LOW IQ 01「Stories Noticed」特集 LOW IQ 01×TOSHI-LOW|SUPER STUPID復活劇を経て生まれた、渾身のミクスチャーアルバム

ジャッキーがなんでそんな奇行をしたのか

──改めて聞くと、そもそもSSは何があってそこまで決裂しちゃったんでしょうか。

LOW IQ 01 根っこは深いんだけど……やっぱヤキモチじゃないのかな。ジェラシー。

TOSHI-LOW SSも最後は完全に機能してなかったもんね。ジャッキーが来なくてライブは330(mimio)が弾いてたりとか。

LOW IQ 01 だから当時は周りのバンドがうらやましかった。みんなガッと行ってるのに、ウチは行きたくても行けない。そこで弱音も吐けないし。わざと「ウチらは天才だから。チームワークとか関係ねえんだよ。3人の個性でやってんだ!」って言い方をしてた。でもBRAHMANとかHi-STANDARDはすごく努力家で、チームワークも強くて家族みたいで。僕はそういうふうにできないっていう柵がずーっとあった気がする。だからソロでやるって決意したし、そこには「バンドのことは掘り起こさないでくれよ」っていう気持ちもあったと思う。

──生々しい感情を歌わなかった理由も同じですね。

LOW IQ 01 うん。これから先も嫌なこと起きたりすると思うんだけど、僕の中では、SSが仲悪くなったことって人生最大の出来事だったから。ずっとトラウマでもあったし。

TOSHI-LOW

TOSHI-LOW 結局、自分が作り出した憎悪の中で一番苦しんでる感じがしたな。イッちゃんがジャッキーのことを言えば言うほど、もはやジャッキーと関係のない怒りでイッちゃん自身が焼かれちゃってる。そのことに本人は気付いてなくて。でも、そもそもジャッキーがなんでそんな奇行をしたのかって、今だから思うんだけど……ジャッキーはみんなに天才って思われたかったんじゃないの。イッちゃんに認めてもらいたかったの。たぶんね。さっきも「SSはみんな天才だから」って言ったけど、そう言われることが当時ジャッキーはうれしかったと思う。でもそこから分かれてしまって、天才って言ってくれてたイッちゃんがそばに居なくなった。だから今度は「俺は天才!」って自分で言うしかなくなっちゃった。でも本当はイッちゃんに言ってほしかったんだと思う。それが「尽未来際」の日にわかった気がしたな。

LOW IQ 01 うん。TOSHI-LOWのメンバーへの愛情もすごく感じたしね。いよいよ「じゃ、SSやりましょう」って決めたときから、僕はすごく穏やかな気分になれた。これを乗り越えられたから、あとはもう楽しみが待ってるだけだなって思えたし。

3人のいいライバル関係がまた築けるだろうな

──そこから、また3人で続けるという選択肢はなかったですか。

LOW IQ 01 うーん! もう解体しちゃったものだから。割れた花瓶をボンドでくっ付けてもね。だったらきれいに割っちゃったほうがいいのよ。

TOSHI-LOW ……とか言って、告知なしでリリースしちゃうんじゃないの?

LOW IQ 01 出た(笑)。あのね、僕、そんなことしても売れないから! 僕は告知してナンボだから!

TOSHI-LOW ははは! 「この人たち誰?」って言われてね(笑)。

LOW IQ 01

LOW IQ 01 「へー、昔やってたんだ」ぐらいで終わっちゃう(笑)。

──SSは「尽未来際」のライブでしっかり終わらせた。そこから今、関係性の変化ってありますか。

LOW IQ 01 今が一番仲良いかもしれない。それぞれ個々にやってることも応援してるし。ヒロシはヒロシでもうCOKEHEAD HIPSTERSのメンバーだし、SSに遠慮なく、未練なく、ドラム叩いてほしい。ジャッキーも今までずっと録り溜めてた楽曲を、もうSSとは違う、いちミュージシャン・大高知晃としてやって行くだろうし。3人のいいライバル関係がまた築けるだろうなって思えたから、あえてバンドとして再生しようとは思わなかった。新しい道に進んだほうがみんなのためになると思う。

TOSHI-LOW でも、結び付くこともできるもんね。またいい時期にSS見れるのかなっていう期待はある。無理にやってくれって意味じゃなくて。

LOW IQ 01 そうね。変な話、対バンもできるわけだし。そこは遊び心で「じゃあ1曲やる?」みたいなことも、なくはないって感じだから。

イッちゃんの、この面白さがあんまり人に伝わってなかった

TOSHI-LOW こないださ、イッちゃんから「僕のことはもういいから、今度はジャッキーにいろんな音楽の場を紹介してくれ」って言われたの。もうさ……前までホントに自分のことしか考えられなかった人なのに(笑)。こうやって人のことを考えられるようになって、ホントにグッと来た。先輩なんだけど「頼もしく育ったなあ、偉いぞ」って。

左からLOW IQ 01、TOSHI-LOW。

LOW IQ 01 ははははは!(笑) 子供育ててる感覚!

