ナタリー PowerPush - カノジョは嘘を愛しすぎてる

MUSH&Co.×青木琴美「カノ嘘」談義

すごい理子がいたな

──理子の突き抜けるような歌声はどのシーンも圧巻でしたが、青木さんは大原さんの声の魅力をどう感じていますか?

青木 そもそも原作では理子の声の具体的なモデルを立てていたわけではないので、細くはなく、少年っぽい声……くらいのイメージだったんですが、櫻子ちゃんの声はイメージを越える伸びのある声というか。力強いのにかわいらしかったり、繊細だったり、1人の声なのに何色にも聞こえてくるようで、「すごい理子がいたな」って思いました。

大原櫻子

大原 へへへ(笑)。本当にうれしいです。

──原作ではタイトルだけだったMUSH&Co.のデビュー曲「明日も」ですが、実際に曲になった感想はどうでした?

青木 原作では、理子が秋との恋を歌詞にした曲なので、映画版とはちょっと違うんです。だからいい意味で全くイメージが無かったので、「へー『明日も』ってこういう曲なんだ」と(笑)。でもアップテンポでかわいくいて、すごくMUSH&Co.に合ってると思います。最初はアコースティックバージョンで聴いていたのですが、それがこんなキラキラしたアレンジになって、聴いてて胸が高鳴ります。

大原 そのアコースティックバージョンがオーディションの課題曲だったんですが、私は最初に聴いたときMUSH&Co.の雰囲気が音楽から伝わったというか。“MUSH&Co.らしさ”が最初に見えたのがそこでしたね。

ソーちゃん、現場でお茶を振る舞う

──そんなMUSH&Co.は、撮影中も原作のままの和気あいあいとした雰囲気だったそうですね。

左から青木琴美、森永悠希、大原櫻子、吉沢亮。

吉沢 仲はよかったです。初対面から、不思議となんとなくMUSH&Co.の空気感みたいなのものができてたんですよ。だから最初から気まずさとかはなくて。3人とも人見知りって言ってたんですけど、人見知りも3人集まれば寄り添えるんだな……と(笑)。

大原 あとソーちゃんは現場でお茶を振る舞ってくれました!

森永 茶道が得意なので勝手にやってたことなんですけどね(笑)。たまたま趣味の話になったときに「お茶が好き」って言ったら、「じゃあ今度現場にも持ってきて立てて」みたいな流れになって。

大原 でも実際にやってくれると思わなくてビックリした(笑)。

森永 僕は好きだからいいんですけど、あのときは「苦い」って言われたらどうしようと思ってて。でも理子ちゃんは「おいしい」ってちゃんと言ってくれたから、ああよかったーって。

大原 私、こういう撮影の現場がほぼ初めてなんですが、「こんな人いるんだー」って思いました。

吉沢 いやいや。いないよ、なかなか(笑)。

大原 ですよね(笑)。

佐藤健さんはちゃんと秋を理解してくれた

──完成した映画を観た感想はいかがでしたか?

青木 すごくいい出来でしたね。終わったあと、すぐもう1回観たいと思いました。原作にもあるシーンもたくさん盛り込みつつ、すごくリアリティがあって、キャラクターのブレもなく。音楽のシーンはビシッと決めて、切ない恋愛の場面では涙も流せて……お客さんの性別や年齢を越えて何かを感じていただける作品だなと思いました。

吉沢 僕はとにかくストーリーと音楽の融合が素晴らしいなって。観ると楽器を始めたくなるような、もっと深いところで音楽に触れたくなる作品だと思います。あとは、「クリプレ(CRUDE PLAY)超カッケー!」って(笑)。あれが実在したら、女子の理想をすべて固めたバンドですよね。

青木琴美

青木 クリプレに関しては、私は改めてスーツを着せてよかったなって。マンガの中でスーツを着せたのは2つ理由があるんですが、1つ目は秋とクリプレの対比を絵的にわかりやすく見せたかった。2つ目は、年齢によるキャラの顔の描き分けが得意じゃなくて、高校時代~卒業後みたいな変化をわかりやすくするアイコンとして。だからクリプレはデビュー時が学ランで、大人になってからはスーツなんです。でもそういう表現上の理由以上に……私が“スーツ萌え”だったから、あの手この手で理由をつけて描きたかったのかも(笑)。きっとスーツが嫌いな女子っていないじゃないですか?(笑) しかもあんなに細身でイケメンの方々が着てくださって。本当にカッコよかったですね。

