音楽ナタリー PowerPush - 忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM~#1 入門編~

本物のロックスター、スクリーンで蘇る クリープハイプ、KANA-BOONから見たキヨシロー

音楽を始めたときの気持ちを思い出させてくれた

──同じアーティストとしてすごいなと思うところはありますか?

谷口 カリスマ性ですね。憧れるし、めっちゃ悔しい。本物のロックスターだなって思います。

飯田祐馬(B)

飯田 僕は、めっちゃ音楽を楽しんでる点です。「いい曲があるから聴いてほしいねん!」っていう感じが、音楽を始めたときの「音出して気持ちいい!」とかそういう感覚を思い出させてくれました。

小泉 声に表情を付けているところ。内面からにじみ出るすごさがあるなって映像観て思って。今まで、バンドの演奏を観てカッコいいなって思うことはあっても、歌を聴いて気持ちが伝わってくるって思ったことはそんなになかったので。僕はドラマーですけど、音に表情を付けていけたらと思いました。

──サウンド面ではどうですか?

谷口 自由度の高い曲が多いですよね。曲のなかに、アドリブを入れたり、セッションをしたり、原曲以上のことがライブでできそうなスペースがけっこうあるなと。だから曲に縛られるっていう感じがないなって。僕たちは曲に縛られる部分があるから、余計、自由度の高い曲に憧れる気持ちがあるのかも。

古賀 絶対的な尺を決めてないんやろうな。うらやましい(笑)。アドリブでギターが入って、清志郎さんが合図してバンドが一斉に入る感じとか俺もやりたいな。

──では見習いたいところはありますか?

谷口 メイク(笑)。

飯田 メイクについて語るシーン、めっちゃ面白かったよな。

谷口 ……というのは冗談で、言葉に魂が宿っているという点ですね。「君は1人じゃない」っていうのはさんざん使われ続けてるありふれた言葉やけど、その言葉にしても本物に感じられるんですよね。そういう人に、そういうバンドになりたいなと、映画を観て改めて思いました。

飯田 映画を観て思ったのは、清志郎さんは芯の部分が変わってないなと。それが昔からついてきてるお客さんを裏切らないっていうことにつながると思うので、僕たちも芯の部分は揺るがないようにしたいなと思いました。

スター感はあるんやけど、手を差し伸べてくれる

──KANA-BOONと清志郎さんの共通点ってどこだと思いますか?

古賀隼斗(G)

古賀 共通点という大それたものではないですけど、メンバーを大事にしている感じとか、お客さんとの距離感は僕らが目指してるところやなって思いました。

谷口 フレンドリーやったよな。絶対的なスター感はあるんやけど、手を差し伸べてくれる感じ。

飯田 俺らはそこからスター性を抜いた感じやな(笑)。俺は、清志郎さんは人間らしいなってすごく思って。人間が出してる音っていうか。その人が出してるから聴きたくなる。俺らも着飾ってないそのまんまなんで、そういうところが好きっていう人がいてくれてるんやったらすごくいいなって思いました。

──まだ清志郎さんを知らないKANA-BOONのファンに、この映画の魅力を伝えるなら?

古賀 お客さんとの距離感とかは僕らも似てると思ってるので、そういう部分に注目してもらえたらと思います。

飯田 この映画は頭を使わずに、音楽はいいもんやってことが直観的に入ってくる作品だと思うんで、難しく考えずにいい音楽聴きたいって思ったら観に行ってみたらいいと思います。

小泉 歌詞によって1つひとつ表情が違うということが観て取れるし、ライブのよさを感じられる映画だと思います。この映画を観て、ライブのよさ、音楽のよさを感じてもらえたらと思います。

谷口 観たら、こんなすごい人がいたよっていうのがわかると思うんです。忌野清志郎という人がどれだけたくさんの人から愛されたか、なぜ愛されたかとか。この映画は僕たちみたいに、清志郎さんという人がどういう人だったかを知ることができるいいチャンスやと思うんで、ぜひ!

映画「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~」2015年2月10日全国一斉公開
「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~」

忌野清志郎。キヨシロー。ボス。キング。ゴッド。ソウル・ブラザー・ナンバー2。

不世出のバンドマンであり、ソウル・シンガーであり、日本のロック・シーンを変えたあの男が、スクリーンという名のライブハウスに帰ってくる!

ド派手なメイク、心に痛烈に突き刺さる歌声、一度でも見たら決して忘れられなくなる強烈な存在感。清志郎は、聞く者を熱狂させ、笑わせ、泣かせ、突き放し、さびしさに寄り添い、他にたとえようのない力や予想もつかない方法で励ましてきた。RCサクセションを率いて1970年にデビューして以来、40年にわたって送り出した数えきれないほどの名曲群とともに、その魅力のすべてを余すところなく伝えるべく、大迫力の映像とサウンドで伝えるフィルム・アーカイブ・シリーズ第一弾がついに公開される。

「雨あがりの夜空に」「トランジスタ・ラジオ」「君が僕を知ってる」「デイ・ドリーム・ビリーバー」「JUMP」……。「入門編」を銘打った第一弾では、RC~ソロとしての清志郎のキャリアを代表するあの曲やあの曲がずらりとセレクトされた。ホームグラウンドとした日本武道館や日比谷野外音楽堂での選りすぐりの名演や、1984年の西武球場や、2008年の「完全復活祭」といった伝説のライブ、ブッカー・T&ザ・MG'sやBLOCK HEADSといった海外の強者バンドとの共演映像、本邦初公開の貴重なシーンなどをミックスした2時間のパフォーマンスは、まるで1本のコンサートを観ているようで、1人のバンドマンとしての清志郎のカッコよさを、時空を超えてダイレクトに伝えてくれる。清志郎の魅力をわかりやすくひもとく「入門編」であると同時に、長年のファンをも興奮させる瞬間が隅々まで詰まっているのだ。

今、この時代に清志郎が足りない。もっと清志郎が必要だ。名曲「よォーこそ」でずっと歌ってきたように、未来のためにこれからも「聞かせたい歌がたくさんあるのさ!」

監督:太田旬
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン

KANA-BOON(カナブーン)

KANA-BOON谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を始める。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たし、10月に1stフルアルバム「DOPPEL」を発表した。2014年はテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」を含め精力的に新作を発表し、8月には大阪・泉大津フェニックスでキャリア最大規模の単独公演を実施した。2015年1月にはメジャー2ndアルバム「TIME」をリリース。さらに3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを控えている。