TOSHI-LOW 俺、ずーっとイッちゃんを先輩として見てるじゃない? 俺からしたら、イッちゃんってみんなが思ってるようなマルチの人じゃないの。もちろん器用なんだけど、究極の不器用みたいなところもあって。俺が一番もったいないと思ってたのは、イッちゃんの、この面白さがあんまり人に伝わってなかったこと。俺ん家来て朝までしゃべって呑んで、ギター弾いて明け方歌ってるときなんかホント最高なの。歌もギターもブワーッて勢いあって。それがライブで出てこないのは、ステージに出るときのイッちゃんの“カッコ付け像”みたいなものが邪魔してるからで。ホントに家で呑んでギター弾いてるLOW IQ 01って、ものすごいエンターテイナーなのよ。

LOW IQ 01 またそうやって人のことを楽屋芸人みたいに言う(笑)。

──でも、イチさんがステージに出るとき異様に緊張するのは事実ですよね。バリッとした舞台じゃないほうが、より個性が強く出るってことですか。

TOSHI-LOW

TOSHI-LOW そうだと思う。こないだも子供向けのイベント(「ACO CHiLL CAMP 2017」)に来てくれたけど、人を楽しませるってことに関してすごく長けてるの。根っからのエンターテイナー。ソロでの「こうじゃなきゃいけない」みたいな縛りがないから、より魅力的に見えたな。本来あるべきLOW IQ 01っていうか。

LOW IQ 01 ずーっと言われ続けて、意固地になってたんだと思う。会うたびに「もっとライブやれよ!」って言われて「やかましい!」って。TOSHI-LOWは「いいところを見せようと思うのが間違いなんだ。泣こうが喚こうが、転んだっていいじゃん!」って言ってたよね。昔はそれに対して「いや、僕には僕のやり方がある」と思ってたけど。でも今となればもっともだなと思う。

LOW IQ 01「Stories Noticed」
2017年5月24日発売 / MASTER OF MUSIC RECORDS
LOW IQ 01「Stories Noticed」

[CD]
3024円 / MOM2

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Delusions of Grandeur feat. 細美武士(the HIATUS / MONOEYES)
  2. Inconstant
  3. MI-O-TO-SHI feat. 細美武士(the HIATUS / MONOEYES)
  4. Hold Your Head Up
  5. 1958
  6. The Data feat. Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)
  7. 青い鳥
  8. Big Blue Sky feat. TOSHI-LOW(BRAHMAN / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)
  9. Snowman from THE BOP / MIGHTY BEAT MAKERS
  10. Luster feat. Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)
  11. tokeru
  12. 39-46497
  13. Bajamar
  14. T.B.C.

ライブ情報

LOW IQ 01 LIVE TOUR 2017 "Stories Noticed Tour"
  • 2017年7月11日(火)東京都 赤坂BLITZ
  • 2017年7月12日(水)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2017年7月13日(木)大阪府 Music Club JANUS

<出演者>
LOW IQ 01 & MASTER LOW(LOW IQ 01[Vo]、TDC[Dr]、TGMX[G, Cho, Tp]、KENZI[G, Cho]、MURATA SHIGE[B]、CHABE[Per]、NARI[Sax, Cho])

LOW IQ 01 LIVE TOUR 2017 "Other Stories Noticed"
  • 2017年7月21日(金)福岡県 Queblick
  • 2017年7月22日(土)岡山県 CRAZY MAMA 2nd Room
  • 2017年7月23日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2017年8月24日(木)福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
  • 2017年8月25日(金)宮城県 HooK SENDAI

<出演者>
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS(LOW IQ 01[Vo, B]、DAZE[Dr]、フルカワユタカ[G, Cho])

LOW IQ 01(ロウアイキューイチ)
LOW IQ 01
10代の頃から数々のバンドでベース、ボーカルなどを担当。アポロスのSax奏者、會田茂一(EL-MALO、FOE、ATHENS)とのアクロバットパンチを経て、1994年にパンクロックバンドSUPER STUPIDを結成する。1996年にアルバム「WHAT A HELL'S GOING ON」でメジャーデビューを果たし、精力的な活動を展開した。1999年にSUPER STUPIDが活動休止すると同時に、ソロ活動を開始。2007年1月発売のミニアルバム「THAT'S THE WAY IT IS」で、ソロ名義でもメジャーデビューした。2009年にはソロ活動10周年を記念し、彼の名曲をさまざまな世代のアーティストがカバーしたトリビュートアルバム「HELLO ! LOW IQ 01」が発売。さらに2010年には自身の愛する名曲カバーをコンパイルしたアルバム「MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01」もリリースされた。2014年にソロ活動15周年を記念し、アルバム「Yes,LOW IQ 01」を発表。2016年には自主レーベル「MASTER OF MUSIC」を立ち上げ、LOW IQ 01、渡邊忍(G, Cho / ASPARAGUS)、福田"TDC"忠章(Dr / FRONTIER BACKYARD、SCAFULL KING)、日向秀和(B / ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone)からなるLOW IQ 01 & MIGHTY BEAT MAKERSとしてミニアルバム「THE BOP」を、2017年にはLOW IQ 01名義のニューアルバム「Stories Noticed」をリリースした。ライブではサポートメンバーを従えたバンドスタイルのLOW IQ 01 & MASTER LOW、DAZE(Dr / COUNTRY YARD、fam、THE FIREWOOD PROJECT、The Yasuno N°5 Group)とフルカワユタカ(G, Cho)を迎えたLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSなど、さまざまな形態でのパフォーマンスを行っている。
BRAHMAN(ブラフマン)
BRAHMAN
1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半に1つの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2011年9月にシングル「霹靂」、2012年9月にシングル「露命」を発表し、いずれも強いメッセージと圧巻のサウンドがリスナーに受け入れられた。2013年2月に5年ぶりとなるアルバム「超克」をリリース。結成20周年の2015年にはベストアルバム「尽未来際」の発売、千葉・幕張メッセで開催したライブイベント「尽未来祭」を含むライブシリーズ「尽未来際」の開催、初のドキュメンタリー映画「ブラフマン」公開などの活動を展開。今年4月にシングル「不倶戴天 -フグタイテン-」を発売した。