May'n　私自身、強い女性像やハードな楽曲を歌うのが「May'nらしさ」だととらえているんですけど、内側にはやっぱり女の子な部分があるので（笑）。今回は自分も知らなかった素の自分を引き出していただいたような気がするので、livetuneさんにはどこか切なくて疾走感のある……自転車で駆け抜けるような曲を作っていただきたいです。

kz　「自転車で駆け抜ける」は最初にお話したときに出たキーワードですね。じゃあ今度はそれに加えて、電子音多めのものを作ります。

──シュワシュワしたものを（笑）。

May'n　シュワシュワ多めでお願いします（笑）。

──もし「livetune adding May'n」だとしたらまた違う発想になるでしょうね。

kz　そうですね。そうなると僕が「こう歌ってほしい」というのをもっと明確にお願いするかもしれないです。彼女は1つの節回しでも何通りもの歌い方を持っていると思うので、いろんな可能性が見てみたいですね。