MASHならわかってもらえるんじゃないか(三原)

三原 フレデリックもインディーズの3年間くらいうまくいってなかったよ。大阪では、自分たちの存在意義が感じられなくて。

岩渕 へえー! そうやったんですね。

三原健司(フレデリック)

三原 うん。ブッキングや対バンが面白いライブハウスを探すところから始めてさ。アルカラ、踊ってばかりの国、キュウソネコカミ、女王蜂とか。すごい人たちが集まってんのが神戸で、その界隈に行けば楽しいことが待ってるんじゃないかって。ビルの中にハコが2つあるところでサーキットっぽく10バンドくらい出る「ビルジャック」ってイベントがあったり、そこにHAPPYの前身バンドがいたり。とにかく刺激的で、入り浸ってた。

四方 めっちゃ楽しそうじゃないですか!

三原 いやいや、広がっていく感じはないんだよ。で、さすがにそろそろ自分たちの実力をちゃんといろんな人に認めてほしいなと思って。ほんで、オーディションやコンテストにたくさん応募してみたの。

岩渕 その中にMASHが?

三原 そう。当時のドラマーが「俺らに合うんちゃうか?」って持ってきたのが「MASH FIGHT」やったの。

四方 何がよかったんですか?

三原 オーディション全般の1次審査ってだいたい味気ないのが多かったけど、MASHはYouTubeの動画審査で、あとはグッズとかもチェックしてくれる感じやったから、かなり魅力的でさ。俺らはMVを手作りしてたり、グッズのイラストを弟の康司が手描きでやってたり。そういうところも汲んでほしいと思ってたし、どれだけ自分たちでマネジメントできてるかも含めた審査をするMASHなら、フレデリックの強みをいろいろわかってもらえるんじゃないかって。

岩渕 そう言われると、確かに合ってる感じしますね。

三原 ファイナルが2012年の年末。俺たちは2012年がバンド的に勝負の年だと思ってたから、「ここで優勝できなかったら、解散しかないよな」って話してて。

岩渕 マジすか!?

三原 年齢とか考えてもギリギリやった。結局グランプリはオーラルで、その発表直後に「どうしても残したい」って言われて特別賞をもらったっていう。けどさ、特別賞で事務所に入ることは決まっても、今後どうなるのかわからんやん?

四方 なるほど。

三原 オーラルと違って優勝特典のステージなんかもないしさ(笑)。優勝やったら気持ちよく入れるけど、特別賞……うーん、みたいな。首の皮一枚でつながったのかどうかすら怪しくて。そんな低空飛行感でフレデリックはMASHに所属することになって。

岩渕 でも、MASHの雰囲気をたぶんめっちゃよくしてくれたと思いますよ。フレデリックとオーラルで。

三原 オーラルと一緒に入れてよかったと思う。年を重ねれば重ねるほど実感してるね。フレデリックとオーラルが入った頃はまだ会社さえちゃんと設立されてない状態で、それまではオーラルと「俺らどうなるん?」って話をしたりしつつ、お互いの絆を深め合えたりもして、結局は全部をみんなで作り上げていく感じでさ。オーラルへの嫉妬もあったけど高め合いたい気持ちもあったな。

「ビルジャック」的なものを僕らが作りたい(岩渕)

岩渕 パノラマパナマタウンは神戸の太陽と虎っていうライブハウスにずーっと出てて、学生のときから。そこ以外にホームがなかったんです。

三原 入り浸ってたんやな(笑)。

岩渕想太(パノラマパナマタウン)

岩渕 最初はいろんなところにデモを出してもいたんですよ。だけど、タイトラに送ったときに店長さんが「絶対に1度ライブが観たい、無料でいいから出てほしい」って言ってくれて。僕ら何の経歴もなくて、「学生が遊びでやってまーす!」みたいなバンドやったのに。

四方 熱いですね。

岩渕 それまではノルマを払ってやっとライブさせてもらえる感じだったんで、タイトラっていう有名なハコが自分らみたいなモンにそんな言葉をかけてくれるなら、絶対に出ようと思った。

三原 最高やん。出るよな、そりゃあ。

岩渕 はい。MASHでグランプリを取る前の年、2014年の12月か。初めてタイトラに出て。ホンマに無料でやらせてもらったんですけど、一応その日の精算があって。特にお金のやり取りはなく、店長と事務所で話す時間。

三原 うんうん。

岩渕 そのときに開口一番「お前ら、絶対に音楽を続けたほうがいい。学生の遊びで終わるんじゃない! 就職はするな」って言われて。

四方 すごい。

岩渕 実際「すごいこと言うな、この人」と思ったよ。続けて「絶対フレデリックみたいになれるぞ」って。

三原 マジか! ええ話やんかー。

岩渕 でしょ? タイトラの店長って、フレデリックがグワーッと行くまでの過程を見てるじゃないですか。

三原 うん。めちゃくちゃお世話になった。

岩渕 だから、妙に説得力があって。帰り道に「もうちょっと真面目にバンドやってみよう」ってメンバーで話して、翌年のオーディションに応募しまくったんです。大学3年のときやったので、就活シーズン前にできる限りのことは全部トライしてみて。その中の1つがMASH。

四方 カッコいい。

岩渕 いや、俺らめっちゃバカやったで。MASH A&Rにフレデリックがいることは知らなかったんやもん(笑)。

三原 知らんのかい!