大原 私は完成版を3回見たんですけど、音楽業界の裏側だったり、リアリティのある部分はすごく楽しめるんじゃないかなって思いました。あとは恋愛シーン。自分が演じてるぶん、客観的に見れない部分もあったけど、女性の方にはぜひキュンキュンしていただけたらなって。

森永悠希

森永 僕は男だけど、最初からキュンキュンしっぱなしだったよ(笑)。だから女性が観たらもっとキュンキュンするんだろうなって。あと理子ちゃんも言ってたようにレコーディングのセットとかがすごい緻密に作られてて、実際に音楽をやってる方も楽しめるんじゃないかなって。ちなみに、最初の試写を見たときは理子ちゃんと隣りで、最後は2人で目を真っ赤にして泣いてました(笑)。

──青木さんから見て、主人公の秋(佐藤健)はどうでした?

青木 素敵でしたね。理子のことがすごく好きなんだなっていうのが伝わってくる秋で、私はそれがうれしかったです。そもそも秋って本当に面倒くさい人だし、言い方は悪いですけど、諸悪の根源というか(笑)。

MUSH&Co. アハハハハ!(笑)

青木 お前がそうしなきゃこんなことにはならないんだよ、みたいなことがたくさんあるキャラクターなんですが、それを佐藤さんがちゃんと理解して受け入れて、丁寧に演じてくださって。そのおかげで秋という人に寄り添って見られるし、秋の前に現れた理子を同じようにかわいく見れるし、好きになる。本当に魅力的な俳優さんだなと思いました。

映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」

映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』冬フェス2013

2013年12月8日(日)東京都 渋谷各所

MUSH&Co. ニューシングル「明日も」 / 2013年12月4日発売 / Victor Entertainment / HEARST RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] / 1260円 / VIZL-618
期間限定スペシャルプライス盤 [CD] / 525円 / VICL-36862
CD収録曲
  1. 明日も
  2. 明日も(INSTRUMENTAL)
初回限定盤DVD収録内容
  • 明日も(MUSIC VIDEO)
  • レコチョクからダウンロード
CRUDE PLAY ニューシングル「サヨナラの準備は、もうできていた」 / 2013年11月27日発売 / Victor Entertainment / HEARST RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] / 1260円 / VIZL-617
期間限定スペシャルプライス盤 [CD] / 525円 / VICL-36861
CD収録曲
  1. サヨナラの準備は、もうできていた
  2. サヨナラの準備は、もうできていた(INSTRUMENTAL)
初回限定盤DVD収録内容
  • サヨナラの準備は、もうできていた(MUSIC VIDEO)
  • レコチョクからダウンロード
V.A. 「映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』~MUSIC BOX~」 / 2013年12月18日発売 / Victor Entertainment
初回限定盤 [CD+DVD]
初回限定盤 [CD+DVD] / 3150円 / VIZL-623
通常盤 [CD] / 2625円 / VICL-64099
CD収録曲
  1. INSECTICIDE / CRUDE PLAY
  2. 明日も / MUSH&Co.
  3. サヨナラの準備は、もうできていた / CRUDE PLAY
  4. 卒業 / CRUDE PLAY
  5. うたうたいのうた / ハッポ☆スチロールズ
  6. 明日も(アコースティック ver.)/ 小枝理子&篠原心也
  7. 祈り / 茉莉
  8. 卒業(アコースティック ver.)/ 小枝理子&小笠原秋
  9. ちっぽけな愛のうた / 小枝理子&小笠原秋

<ボーナストラック>

  1. 春姉ちゃんを幸せにしなかったらぶっ飛ばすの歌 / 小笠原秋
初回限定盤DVD収録内容
  • 「INSECTICIDE」ミュージックビデオ
  • 「明日も」ミュージックビデオ(デビューライブ ver.)
MUSH&Co.(まっしゅあんどこー)

映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に登場する3人組バンド。小枝理子(Vo)を大原櫻子、君嶋祐一(G)を吉沢亮、山崎蒼太(Dr)を森永悠希が演じる。バンド名は、劇中に登場する音楽プロデューサー・高樹総一郎が、理子が所属するバンドをメジャーデビューさせる際に、彼女の髪型(マッシュルームカット)にちなんで付けた。2013年12月4日には、劇中から飛び出し現実世界でもデビューシングル「明日も」をリリース。

青木琴美(あおきことみ)

愛媛県出身のマンガ家。1998年に「少女コミック」11月増刊号にてデビューを飾る。代表作に「僕は妹に恋をする」「僕の初恋をキミに捧ぐ」があり、いずれも実写映画化されている。現在「月刊Cheese!」にて「カノジョは嘘を愛しすぎてる」を連載中。同作も佐藤健主演による実写映画が、2013年12月14日に全国公開される。