岩渕 知ってたなら、話の流れとして美しいのに! 「フレデリックみたいになりたくて、だからMASHに応募した」みたいな優等生感はなく(笑)。MASHのことすらよく知らなかった。ドラムの(田村)夢希がただいろんなオーディションに出してただけ。で、セミファイナルへ進んだ連絡をもらったときに、僕は初めてMASHについて調べて。それが2015年の4月くらいなんですけど、「うわっ! フレデリックがいるところや!」って。

三原 わはははは!(笑)

岩渕 いろいろ運がよかったんですよ。転機と言うか。「MASHのオーディションで優勝できたら、就活は辞めてバンドでやっていこう」って言ってたし、メンバーの親もゴネてて、優勝して事務所に入るくらいじゃないと息子に音楽をやらせてくれない感じで。

四方颯人(YAJICO GIRL)

四方 フレデリックもパノパナもすごいですね。僕ら「優勝しなきゃ!」って感じではなかったから。

岩渕 ヤジコってさ、グランプリ取ったんが早いやん。大学2年のときやろ?

四方 そうですね。パノパナより1個早いタイミングやったから、就活もまったく気にせず(笑)。

三原 パノパナは神戸でよかったんだね、巡り合わせとかが。

岩渕 そう思いますよ。パノパナを始めた頃って、さっき健司さんが言ったような「ビルジャック」みたいなイベントがもうほぼなくて、憧れていた人たちはだいたい東京に行っちゃって、神戸のシーンにやや活気がなかった時期だったけど。でも、まだ何かを起こせそうな感覚もないわけじゃないんですよね。ライブハウスとツルんだりもできる。自分たちの好きなバンドを全国からタイトラに呼ぶ「パナフェス」っていう企画も3回やってて、「ビルジャック」的なものを僕らが作りたい気持ちはあるんです。

三原 MASHが西日本勢ばっかりやから、自然と「ビルジャック」化してきてる感もあるけどな(笑)。

MASH A&Rとは?
MUSICA、A-Sketch、SPACE SHOWER TV、HIP LAND MUSICの共同出資により発足した株式会社。新しい才能やセンスを持ったニューカマーたちをオーディションで選出し、彼らと共に音楽制作・育成を通してロックシーンに変革を起こすべく、2013年5月に設立された。現在、THE ORAL CIGARETTES、フレデリック、LAMP IN TERREN、パノラマパナマタウン、Saucy Dog、YAJICO GIRLの6組が所属している。
MASH A&R 「FINAL MATCH」

2017年12月3日(日)東京都 WWW
OPEN 16:00 / START 16:30(予定)

出演者 オーディションアクト:スロウハイツと太陽(1st Season MATCH 優勝者) / zanpan(2nd Season MATCH 優勝者) / 3rd Season マンスリーアーティスト 数組
ゲストアクト:Saucy Dog / YAJICO GIRL
MC:藤田琢己
チケット:前売1000円

MASH A&R presents「MASHROOM 2018」

2018年1月21日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 15:00 / START 16:00

出演者 THE ORAL CIGARETTES / フレデリック / LAMP IN TERREN / パノラマパナマタウン / Saucy Dog / YAJICO GIRL
オープニングアクト:「MASH FIGHT! Vol.6」グランプリアーティスト(予定)
チケット: 3900円

フレデリック
2009年6月結成。三原健司(Vo, G)と三原康司(B, Vo)の双子と、赤頭隆児(G)、高橋武(Dr)の4人からなる。幅広い音楽要素から生み出されるユニークなサウンドと、アッパーなライブパフォーマンスでファンを増やしている。2012年に「MASH FIGHT!」にて特別賞を受賞。2014年3月に柏原譲をプロデューサーに迎えたミニアルバム「うちゅうにむちゅう」を、同年9月にメジャーデビュー作となるミニアルバム「oddloop」を発表した。2016年10月に1stフルアルバム「フレデリズム」を、2017年8月にアニメ「恋と嘘」のオープニングテーマ「かなしいうれしい」をシングルとして発表。10月にメジャー4枚目のミニアルバム「TOGENKYO」をリリースした。2018年4月には初のアリーナでのワンマンライブが神戸・ワールド記念ホールにて決定している。
パノラマパナマタウン
岩渕想太(Vo, G)、浪越康平(G)、田野明彦(B)、田村夢希(Dr)からなる4人組オルタナティブロックバンド。2013年冬に神戸大学の軽音楽部内で結成される。2014年3月に初ライブを行い、神戸を拠点に活動を展開する。2015年には「RO69JACK 2015」でグランプリを受賞し、同年夏の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に出場。さらに「MASH FIGHT!vol.5」でグランプリを獲得。2018年新春にA-Sketchからメジャーデビューする。
YAJICO GIRL(ヤジコガール)
四方颯人(Vo)、榎本陸(G)、吉見和起(G)、武志綜真(B)、古谷駿(Dr)の5人編成。2012年に高校の軽音楽部で結成され、2016年に「未確認フェスティバル2016」「MASH FIGHT!vol.5」でグランプリを受賞する。楽曲の作詞作曲は四方、ミュージックビデオの制作やデザインを古谷が手がけている。2016年9月に1stアルバム「ひとり街」を、2017年9月に5曲入りの作品「沈百景」をリリースした。